⑬放課後
「才能は慎重に使いなさいって、これまで何回も言いましたよね!」
新入生が入学してきた初日の放課後、教員棟まで来たリリちゃんに、私は我慢できず言ってしまいました。
「ごめんねニナちゃん。でも、鳥さんがかわいそうだったから...」
「学校ではニナ先生と呼んでください。はぁ。まあ、とりあえず大事には至らなかったので良かったです。これからは無闇矢鱈に使わないようにしてくださいね。」
しょぼんとした彼女を見ていると、何だかこっちが申し訳ない気持ちになってしまいます。
私は彼女が五歳の頃に知り合いました。
私は元々、東侯爵領の出身で、父と東侯爵様は親しい間柄でした。
父と初めて訪れた東侯爵様のお屋敷。そこでリリちゃんと出会ってから、これまで妹のように可愛がってきました。
これまで彼女は、数え切れないほど才能を使っては、倒れてを繰り返してきています。
それほどまでに、治癒の才能は制御が難しいのです。
「分かりました〜、ニナ先生っ」
「全然わかってないでしょう、まったく。」
「うん。全然わかんないもん。治せる才能があるのに、それを使っちゃいけないなんて、全然わかんないっ!」
彼女はいつもこうです。とっても優しいから、自分の身を厭わずに何かを救おうとします。
とても正しくて、とても素晴らしくて、とても美しい。
そこばかりは、呆れるほどによく似ています。
「あなたは良くても、私が、あなたを大切に思う人が、心配するんです!...さて、この話はこの辺にして、明日からの説明しますね。」
これから、彼女はどう成長していくのでしょうか。
願わくば、この学園で、そのまま真っ直ぐに、そしてより柔軟に、そして、才能との上手な向き合い方が見つかりますように。