表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/35

①プロローグ

初投稿です。




 今まで俺は、上手くやってきたつもりだった。友人も多い方だし、誰からも嫌われること無く、無難に過ごしてきた。はずだった。

 

 夜。俺は無様にも地面に転がっていた。首筋にあてがわれた剣はひんやりと冷たく、見上げた彼女の姿は闇夜の中でも恐ろしいほどに美しかった。というか、ものすごく恐ろしかった。


「私に、何か用か?」


 恐ろしいほどに美しい笑みを湛えながら発されたその言葉を聞き、俺は大胆にも・・・・


 その場で気絶した。




---------------------------------------------------------




 半年前、俺は暗い部屋の中ろうそくの明かりを頼りに、たった今完成した王都内不穏分子のリストを、大きなクマができた目で最終確認していた。


「やっと終わったぁぁぁあ!」


 これでやっと眠ることができると思うと、思わず大きな声で叫んでしまった。


 王国隠密暗殺団「影」


 それは俺が所属している部隊の名称だ。物心もつかないうちから過酷な訓練を繰り返し、王国のために身を粉にして働いてきた。


 隠密部隊に所属していた俺は、くる日もくる日も王国内の情勢に目を光らせ、怪しげな動きがあれば現地に赴いて調査を行い、この国を守るために情報を集め続けた。


 しかし、それももう限界だった。毎日休みなく働き続け、心身共に疲弊しきっていた。そして俺は今、決意するのであった。


「よし、仕事辞めよう。」


 勤務年数にして十五年。ようやく決意することができた夜、俺は泥のように眠った。


 夢を見た。いつも見る夢だ。夢の中で俺はいつも周りを一切見ずに、目的もなく、ただひたすら歩き続けている。


 すると、後ろから声が聞こえてくる。いつも、聞こえてくる声だ。一つではない。いくつもの声が重なって、一つの言葉となり俺の背中に突き刺さる。


『『『おまえは、まちがっている』』』


 しかし俺は、聞こえないふりをして、振り返ることなく、ただひたすら歩き続けている。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ