世界一治安が悪い国
ここは世界一治安が悪いと言われ世界記録にも乗っている。特にギャング、マフィアの横行闊歩が激しい。警察も金さえ渡せば犬のように言うことを聞く。どいつもこいつも信用ならん。
だが、こんな国でも観光客は足を運ぶ。なぜなら世界遺産もあるし、世界的に大ヒットした映画のワンシーンにこの国の風景が使われたからだ。
まぁ俺もそんな客相手の護衛をしないといけない。まぁ仕事だからな。
「女性の方らしいですね。バイリンガルって聞きました」
マックスは言う。マックスはイタリア系で短めのオールバックに少し髭を生やした男だ。
一丁前にメガネをかけている。伊達らしいが。
隣にいるのが、黒髪で褐色肌のニアだ。愛想はないが、頼り甲斐のあるやつだ。女だが、格闘は誰にも負けない。
そして俺。名前はどうでもいい。PMC民間軍事会社に勤めてる。この2人もな。
依頼主である女性の登場だ。到着ロビーから出てきた。東洋風の黒髪で中位の長さでスーツケースをコロコロ転がしながら、ツバが広い帽子を浅めにかぶりいかにも観光客だ。
マックスは依頼主と握手を交わす。
「どうもマックスです。でこっちはニア」
ニアは軽く無言で挨拶する。
「であんたは?」
「え?」
依頼主は言う。
「オメェさんの名前だよ」
「あっ、えっとはい。ハナです」
「ハナねぇ」
「じゃあハナさん行きましょうか」
マックスはスーツケースを持ち運ぶ。
3人は車に向かう。
「あのマックスさんあの人の名前ってなんですか?」
ハナが言う。
「あのひとはねぇ..」
「うるせぇ早く行くぞ。ニアは後ろを歩け」
トランクに詰め込み、マックスが運転席に乗り、助手席俺が乗った。
「とりあえず宿に行こうか、ご飯食べた?」
「ごめんなさい。機内食食べれなかったです」
「じゃあ軽くどこかで食べますか」
車を発進させる。だがいかにもギャングに車を止められる。こいつらは観光客を狙うギャングだ特に空港にいる。物乞いをしてくる奴らよりもタチが悪い。暴力などで解決しようとするからだ。しかもリンチでだ。警察はショバ代さえ払えば黙認しているさまだ。
「一回焼を入れてくる」
「はーい気をつけて」
マックスは言う。
助手席から出て3人組のチンピラだ。
「おぉあんたの客かよ。なんなら最初っから言ってくれよ」
「そうだよあんたの客なら手を出さねぇ」
「うるせぇんだよテメェら。俺の客だと手ぇ出さないだと?、お前らがロビーから狙ってるの知ってんだよどこのギャングだ行ってみろ」
腰から拳銃を出した。そして1人の男のこめかみに銃を突きつけて
「お前らの脳みそをぶち抜くぞこの野郎!」
3人組はそそくさと逃げ行く。
「たく根性のねぇ奴らだ」
ため息が漏れる腕は定位置で組んだ。
「そんなにまでするんですか?」
ハナが言う。
「それはお前が大事な客だからな。っていいから出せ」
「はいはい」
市街まで15分旧市街まで20分。俺は車の中で喋り続けた。
「いいか、ハナ。これだけは守れ。死にたくないならよ」
ハナは唾飲んだ。ニアに聞こえそうなくらいだ。
「まず一つ。1人で出歩くな。強盗に遭うか強姦に遭うか、拉致られて人身売買されるかの三つだ」
「二つ。警察は信用するな。あいつらは賄賂を受け取っている。観光客なんて相手にしない。操り人形ということを忘れるな」
「三つ。夜外出はするな死にたくはないからな」
「そんなに危険なんですか?」
「僕らだってなかなか歩かないね」
「これら三つを守れば死ぬことはない。俺だって命かけてやってるんだからよ」
「そこまで命かける必要あるんですか?」
なんとなく聞いてみた。
「そらーよ。金持ちのVIPみてぇな奴らが観光客気分でくるとこちとら面倒なんだよ。命狙ってやがる連中がそこらにいるからよ。大変面倒なんだは」
車は旧市街へと到着する。車はいかんせん渋滞にはまる。20世紀初頭にできたこの市街は、21世紀の技術が発展した交通網についてはいけてない。なんなら自転車や歩きの方が移動しやすい。
「たしかそこらへんに行きつけの飯屋があるんですよね」
「こんなとこで食わす気か?腹でも壊したらどうするんだ」
マックスに言った。マックスはえーっとした顔をして不平不満の表現をした。
「私はここで大丈夫ですよどちらかといえば高級よりもこうゆう所が私好きです」
ハナは屈託のない笑顔で言う。
「だいたいあんたは高級レストランなんて知ってるの?」
ニアが言う。その言葉に俺は言い返せなかった。
「わかった。ここでいいな」
市街でもそこそこ有名な料理屋だ。中は席が埋まっており、外で食べることになった。
円形のテーブルに4人で座る。店員の1人がメニュー表を持ってきて注文を聞く。
「ハナさんここはねこのスープがうまいんだよ」
「それはゲテモノじゃねぇーか馬鹿野郎。観光客にすすめんじゃねぇ」
「でもわざわざ遠い国から来たんでマックスさんと同じものにします」
「正気か?」
「ニアは何たのむ?」
マックスが言う。
「焼きそばとスープ。あとジュース」
ニアが言う。
「俺はパンにチーズと肉を挟んだ奴だ。炭酸水もだ」
「炭酸水飲むなんてなんか意識高いですね」
「馬鹿野郎。仕事だから酒が飲めねぇからこちとらは我慢してんだ」
10分も待たずに、料理はテーブルに届く。ゲテモノスープを黙々と食べるマックス。ハナはカメラに一枚、二枚、納めてから一口すする。
「なにこれうまーい」
ハナは言う。その笑顔は嘘をついてないようだ。
「だよねー食べます?」
マックスは俺に聞いてきた。
「俺は一回食べて吐いたことがある。その匂いでも吐きそうだ」
「私もいらない」
ニアが言う。
「この国にきてこのスープを飲むのがつーだから」
「せっかくなんですけど皆さんで記念写真撮りたいんですがいいですか?」
「記念写真だと?まったく」
俺は腕を組んでポーズを決める。
「一番ノリノリじゃないですか?。ほらニアもカメラに目線目線」
仕方なくニアもカメラに目線を向ける。
パシャリと一枚。何気ない写真だった。
「ちょっと確認しますね」
ハナは皆に背を向けて確認する。太陽の日差しが眩しからだ。
そこらへんのガキンチョがカメラをトンビがホットドッグを奪うかのように颯爽と奪う。
悲鳴も上げることもなく、ハナは驚きだった。この国がらのご愛嬌と言ったほうがいい
「大丈夫かハナ」
俺は手を差し伸べて、埃を払ってやった。
「カメラなんてまた新しいの買えば大丈夫でしょう」
マックスが言う。
「でもあのカメラお父さんからもらった大事なカメラなんです」
「なんだと?!先言え馬鹿野郎!」
俺はガキンチョ相手に猛烈に追走した。人混みもかき分けて、ガキを追う。ガキはすぐに路地裏に逃げ込む。
盗んだブツを確認するためだ。それか親玉が近くにいるかのどちらかだ。
「テメェだなカメラを盗んだクソガキ」
大当たりだ100メートルもしないところの路地裏にガキはいた。ガキはとぼけた顔をしたが、すぐに怯えた顔をした。右手に拳銃を握ったからだ。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
ガキは泣きじゃき、カメラを地面に置いて逃げようとしたが、腕を掴んで思いっきり、顔面を殴った。それも1発ではない何発もだ。死ぬ手間まで殴る。
ついてきた3人はそれを目撃してしまう。
「なにやってるんですか?!」
マックスは言う。
「なにって、罰だよ。2度しないためにな。物乞いは生きるためにやるからなこのガキもそうだ。だがよ金よりも大事なものを盗む奴は、ガキだろうと許さない」
「てかオメェら全員来たのかよ。食い逃げだと思われるじゃねえーかよ。ささっと戻りやがれ」
車に戻る。
「その子供連れてくる気ですか?」
「治療してやんねぇーとな。ニア救急品とって」
ニアは無言で俺に渡してくれた。
「子供相手に容赦ないんですね。私のためですか?」
「いいか大事なものなら取られないようにしろ、この国は金あればなんでもら買える。薬や臓器や人間もな。そんな古いカメラもなだがよ金よりも大事なら取られないようにしろ、この国はな小さな子供が物乞いをしないと生きていけないそんな日常なんだ。わかるか?」
ハナはなにも言ってこなかった。
「わからないだろうな。とりあえずこの子を連れて教会に行くいいか?」
ハナは動揺をしたまま車に乗り込む。マックスに教会の行き方を伝えて向かう。
「あそこのおばさん。なんか気が合わないだよね」
マックスが言う
「それ同感」
ニアが言う。
「ああ感じだが、いい人だお節介焼きだが」
教会に着く。ユダヤやキリストそれにイスラムでも違う。
「ここは人身売買もないれっきとした信用のできる孤児院だ」
子供を抱き抱えて中に入る。そうしたらシワシワのばあちゃんが出迎えてくれた。
「あんたまた来たんかいそれにその子」
「あぁ道端で、客の大事なものを盗んだから1発焼き入れてやったよ。治療はしてある」
「わかるけどよやりすぎだべ。ほらあんたたち手伝って」
2人の女性が、子供を抱えて、違う部屋で治療をしに行った。
「元気になったら飯を食わすか、出たいなら出してやってくれ。それにこれだ」
俺は束のお金を渡す。この国の大卒の初任給よりも倍の額を渡した。
「いつもすまないね。あんたのおかげでやっていけてるもんだよ」
「この国だと食ってない輩が多すぎる。まぁ困ったらまたなんか言ってくれ」
「ありがとうねそれに、ニアは来ているのかい?」
「あぁ来ているよ外で立ってる」
ババアは部屋を出る。右にニアが立っていた。ニアはドアの空いた反動でババアと目が会う。
「ニア。大きくなったね。大丈夫食べてる?また人ぶってない」
「大丈夫だから話して、人は最近殴ってないから」
「久しぶりに抱いたけど少し痩せたんじゃない?ちゃんと食べてるねぇねぇ」
「しつこい!」
次はハナが泊まるホテルに向かった。教会からすぐ近くだ。
「ニア今機嫌悪いかもしれねぇけどハナと同室になってもらう」
「はいはい。仰せのままに」
「あの2人は?」
「隣にいるよなんかあったら連絡しろ」
「あっはい」
ホテル内はきれいなツインルームだここはらへんは比較的治安はいい。あの教会があるおかげだろう。
うちのpmcも利用するからチンピラなどは徘徊などはしない。夕食はホテル内で出る。品のある料理がずらりとだ。これが終わると部屋に戻る。
ハナは先にシャワーを浴びた。お湯もちゃんと出るシャンプーリンスボディソープも備えて付いていた。
ハナが上がるとニアは筋トレをしていた。倒立をして腕を上下に曲げて伸ばしての繰り返しだ。それが終われば腹筋と、スクワットの繰り返しだった。
鍛えられた腹筋、上半身、下半身。年末に見る女性k1ファイターのみたいだ。
「なにじっと見て」
ニアが言う。
「あの、シャワー空いたんですけど」
「わかったもう少しで入る。倒立してから」
「すごい筋肉ですね」
「そう?ここじゃ弱い女は男に喰われるわよ」
「喰われる?」
「知らないの?レイプ」
「この国じゃあ日常茶飯事よ。今日も毎日誰かがね。だから男殺すために鍛えてるの」
「そうなんですね...」
会話は続かない。そもそもニアはお喋りではない。
「ニアさんってなんでボディーガードになったんですか?」
ニアは逆立ちをやめてタオルで汗を拭う。
「そうね。物心ついた時から両親なんていなかったの。気づいたら1人で、銃持ってたそれが当たり前だと思ってた。そんな時に会社に雇われて今ここにいるってこと」
「そうなんですね」
「お喋りはここまで。夜は外出禁止、朝飯は6時30分から8時にあなたが指名した通り順の観光するわ」
ハナはテレビをつけようとする。
「テレビなんてなんもやってないわよこの国は」
それでもチャンネルをつけた。どれもニュースばかり、バラエティーなどはない。国歌などが流れたり、政治と思想などをキャスターが讃えている。そして反政府などの弾圧映像がしつこく流れている。国民に植え付けている。国に反すればこうなるって。
「どう?気が済んだ?」
ハナはテレビを消してそのままベットに潜り込んだ。ニア部屋の電気を消して、シャワーを浴びる。
この国は複雑だ。
朝は迎えニアが起こして朝食を食べに一階のレストランへ向かった。もう2人は食べていた。
「おはよう2人とも寝れた?」
マックが言う。
「はい寝れました」
「うえ、またパン食べてるんですか?」
ニアが言う。
「うるせぇ朝からパン食べねぇと体が動かないんだよ」
たっぷりの甘いジャムにハム、ウインナー、目玉焼きに甘ったるい紅茶これが俺の朝食だ。
「今日から観光ですからね楽しみますよ」
マックスが言う。
時間どうりに出発した。まずは旧市街を越えて、海岸に向かうと青と白の建物群が見える。
絶景のその1つだ。この国は治安が悪いが歴史はある歴史があると文化が発展して文明も進歩する。その行程で建物などの文化的景観だ。
1日国を周りクタクタになりそうだ。ホテルに戻りベットに寝転べば、優しく疲れた体を包み込んでくれた。それは眠ってしまえというベットからの暗示だ。
「マックス後は頼んだぞ」
「寝る気ですか?飯は?シャワーは?」
「うんなの明日でいいだろ。飯はあわんし湯船には入らんし最悪だなこの国は」
「まぁまぁ文句は言わずに。飯行ってくるんで服ぐらいは着替えた方がいいんでは?」
とマックスは部屋を後にする。
俺はパンイチになってテレビをつけた。俺の国のように面白番組なんてものは放送していない。革命家の首謀者が移り出されなにやら御託を並べて演説をしているがここの言葉はよくわからない。
食べ物特集みたいな食欲をそそるような番組があれば、この国で1番の視聴率が取れると思うが、どうしてやらんのだろうか。
気づけば夜。夕飯を抜いて腹が減ってきたようだ。
リュックに入れておいた乾燥肉をバリバリ1人で食べる。
マックスは勢いよくドアを開けた。
「大変です2人が見当たらないです」
そんな馬鹿なと思ったが部屋にはいなかった。なんならハナの荷物は姿を消していた。
「いなくなったとしてもニアが追っているはずだ。連絡はとれねぇな馬鹿野郎」
「そういえば携帯使えないって言ってましたね」
「後これ目通しておいて」
書類を渡した。
「なるほど調べてたんですか」
「そろそろ本気出さんといけないようだな。マックス」
「えぇ腕がなります」
「あのクソガキどこ行った。あれほど夜は出るなって言ってるのに」
ニアは探す。まさかシャワーを浴びていた間に逃げ出すなんて思わなかった。これがバレたら2人になんて言われるかそれが一番嫌だ。男に馬鹿にされるのがこの世で一番嫌い。
結局ハナを見つけられることはできなかった。絶望の中、路上で四つん這いになって悔し涙を流すしかない。
そこに運悪く掃き溜めから出てきたレイプ集団が声をかけてきた。
すると咄嗟に喧嘩というよりも、殺意が出てしまった。八つ当たりみたいなもん。
1発入れるごとに“殺す殺す”と呪文を唱えると頭の沸点が低くなってきた。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
食べ物を咀嚼するように何回も顎を動かした。
「おいそんぐらいにしとけ馬鹿野郎。殺す気か?」
2人があらわれる。2人にも怒りをぶつけそうになる。
2人は降りてきた惨状を確認した。
「あららニアはひどくやってるね八つ当たりはダメだよ」
「うるさい次はテメェをぶん殴るぞ」
「おーこわいこわい。どうにかしてくださいよ」
「よかったなニア。別に人を殺めるほど探すのは容易だ」
「せっかくだ車の中で話す。そのきったねぇ拳を洗ってからな。甘味も用意してある」
ニアを大きく息を吸って吐いた。車に乗り込み、ケーキをむしゃむしゃと食べた。
「これだ見とけ」
俺はニアに渡した。
「字読めない。読んで」
「マックス読んでやれ」
「僕ですか?わかりました」
それはハナの情報だ。依頼が来た時から調べて今日届いた。
「簡単に言えば、ハナは国王の娘で、クーデターを起こして、玉座に着こうってこと。それまでの護衛として僕らが依頼された」
「国王は随分と5人の女性と結婚して子供を産ませたが、ほぼ女だった。だが運良く最初の妻の3人目の子が男だったから救われた。
けど、ここが問題。残った女性たちはどうなったか?」
「全員国外追放。又は不当な逮捕で処刑だ。ハナとその母は国から逃げて行った。そして数年後、こいつ出会う次のページ」
その男はこの国では有名な革命家で反政府軍の指揮官であった。テレビで見た人物だ。
「そして駆け落ちして娘は利用されこの国にノコノコとやってきた」
「でもいいじゃん娘が女王になっても仕事は終わりだろ?」
「社長からの伝言で、彼女に気に迫るようなことがあれば全員クビだと。つまり命で返せって」
「切腹ですか?いやですよ」
「だったら死ぬ気で娘を探して聞くしかねぇな女王になりたいのかなりたくねぇのかってよ」
「クビがかかってるなら仕方ない。やるか。ところで後ろをつけている車はなんだ?
ニアが言う。
「適当に車を走らせてるけど、ころころ追尾車を変えてるけどバレバレだね。最低でも5台はいますよ」
「ニア。ケーキを食ってすぐだが仕事してもらう」
「はーい」
後部座席を前に倒して小銃を取り出す。
「言っとくけど敵はころ...」
ニアは発砲した。まだワイヤレス無線機をつけてなかった。耳鳴りがひどく響く。
まず追尾していた1両を炎上させ追尾不可能とした。
「おいニア、人を殺すなって言ってるだろが」
「そんなん無理。なぜなら糖分が足りないから」
「マックス。あいつらを振り切れるか?」
「やってやりますよ」
アクセルを思いっきり踏み込む。560psのセダンで街中を暴走するのは快感だ。
2台3台と敵の車は増えていく。映画で見るようなカーチェイスをこの治安の悪い国でくりひろげる。
「後ろの車なんか硬いんだけど」
敵も察知していたからか、NATOの5ミリ弾では歯が立たなくてしまう。
「そのまま振り切るしかないな。それか敵に対して車を正面に向かしてくれ」
「わかりました」
車を半回転させ、ギアをリバースに入れた。
俺は拳銃を取り出し徹甲弾をチャンバーに装填して。タイヤを撃ち抜く。タイヤは車輪ごと外れて路肩の電柱にぶつかる。
「このまま女王様のところに行くぞ」
ハナは革命家でもある、父と再会を果たす。ハナは幼い頃の記憶しかなく。父だとは母から聞かなければ知らない人だ。
お父さんとは呼べる人ではないのは間違いない。お母様は病気で亡くなり、親戚を辿ればこの国に辿り着いた。治安が悪いと言われ、国は崩壊しかけていた。全ては本当の父である国王のせい。そして義理とも言える革命家の父の争い。
「久しぶりだな」
父は言う。父は無精髭で多分お風呂にも入ってはいない。
「えぇ私になんの用があって」
「それはわかっているだろう。この国の玉座に座ることだ」
「私は反対です。ましてや父から玉座を奪うなんてわたしには無理です」
「何を言う。君の本当の父は君達親戚を殺し根絶やしにしたのだぞ。それなのになぜ憎まない」
「私には本当の家族はいません。母は死に父は後継者を我が兄としました。なんならあなた1人でやってください」
革命家の父はハナにビンタをした。
そして声を上げて説教を始めた。
「君はなんもわかっちゃいない!。テレビを見たか?声を上げた市民が、政府軍によって殺されているのを、彼らは救済を求めているんだ。なぜわかってくれないんだ。この国を救って国民からも愛される人になるんだ」
「そうやって娘を担ぎ上げて傀儡にでもする気か?。まるで藤原一族だな」
俺は言ってやった。
「誰だ貴様らは?!それに護衛はどうした?」
「護衛の皆さんは弱かったので豚箱に入れてきました。それと申し遅れました。我々ハナさんを護衛していますpmcの護衛係です」
マックスは言う。
「裏は片付けたけどどうする?」
ニアが言う。
「ハナ。お前はどうしたい?」
「私は..私は....私は...自由に生きたい。誰にもさしずされず。自由に世界を見たい」
「よーしガッテンだ。お前をこの国から出してやる」
「貴様らどうする気だ?」
「どうするってこうよ」
ニアは拳銃で革命家を撃ち抜いた。倒れた後も容赦なく3発頭に撃った。
「ささっさとずらかるぞ」
空港に向けて出発した。
「私ってこれからどうなるの?」
「まぁ来た国に帰すだけだ。もちろん俺たちの飛行機でな」
「飛行機?。なんでそんなのあるの?」
「何って俺らの仕事範囲はこの世界全土だ。町だろが、ジャングルだろうがシベリアだろうが依頼があればどこにでも駆けつけるそれが俺らの仕事だ」
「じゃあ貴方達もこの国から出るの?」
「いい引き際だろ?」
「だけどあれですね。せっかく前払金を出してくれた人を殺すなんて報酬もらってから殺せばよかったのに」
「なんかあいつ臭かったから」
「辛辣だなもう」
「そうだな俺らも気をつけないとなマックス」
「そっすね味方に敵ありって言いますもんね」
空港に到着する。小型貨物機が出迎えてくれていた。
「そろそろ社長に会うぞみなり整えろ」
社長は特に身なりを気にする。理不尽なくらいだ訓練で泥だらけになって帰ってきたら
『汚いからもう一回服を洗ってからやり直しなさい』とおっしゃる人だ。
社長は座席に座り込んでいてシャンパンを嗜んでいた。
「社長。依頼人を連れてきました」
「ご苦労様。はじめましてハナさん」
社長は言う。だが顔立ちはあの教会にいたおばさんであった。
「あの社長って教会の人ですよね...?間違っていたらごめんなさい」
ハナは言う。
「いや、あってる社長いい加減そのマスク取りましょうよ」
「えぇーせっかく気に入ってたのにもう」
ババのマスクを取ると金髪で長髪のクール系カッコいい美女だ。モデルなのか女優なのかって言ってもいいぐらいだ。
「ちなみにあれもマスクらしいよ」
マックスが言う。
「おいマックス。余計なことを言うんじゃない」
「すいません」
平謝りをしたマックス。
飛行機はエンジンを始動させ、滑走路から飛び立った。
初めてチャーター機の座席に座ったフカフカで着た時に座ったエコノミーよりずっと快適それにソファーにベット。BARカウンターまである。映画や金持が使うものだと思っていたがまさか自分が使うなんて。
「初めてか?プライベート機は?」
「はい初めてです。くる時もエコノミーだったんで」
俺はハナにジュースを渡した。
「ありがとうございます」
「あの質問いいですか?」
「なんだ?あぁ金のことはいい気にするなタダで乗っけてやるよ」
「そうじゃなくて、本当に良かったのか自分でもわからないのですあの時の選択が」
「女王になるかならないのかか?」
「はい。私が女王になっていたらあの国は元に戻ったのかと」
「どうだろうなぁ、どこの国も何かしらの問題ばかり抱えている。俺が育った国でもな。だけど上が変わったからといって良くなったのはそうそうない。継ぐものもいたし、悩みの種となっていた。
革命家も倒したし少しは良くなると思うぞ。国民次第だな。まぁなんとか生きていけるからな金がなくても家がなくても、拾ってくれる奴は誰かしらはいるから、気にすんなって」
「そうですよね。でも私どうしらいいのか」
ハナは少し考えて、ひらめいた。
「なら、ここで働くのはどうでしょう?」
「えへっマジで言ってるのか?。ここは誰でも入れるところじゃねんだぞ」
「いいじゃないですか人が増えるのは歓迎ですよ」
マックスが言う。
「私も女性が増えるのはいい。男は面倒だから」
「それってどうゆう意味だよニア」
マックスが言う。
「どうです?社長。この子」
「うーんまぁ見習いとして雇うのはいいかもしれません。だけど新人教育は貴方達3人でやりなさい」
「めんどいです」
ニアが言う。
「これは命令です。言うことを聞ける?」
「はっはい。わかりました」
「偉いねニアちゃん。護衛係は人が少ないからあとは人事に話入れとくね」
「ありがとうございます社長」
「良かったねハナちゃんこれで仲間だよ」
「ありがとうございますマックスさん」
「いや、マックスでいい」
「それと貴方の名前ってなんですか?」
「あぁ俺か?まぁどうでもいいだろ?俺は俺だ」