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#32 攻略




俺たち9人はツインケーブまで戻ってきた。



入り口にはみんなが、指令室には蘭が待ってくれていた。



 「みんなお疲れ様。麻貴も凛奈もよくやった。昼食休憩をしながら先の計画を立てよう」



18人が広間に集まって昼食を食べ始める。

ツインケーブの食糧には限りがあるので、昼食は小さな川でとれた魚や野草も使われた昼食だ。

瑛愛さんや有綺さんが作ってくれたらしい。

あの川のおかげで水にも困らなさそうだ。



 「今思うと、このタイミングでサスカッチに出くわしたのはよかったかもしれない。森の奥であったら倒し切らなきゃいけなかったかもしれないし、仲間が近くにいたらそれこそ勝ち目が薄くなっていた」


 蘭が話を切り出した。


 「指令室でみんなの位置を確認してたんだけど、凛奈がサスカッチを巻くために入ったあたりがちょうど森の外から3キロぐらいの所。」


 「あれ以上置くに行くともしかしたらサスカッチの群れにあたるかもしれない。さっき出くわしたサスカッチも群れからはぐれた一匹っぽかったから。」



と、凛奈が答える。シュウが続いた。



 「正直、ナイフの異能でサスカッチと対峙するのは厳しいよ。今回は逃げ切ればよかったからあの作戦で効いたけど、倒さなきゃいけなくなった時に俺たちのナイフじゃ歯が立たない。相手が人ならまだしも、ここにあのサイズのサスカッチじゃ…」



…相手が人ならまだしも、と蘭は言ったのだ。



 「本当は慎重に少しずつ進んだ方がいいんだろうけど、20人で移動しなきゃいけないことを考えると輸送機ごと進んだ方がいいかもしれないな。その方が小隊のメンバーも安全だし。さっきサスカッチと出くわせたから戦うイメージは何となくついただろ」


 「シュウがそう思うならそれでいいよ。」


 「黒はどう思う?」



…ここで俺?



「俺も後ろに輸送機が付いてきてくれた方が安心だ。いちいち戻る必要もないし」


 「じゃあ決定。どうする?これから支度して夜出発しちゃう?」


 「いや、明日にしよう。みんなも今日は休んで。早く寝て明日未明に出発する。僕もレッダとスカイに伝えてくる」



今日はもう森に入らなくていいことになって少し安心している自分がいる。


ここで待機していたメンバーが出発の準備をしてくれるらしく、俺は半日ぽっかりとやることが無くなった。



すると、

 「黒、ちょっと来て」

とシュウに呼ばれ外に連れていかれた。



 「黒、今日ナイフ出してないでしょ」

「うん」

 「ちょっと今出してよ」

「今?」

 「一回は使っておかないとって言わなかったっけ?」

「…そうだけど」

 「今も後も変わんないんだから、ほら」



随分強引な奴だと思ったが、ここで渋るのも面倒なので言われた通りナイフを出すことにした。


一旦右腕の力を全部抜き、ぎゅっと力を入れて振り下ろす。

掌からまっすぐ1mくらいのナイフが現れた。


 「ちょっと見せて」


シュウが俺のナイフをまじまじと見つめる。



 「これで人と戦うとしたらどうやって構える?」



俺はそのナイフを剣みたいに構えようとしたが、ナイフが飛び出した角度が悪くうまく構えられない。

そのナイフはカッターナイフと違い両サイドが鋭利になっていて握ろうとすると手がきれる。



 「やっぱりそうなるよね。…ちょっと見てて」



そういうとシュウはすっと俺と同じ長さぐらいのナイフを出した。



 「これが今の黒の角度。…そうじゃなくて」



とナイフをばきっと折って再びナイフを出す。躊躇のなさに少し恐ろしくなった。



 「この角度ならうまく構えられる」


シュウのナイフは剣の構えがうまくいくような位置、角度から伸びている。



 「ニューダイブの警察って剣術やる?」

「訓練の時にやるよ」

 「じゃあイメージすればできると思う。俺も割とすぐできたから」


「…いつできるようになったの?」

 「3回目ぐらい?」



…俺が3回目の時なんかまだ痛みしか感じることができなかったのに。



とにかく、俺は一度ナイフを折って角度を意識してみた。


「…痛っ」


体内のいつもと違うところをえぐられてるのがよくわかる。


何とか構えてみると少しだけ剣の構えがやりやすい角度になっている。



 「いいんじゃない?でもやっぱりそのまま握ると親指切れるよね。俺もなんだよ」


ほら、とシュウが見せてくれた親指は何か所も切れた跡があった。


 「グローブみたいなの欲しくない?新政府軍の人作ってくれないかな?こっちに戦わせるならそれぐらいしてくれてもよくない?」


「…そうだね」



2人で話してると、騒がしい声が聞こえてきた。



 「黒さん、シュウさん何やってるっすかー!?」


 「いいところに来たな、烈。お前もナイフ構えてみろ」



と、シュウは俺と全く同じレクチャーを烈にもやった。


烈も歯を食いしばりながらナイフを構え「なるほどっす!」と言いながらそれを振った。


作戦を大きく変えて再び明日出発する。

俺たち第一小隊は輸送機の前を進むことになるだろうと、この後蘭に告げられた。



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