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#29 生の執着



朝、広間でそれぞれ食事をとり終わった後、蘭の声かけで出発前の最終確認が始まった。

9人の小隊のメンバーは新政府軍から配られた軍服のような服を朝から着ている。

少し重いけどしっかりした作りですこし安心感がある。

本当にレッダとスカイは俺たちに口を挟まないようで、この場はすべて蘭に任されているらしい。


それぞれの小隊ごとにまとまって蘭の周りに集まる。


蘭の話の前にシュウが俺と烈に言った。


 「昨日の机に置いた紙見たか?」

「あぁ」

 「見たっす」


それを聞いてシュウがうなずく。




蘭がスッと息を吸って話始めた。

弱冠19歳の指揮官は一番初めに俺たちに何を言い出すのか。



 「まず初めに、僕たち18人はみんな新政府軍の『被害者』だ。」



開口一番のそのセリフにみんなぽかんとしているようだった。

蘭は話を続ける。



 「ネイヴのみんなもそうだけど、僕を含め蘭や凛奈もそれは変わらない。全員が心の底でずっと持ってていいイメージだ。…フレッドが僕たちに合流したとき『せいの執着』と言ったね?」

 「あ、あぁ」



『生の執着』は、俺たちが襲われた支所に応援に向かうときにも言っていた言葉だ。



 「あの言葉をそのまま借りるよ。この作戦においてここにいる全員が持つべき考えだ。自分が生きることに対して自分本位に自分勝手に居ていい。『生の執着』、全員が還るまでの約束だ。」



昨日、ダイブの家族の話をしてくれた有綺さんは覚悟を決めたように口をぎゅっと結んだ。



 「…よし。ここからは実務的なこと。今日はまだ前進しなくてもいいっていうのは言ったね?あまり奥には進まず、少しだけ森に入って辺りを調べよう。調べる場所はシュウに任せるよ。3小隊で動く練習だと思えばいい。第二小隊はその少し後ろ、第三小隊はその後ろに付く。今日は気持ち第二と第三の位置を狭くとろう。一二三はそこで何となく感覚をつかんでほしい。凛奈は位置取りを一二三に指示しながら進むこと」


 「了解」


 「何か伝えたいことある人いる?」



「一つだけ」



蘭の声かけにシュウが口を開いた。



 「俺たちのナイフやパワーの能力について。この能力、自分の体力をもろにすり減らして発現してるのは全員もうわかってると思う。だからしばらくの間はなりふり構わず発現しない方がいい」


 「そうだね。それは僕も思ってた。」


 「ちょっとしたことで体力をすり減らして、本当に危険な状況の時に逃げたり戦ったりできないと本末転倒だから。今の段階で一日に何回も発現していいのは俺と、凛奈と…状況によっては蘭。あとたぶんケイもそれに耐えられるだけの体力と身体だと思う。今はまだどうしようもできないけど。


 あとの人は一日2回。キツかったら一日1回でもいい。第一小隊の二人と一二三は3回ぐらい発現しといたほうがいいかもしれない。ただ、この一日何回かを欠かさない事。いざというときに使えないと自分を守れないだけじゃなくてここにいる18人の誰かを危険な目に遭わせることになることだってあり得る。」



2人の話を聞くみんなの目は真剣だ。



 「もし暴発したら小隊のメンバーに関しては絶対に俺か凛奈が止める。待機のメンバーに関しては蘭がなんとかする。とにかく緊急事態の時以外は一人でいるときに発現しようとしない事。っていうかそもそも一人にならない事。これは軍の鉄則。…大丈夫かな?」




シュウが蘭のことをみて蘭がうなずく。



 「じゃあ始めようか」


蘭が言った。



「「「「「「「「「了解」」」」」」」」」



いよいよダリアのメトロポリタンへ向かう。





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