#21 作戦会議
俺たち20人は梯子を上がって地上に出た。
そこにあったのはレッダが言った通りの『でっかい車』
「でっか」
「…ごっつ」
「当たり前だ。これに20人乗せて向かうんだからな。君たちの超パワーで握りつぶそうとしてもできないくらいには強靭だ」
それにしても、ここで明るい時間に初めて外にでて改めて『灰の海峡』を見るとものすごい迫力だ。
「昨日上がってきた時は一面荒野だと思ってたけど荒れているのは海峡付近だけなんだな」
流星が言った。
確かに海峡から離れた位置には緑も見えるし、森が続いてるように見える。
ツインケーブの入り口に並んで立っている俺たち18人の前に出て注目を集めるレッダ。
レッダは俺たちを前に大きく腕を広げた。
「さぁ仲間よ!!」
なれなれしさと同時にレッダの覚悟を感じた。
…やはり、蘭と同じ自国を変えたいという想いがあるのか。
「とりあえず明日、森の入り口まで向かう。そこからは慎重に森を東に進む。今日中に森の中に進むための荷物をこの車に積み込んでもらうんだけど、とりあえず作戦会議をしよう。ここにきて新たに分かったこともあるし、朱里とリブも心強いことがわかったからね!」
俺たちは再びBB4に戻った。
―――――
BB4の大きな机の周りに集まった俺たちに作戦会議と称してレッダが話を始める。
「スカイ、あれを」
スカイはレッダに小さな機械を渡した。
それは蘭たちが持つコンパスと同じような材質で少し大きい。
レッダがそれを机の上に置くと、地図のようなものが浮かび上がってきた。
「うわっ!」
「さ、さ、触れないですよコレ」
空が浮かび上がってきた地図に触れようとすると空の手は地図の下に通り抜ける。
「…ホログラムだよ。そっか、やっぱりネイヴの技術の発達をさせていないっていうのは事実みたいだね」
朱里やリブちゃんも不思議そうに地図に触れようとしている。
「そろそろいいかな?…俺たちが今いるのが灰の海峡の付近。」
レッダが指をしながら説明を始める。
「ここから東の森を通り抜けて、メトロポリタンの外側にある旧市街をいくつか超えるとメトロポリタンの外壁がある。ちなみに外壁付近は堀になっていて外側の人間が簡単に入ろうとしないようになってるんだ。ボスからの指令は僕たちが通ってくる道10キロおきに地下にツインケーブを作ること。」
「ツインケーブを作る?…それってものすごく時間がかかることなんじゃないの?」
有綺さんが恐る恐る尋ねる。
「それは問題ない。数時間もすればできるよ。これでね」
レッダはポケットの中から注射器のような機械を取り出した。
「これを地面に刺すと勝手に今いるこの建物と同じものが地下に作られるんだ。ちなみにここもそうやって作った。」
この機械には蘭とシュウと凛奈も驚いているようだった。
新政府軍の独自技術なのだろう。
「ネイヴの人たちはポートって知ってるかい?」
ポートというのはネイヴの各所にある神殿の中に設置されている暖炉のような形をしたもの。
そこに神に食物や布などを奉納するとしばらくすると神様が取りに来る。…と言っても実体がないのは確かだけど、奉納したものは誰も見ていない瞬間に無くなるのだ。
「知ってるけど…」
『ちなみに』というノリでレッダが信じられないことを口にした。
「僕とスカイ、あと君たちもそのポートでここに飛ばされたんだよ」




