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#2 隣人


格子の外の男が立ち去ったあと、俺は再び眠りについた。





それから数時間眠っただろうか。


「…………!」




まただ!!こんな時に…!!


最悪の目覚めだ。右腕に激痛が走る。



14回目のナイフの発現で分かったこと一つ。この痛みは一度ナイフを出さないと収まらない。


大きく息を吸って腕を振った。



思わないところにナイフが伸び、そのまま牢屋の中の壁を突き刺した。




 「うわ!!びっくりした!!何?誰?」




男の人の声が隣の部屋から聞こえた。

昨日は全く人の気配もなかったのに。





ナイフを壁から抜くと、壁を貫通していて隣の部屋が見えた。


…てか壁薄!!



 「ナイフ!!??…手から…え?」



全ての人が俺と同じ現象が起きてるわけじゃないのか?



 「ちょっと、この壁壊せるかやってみますね…」


「え?…ちょっと…!」



隣の部屋にいた男は突然壁にパンチをいれる。





その壁はいとも簡単に壊れお互い顔が見れた。

とりあえず会釈を交わす。



 「うわ‥それ、痛くないんですか?もしかして、あの白い煙のせいで…」


「多分、…そうだと思うけど」



その青年はやけに驚いた顔をしている。



 「なんでそんな冷静なんですか…」


「冷静では…ないけど、結構もう慣れちゃったっていうか」


 「慣れた……」



なんだかすごい考え込んでいる。



青年は恐る恐る再び口を開いた。



 「…白い煙が出た日って?」


「15日前くらいですかね」




青年は頭を抱えた。



 「僕…2週間以上も眠ってたんだ…。」



俺は違和感に気づいた。



「…あれ?チョーカーは?」



この男にチョーカー型の爆弾が付いていない。



 「チョーカー?…あ、それ?」



男が俺のチョーカーを指さして首を傾げる。

監禁されている人たちに何か違いでもあるのか?




 「僕、響流星っていいます。君は…」


「粟田黒です。…響流星?」




どこかで聞き覚えのあるような名前だった。



「出身はどこですか?」


 「ニューダイブです…。もしかして君も?」


「あぁ。国境警備中にゲリラがあって、現場に駆け付けたときに拉致られた」


 「君、国境警察官なんだ。僕もニューダイブの警官だよ」


「だからか、俺流星のこと知ってるよ。」



大陸歴2701年、警察入隊生で戦闘試験、学科試験で主席をとったやつが響という名前だったことを思い出した。



 「ちょっと待って、…なにか聞こえない?」



流星が突然そういった。


たしかに、天井の方から壁か、床を叩くような音がしている。


 「これ、ドット信号だ」


トン、トントン、と意図をもって何かを伝えているのがわかる。


国境警察官の訓練にはドット信号の習得が含まれている。



俺も流星も耳を澄ました。





「「…せいぞんしゃ、ふたり…!?」」





俺たちは顔を見合わせた。



 「応答しよう」



流星は「受信」を意味する信号を格子を叩いて知らせる。



「俺ら以外にニューダイブの警官が残っているのか」



流星は格子に手を掛けた。



 「ここ、出れるとおもうかい?」


「ここに2週間もいたんだ。内側から開けられた日は一日もなかったぞ。」




そして、恐る恐る動かす。




キィ~



 「開いたよ」


「…嘘だろ。」


 「黒はここに二週間いたんだよね。」


「あぁそうだよ」


 「何かここの管理をする側の人たちに何か変化があったのかも。そもそも僕が壁をぶち壊しても飛んでこなかったんだ。ちょっと移動してみよう」


「俺、チョーカーついてるんだけど」


 「…だから?」


「ここから出たら爆発とかないよね」


 「ないんじゃないかな?」



首席生ってこんなに警戒心が無いのか。…それかなにか大丈夫な根拠のようなものが浮かんでるのか。

ひょいっと格子の外に出た。


そして俺の格子の外に立ちそれを開ける。



 「こっちも開くんだ」



俺が出るのを渋っていると、奥の方から足音が聞こえた。



「監視のやつか?」



流星はじっと音のする方を見る。





足音が止まった。





 「…子供?」

 


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