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#10 師との再会




「……グレイ隊長…!」



グレイ隊長はまっさらなフロアの光景と、白い煙の作用に苦しむ中学生ぐらいのガクの姿を見て唖然としていた。



 「黒が言っている『上司』がまさかグレイさんのこととはね」



有綺さんが言った。



「有綺さん、隊長と知り合いだったんですか?」


 「まぁね」



隊長はゆっくり俺の方に近づいてきた。



 「さっきは情けないところを見せた、黒。隊長として申し訳なく思う」


「いえ、俺こそなんといえばいいかわからなくて…」


 「まさか、この建物にこんなに人がいたなんて。俺がいたフロアと同じような状況の場所がほかにあるとも思っていなかった」



隊長は有綺さんたちの方を見た。



 「ひどい揺れがあったから上がってみたときに有綺たちに会ったんだ。いろいろな話を聞いた。俺がいかに愚かかわかったよ。朱里みたいな幼い子たちがこの状況と向き合っているというのに。


 …黒は俺が西南部支所へ向かう車の中で言ったこと覚えてるか」



俺たち西部支所国境警察隊は西南部支所でのゲリラ被害の報告を受け総動員で現場に向かった。

そこで囚われたのだ。



「『生の執着』…ですか」


 「…俺はニューダイブの人間を殺して、…それを捨てようと思った。また、人を傷つけてしまうかもしれないのに。…ただベルさんに言われたんだ」



ベルさんがこちらに向かってくる。



 「超パワーを発現してしまう可能性がある人間が一人以上いるのならより集まった方が抑止力になる。それに15くらいの子供がここには何人かいるんだ。大人は多い方がいい、これが俺たちがグレイさんを仲間に入れる理由にならないかって」



ベルさんは得意げに言った。



 「そう言われて気づいたよ。俺は理由が欲しかっただけだ。情けないよな、大の大人がこんなに説得されるまで子供みたいに駄々こねるみたいなこと。」



グレイ隊長は俺に手を差し出した。



 「一つだけ、頼む。ここでは俺はもうお前の隊長じゃない。フレッドでいい。」



俺に、否定する理由は一つもない。…少し腰が引けるけど。



 「…フレッド」



後ろで見ていた烈が口を開く。



 「俺もフ、フフ、フレッドって…呼ぶっすか!!」



「お前は余計なところで話に突っ込んでくるな…!」



俺は列の首に腕を回した。




 「…黒たちの国の軍はずいぶんフランクなんだな」



蘭が訪ねた。



「俺たちは軍隊じゃないよ。警官だ。ニューダイブに軍隊はいない。」


 「そんな国が…」



パンパンっとベルさんが手を叩く。



 「とりあえず下のフロアに戻ろう。リブとケイが待ってる。」



俺たちは新たにガクを引き入れ、グレイ隊長…フレッドも仲間となり総勢18人となった。

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