箱舟 成の始まらなかった奇蹟08
----------------
上も下も、左も右も全て
色彩のないモノクロの世界に
おれはいる
この色彩のない荒野を
おれは
最近よく見ている気がした
何故だろう
夢の正夢なんてあるのだろうか
でも
こんな場所現実にある訳ないのに
最近見ている気がするんだ
でも
前見たときには
なかったモノがある
こんなモノはなかった気する
荒野の地面に
黒い何か
ドロドロした黒い何かが
所々にある
あれは何だろう
ドロドロした黒いモノは
モノクロの空から降ってきていた
奇妙な、薄気味悪い光景なのに
何故か冷静にこの光景を見ている
自分がいた
全く動く事が出来ないから
諦めているだけなのかも知れないが
空から降ってくっるドロドロした黒いモノを
ただ見ていた
ドロドロした黒いモノが
荒れた地面を満たしていくが
良くない状況の筈なのに
おれはそれを
見ている事しか出来なくて
ただ
意識が遠く..なっていく....
.....
........
・・・・・・・・・・・
《セカイヲ・・■■■■・・・》
《ワタシノ・・・》
《■■■・・・・・》
薄れゆく意識の中
視線の先に人がいた気がした
このモノクロの世界と同じ色彩をした人
真っ白い髪に黒い肌をした人がいた気がした......
--------------------
桜花が押しかけ女房の様に着て、一緒に勉強してから数日
あれから妹の優や母さんに監視と言う拷問を受けながら
放課後や休日は勉強漬けの日々を送り
たまに桜花が家に来て勉強を教えてもらう、おれにとっては平和じゃない
穏やかじゃない日々を過ごしていて、やっと明後日には待ち焦がれ過ぎて
頭がおかしくなるんじゃないかと思う位には待ち焦がれた冬休みが来る
(決して、冬のイベントが楽しみなのではなく)
純粋に、そう純粋に長くゆっくりした日を送れる休み
社会人の人達様には大変申し訳ないが冬休みが迫っている日
今日も放課後我が家に幼馴染の桜花が勉強をしに来ていた
(何て、有難迷惑な...)
優しく気遣いが出来る小心者のおれは、リビングのテーブル正面に
座って勉強している桜花を見ながら思っていた
(本人が恐くて言えないが、思う位は許して)
大人しそうな見た目なのに押しが強すぎて困る
小心者のおれが断れるわけないのになんて卑怯な....
日本人は断るのが苦手な人種と知っての手段なのか
くそぉ...なんて巧妙で悪辣な手を......おれも今度誰かに使おう
絶対に使うぞ絶対だ!!
「なる君、またアホなこと考えてるでしょ」
「な、なんで?」
「アホな顔してこっち見てたから」
「み、見てたのは認めるけど、アホな顔は余計じゃない?」
まさか気付いていたとは驚きだ...なんだこいつ?
頭の頂点に目でも付いてるのか?てかアホな顔は余計だろ、いるか?今の一言
普段、学校とか外で皆様にしてる礼儀正しいさは何処にいったの?
おれにも多少の気遣いが欲しいです桜花さん
今のあなたを学校のみんなが見たらビックリするぞ
「必要だよ、言っても治さないんだから」
「お、おう...ごめん」
「謝罪はいつももらってるから要らないよ、わたしはなる君の成果が欲しいなぁ」
「き、きびしね....」
くそぉ...正論で攻めるんじゃないよ、真実が残酷だと言う言葉を
知らないのかこのお方はそんな残酷いらないよ、おれは優しい嘘が欲しいです!!
甘やかされてぬるま湯に浸かっていたいです....
「当たり前だよ、何年の付き合いだと思ってるの?」
「生まれた時からですね...」
「でしょ?わたしが何年なる君のダメなところ見て来てると思ってるの
甘やかしても意味ないのはずっと前に気付いてるから」
「そ、そうなんですね...」
「そうなの、これわたしの誠実さだからアホな事考えてないで勉強してね」
これが長年一緒にいた弊害なのか、恐ろしい.....
遠慮の欠片も存在しないとでも言うのか桜花さんは
桜花の辞書におれを甘やかすと言う言葉が存在しない事が
今日判明してしまった.....いや、知ってたけどね?でも本人を前にして
言うとは誠実の使い方がおかしいよ
そんな言い合いをしながら、2人で黙々と勉強をしていって
優が帰って来る時間になったあたりで桜花が帰り支度を始めた
「あれ?今日は夕飯食べていかないのか?」
「さすがに、毎回もご馳走になるのは悪いしね」
つい数時間前の自分を見て欲しいとこの時おれは思った
君の遠慮ない言葉にボコボコされたおれの心にも
その気遣いが欲しかったです!桜花さん!!
「あ!そ、そうそう」
「うん?」
「な、なる君はさ、もうクリスマスのプレゼント買った?」
「いや、まだ買ってないけど」
「そ、そうなんだ...」
なんだ?いきなり
まぁ桜花がこんな事を言うのにもちゃんと理由がある、別に2人でクリスマスを
過ごすからこんなことを言っている訳じゃない、毎年クリスマスの日に家の箱舟家と十山家は
クリスマスパーティーをしているんだけど、その時にみんなでプレゼントを交換するんだ
桜花は、その時に交換するプレゼントの事を言っているのだ
理由は分かるが、それでも唐突だなクリスマスは明後日だぞ?
今クリスマスプレゼントの話をするのか?まだ買ってないおれが
言うのも変なのは分かってるけど、なんか女の人はそいうのもっと
前もって準備してるものかと思ってた(偏見)
それにおれがまだプレゼントを買ってない
のには理由がちゃんとある
「はぁ...まあな」
「どうしたの?溜息なんかして」
「いや、自分の誕生日の日に自分以外の人のプレゼント買うの変だろう」
「今更じゃないかな」
「まぁそうなんだけど」
まぁそうなんですよおれの誕生日12月25日クリスマスの日
なんだよ、なんか完全にこれじゃない感が強すぎるんだよな
前は誕生日プレゼントとは別にクリスマスプレゼントを貰ってたが
ここ最近はそんな事なくなった
いや、別に良いんだけど何かね
寂しいんですよね.....,,
「なら、良いじゃない誕生日とクリスマスが同じお蔭で
毎年ちゃんとみんなから祝ってもらえるんだから」
うん?今なんかおかしかったな
「それは、おれの誕生日がクリスマスと被ってなかったら
祝ってもらえないみたいに聞こえたんだけど...」
「うん!間違いないね!」
うん、良い笑顔貰いました!!
「そこは、否定して!」
「それは、厳しくないなる君」
「そんな事ないね、優と母さんは祝ってくれるね!!」
「か、家族だけなんだね...しかも凄い力がこもってる」
友達?はッ!何それ?!そんなのこれまで
いた事ないですけど!!妹と母さんがいれば十分ですよ!!!
「て...違う違う」
「何が、違うんだ?おれの家族は偉大だぞ?」
「そこはもう良いから」
「な、なんだと...!」
桜花さん、まさかおれの大事な家族をそんな風に
思っていたんて信じたくなかったよおれ!!
「だ、だからそうでもなくて、なる君の所為で話がそれちゃったよ」
え?今さっらとおれの所為にしなかった?桜花?
おれの所為だったか?う~ん分からん
「だから、まだプレゼント買ってないんだよね!」
「は、はい!」
あ、圧力が...戦闘民族の圧力が....
女子中学生が出す圧力じゃないよ...桜花
「じゃあ、さぁ明日の放課後、一緒にプレゼント買いに行かない?」
「え?なんで?」
「わたしも、まだプレゼント買ってないし...良いでしょ?」
「でも、桜花今日友達にクリスマスイブ誘われてなかった?そっちは良いのか?」
「見てたの?」
「あぁ、帰る時に聞こえてきて」
桜花は、意外でもないけど友達は多い方だと思う、身内贔屓を抜きにしても
あまり派手に目立つ訳ではないが見た目は良いし、受け身の姿勢の所為か聞き上手な
お蔭か元々の人の良さのお蔭か自然と友達が沢山いる
そんな桜花のためおれは学校では距離を置いてる
おれみたいな変な奴がいると桜花も苦労するし変な噂をされても
桜花が可哀想だから、学校外ではこうしていつも見たいに付き合っていけるのだから
なにも問題はない
最初は微妙な顔していたが、学校での関係が大事なのは
桜花も理解しているから納得してくれた
だから、おれはてっきり学校の友達とクリスマスイブを
過ごすと思っていたのだがどうやら違うらしい
「さ、誘われてたんだけどね...プレゼント買ってないのを
思い出してね、友達を買い物に付き合わせるのも悪いし断ったの」
「なるほど」
「で、どうせなる君プレゼントまだ買ってないと思って
だから一緒にどうかと..思ったんだけど...」
「ふむ」
「ど、どうかな?」
おれは、鈍感系じゃないここまでの反応とさっきまでの会話
そして何故かここ最近いつもの頻度を超えて家まできてたわざわざ勉強を口実にしてまで
ここまでくれば、馬鹿でも分かるな、これは前から計画されたお誘いだと
そう勉強を見てもっらていたおれには、この誘いを断るなんて出来ない
それにプレゼントを買ってないのはもう知られてしまった、一緒にプレゼントを
買いに行く何ら不自然なことはない、お互いまだプレゼントを買ってない訳だし
パーティーは明後日、今日はもう遅いから無理だおれも夕飯の準備をしなければならないから
つまり、明日しかプレゼントを買える時間がない、当日で良いんじゃね?
何て思ってる奴はいないだろうなぁ買ったプレゼントはMySisterに
渡るかも知れないんだぞ!!適当に選べるわけないだろう!!!
それに普段から優と仲が良い桜花の意見を聞いて
プレゼント選べるのは凄く助かる(妹にプレゼントが行く前提)
やるな...桜花....勉強を見てもっらた貸があるおれには断れない
流石は幼馴染だおれが断れなくなる手段をこうも張り巡らせて来るとはな
今の照れてる姿も演技のくせに、おれにはマジで照れてるようにしか見えないなんて
良いだろう...この勝負、桜花お前の勝ちだ
クリスマスイブだしな勉強を見てもらった貸を
しっかり清算してやろう.....(迷信)
「....そうだな、明日買いに行くか」
「うん!じゃあ今日はもう帰るね!」
「あぁまたな...」
「明日ね!バイバイ!」
なんかテンション高かったなそんなにおれに何か買わせたいのだろうか?
いや、別に良いんだけどおれの財布HPもつかな.......
妹の優と母さんと夕飯を食べてる時
「成、明日どうする?」
「どうするって?」
「だって、明日クリスマスイブでしょ?母さん何か買ってこようか?」
「なんでまた?」
「だってね、優は友達と予定あるって言うし」
「うん、夕方過ぎに帰る」
「ほらね、成は予定ないでしょ?イブに何もないのは可哀相だし、ケーキ買ってこようか?」
「い、いや別に良いからいらないから」
「でもねぇ」
「成、母さんに買ってきてもらうのが恥ずかしならアタシが買ってこようか?」
「違う!そこじゃない!!」
「?」
「??」
「家族からのおれの評価はしっかり分かったから!大丈夫だから!!」
「「成...」」
「同情もいらないから!あしたは桜花と出掛けるから!大丈夫だから!ちゃんと予定あるから!!」
((驚愕))
(か、母さん..つ、ついにお、桜花ちゃんが...)
(あ、慌てちゃ駄目よ...ま、まだ確定じゃないわ.....)
((うん!))
「な、成..そ、それは...デ、デートなのかしら?」
「うん?いや違うけど25日のプレゼント買いに行くだけだけど」
(クッ!..この兄手強過ぎる....)
((桜花ちゃん、こんなんだけど頑張って))
「???」
こうして、おれは明日を迎える