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歩み続けた先に  作者: 白黒はんてん
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理外の存在

彼が魔人に至った始まりの物語の一部です

荒れ果てた村の中で、意識も曖昧で唯そこに歩み続けた、、、、


身体はボロボロで痛いのだが唯そこに向かって歩み続けた、、、、、


視線の先に、大好きで大切でずっと一緒に居たいと思っていたはずの誰かの元に、、、、


もう、、、自分が誰なのかも分からないがただ、視線の先で倒れてる人が大事な誰かだと

心が言っている気がしてただ歩み続けた、、、、。



「.....ッ、......ナ...ル...」



「....も..う、ダイ...じょ...うぶだ....よ...」



「ご...ごめん..ね、ごめんね...ナル...」



倒れていた彼女の元に何とかたどり着き、おれはそれだけで満足な気持ちになった

だけど彼女は自分の身体もボロボロなのに、おれの方を気遣いながら泣いて謝り続けていた

だから、おれは笑いながら彼女を許した



「ダイじょウぶ..ダよ.... お..レは だイジョうぶ... だかラ...」



「守るって....何があっても守るって約束.....したのに...」


「約束...やぶって....ごめんね.....」



もうおれには、彼女の名前も何を約束したかも思い出せないなかったけど彼女が約束を果たそうと

してくれたのは、その凄惨な身体を見ればわかったので気にならなかった

ただ彼女の側に、曖昧な感覚の中で彼女の身体の感触を感じれれば満足だった



「もウ....ダイ...じょウブ...だよ...おレは...フ..フィ....っ」


「ア...れ? ふ..フィ..... アれ おかシイな....」



さっきから何度も何度も何度も思い出そうとしているのに!

何で思い出せないんだよ!!おかしいだろ...おれは彼女とずっと一緒に過ごしてきた筈なのに....

何で...なんでなんだ....!



「...っ、い、良いんだよ大丈夫だから...ほらおいでナル..」



「ゔん...」



「だ..いじょう...ぶナルが...分かんなくても...わた..しがナルを...ちゃんとナルだって...わかってるから...」



悔しくて悲しくって...所々は覚えてるのに一緒に遊んだ2人の友達も....

今目の前にいてくれてる彼女の名前も...おれは思い出せないのに...彼女はおれを安心させる様な

優しい笑顔を向けてくれるそれがたまらなく嬉しくておれは彼女そっと抱き抱えた

それしか彼女にしてあげられる事がないと思ったから



「あ...ありがとナル..わたし...うれしいよ...すごくうれしいよ...」



「ヴん...もう...ハナさナいで...ずっト....イっしょ..ダ」



「そうだね..何が...あっても....どんな形でも.....わたし達は....一緒だから」



「ヴん」



「だか..ら...ナルは....生きて...」



「エ?...」



「たとえ...血は..繋がって...わたしはあなたを...ナルを....愛してる...この先何が...あっても....

わたし達は....家族.....だから......それだけは....忘れないで.........」



おれには彼女が発した言葉が理解出来なかった、今の2人の惨状で助かるとは思えなかった

そんな事は彼女の方がわかっている筈なのに何故彼女はおれに生きる事を望むのか

おれには、まったくわからなかった



「愛してるよ.....ナル........わたしの.......愛しの.......子.....」



「何があっても....わたし達.....は...一緒だから...だから.....安心して....ナル」



そう言って彼女はおれの胸に手をかざした、その時自分の身体の中に何か暖かいモノが入ってきた

感覚になりそのお陰なのか今まで身体を蝕んでいた嫌な感覚は暖かい何かよって抑え込まれた気がして

次第に意識がはっきりした時には、蝕まれた感覚は無くなり身体中を暖かいモノで包まれてる感覚になり

心が安心感に包まれていた



「よかった....上手くいって......くれたわ......」



「っ!」



「ナル....愛してる......本当に........愛してるわ........わたしの........た.....か.......ら........も..の.........」



「あっ......あ.......あぁっ....」



そう言った彼女の身体は足先から徐々に塵となっていくのをおれは唖然としたが直ぐに塵となっていく

足を止めようと歪な両手で抑えたが、彼女の身体が塵になるのは止まらず次第に胸の辺りまで塵に

なってしまっておれは消えていく彼女ただ抱き抱えて抗うことしか出来なかった.....



「あ....ぁ.......あ..........あぁ...........」



彼女の全身が塵となってしまい空を舞う、彼女の塵をおれはただ歪な腕の中で見ている事しか

出来ず悔しくて悲しくて悲しくてこの理不尽な出来事に泣き叫びながら嘆くしか出来なかった....



『ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!......』



この日1人の魔人が生まれた


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