プロローグ 〜とある騎士の手記〜
初めての小説執筆。
正直言ってあまり語彙力もないし頭も良くはないし、小説書くのに向いてるかと言ったら向いてないんだろうけれど、それでも趣味の範囲で書きました。
大した話にはできませんがよろしくお願いします。
––––●●年、3月23日。
これまでの事を思い出すと、割と悪くない人生だったと思う。平凡な毎日を過ごしているより、生死の狭間を潜り抜けてきた今の自分の方がずっと良い。運が良いだけだろうし、これからもずっとそうだとは限らないが。
戦うことに恐れを抱かなかった日はない。この世界でそう生きると決めたのは自分の意思だ。それでも、先に逝ってしまった人達のことを思うと足がすくんでしまう癖が未だに直らない。立ち上がることさえ躊躇われるような死の吐息が首や腰をなぞる感覚は慣れるものではないから。
夢の中ですら安息の地に足を下ろすことはなかった。僕みたいな騎士が心の安らぎを求めるのは傲慢だと、命のやり取りでしか正しさを証明できないこの世界が言い放つのだ。
そんなことで僕は凹むし、朝が来ても震えたまま、その程度の騎士なんだと自覚させられる。それでも、僕には前を向く理由があった。
「私は貴方の生に意味を与えたい!その生き様を見た人々に、貴方の生が無駄ではなかったと思わせてあげたい!」
あんなに身を縮こまらせて、死に向かう身体を奮い立たせて、自分なんかよりよっぽど弱い人間を真っ直ぐ見つめて、そんな言葉を突き刺したヒトに。
僕はただ、歯向かうだけの力があることを、教えてやりたかったのだ。意味のある生き方をして、見返してやりたかったのだ。そして何より、あの時の自分の言葉を––––––––
「こんな人生、無いのと変わらない」
…どうやら、出発の準備が整ったみたいだ。これで、この手帳とも未来永劫おさらば。戦地に手帳を持っていくような騎士では、カッコもつかないだろうから。
昨日のうちに、あの人達との別れも済ませた。どんな顔をしているかは分からないけど、みんながみんな、僕の気持ちを把握できるなんてことはないだろう。この戦いの中で紡いできた絆やら、思い出やら、全部を知ってるのは僕だけだから。みんなの知らないことを知っているというのはあまり気分の良いものじゃない。だから、あの人達にもいつか伝えにいくつもりだ。いや、いつかと言うよりかは、これから、なのかもしれない。どっちにせよ、僕はもう此処には戻らない。仲間たちも理解して、その上で臨むのだから。
この手帳を誰か別の人が見ているのならば、どうか笑い飛ばしてほしい。死ぬのを知っていて戦いに赴く僕の後ろ姿を。そして、出来れば祈ってほしい。この戦いで失われた、全ての生命の安らぎを。
僕は、最期の瞬間に笑っていたいと、そう思う。
…ちなみに現実に書いてる別の小説があって、この話はそれのスピンオフみたいなもんです。登場人物の1人にスポットライト当ててみた的な。
どうでもいい話ですけどね。
これはまだプロローグなんでどうしようもない話で勘弁してください…。