コーン缶
登場人物
紫さん…………私ね。
りゅーくん…………缶詰め好きに違いない旦那様。
クーシャ…………黒猫さんだよ。
霧島たん…………旨い。
「何かな?」
「ホールコーンだ」
りゅーくん缶詰めフェチなの?
「何でかな?欲しいのはおつまみさんだよ」
「最近塩分を取りすぎだ」
いや、ホールコーンだってお塩入ってるからね。
仕方ないねりゅーくんにバレないおつまみさんを作るしかないね。
「スプーンでいいか?」
「いや…………まあ使うけどさ」
缶詰めの蓋をカポッと空けるよ。
そのままキッチンへ。
「…………」
「なぁん」
いや、クーシャのごはんはもうあるでしょ。
「まずザルにザバーっとね」
水分を切るよ。
「んでフライパンにコーンを入れて切ったハムを少し入れて…………バターを一欠片」
小さく切れてるヤツね。
「加熱するよー」
バター香るコーンかな。
「バターコーンか」
「えー、りゅーくん言っちゃうの」
見たまんまだけどさあ。
「なぁん、なぁん」
「いや、クーシャは食べないでしょ」
「バターが気になるんじゃないか?」
…………油舐めたいとか猫又なの?
バター猫とかは言わないからね。
「さて、バターコーン、ハム入りの完成だよ」
シャキンだね。
「そのポーズは必要なのか?」
別に必要無いよ。
「どれ」
「あー、なにりゅーくんつまみ食いしてんのよ」
「なぁん」
いや、クーシャはあげないからね。
「なかなか旨い」
そりゃそうだよ、美味しい物混ぜただけなんだから。
「ちょっとー、私のおつまみさんなんだからあんまり食べないでよ」
「なぁん、なぁん」
「少しだけだ」
嘘だー、スプーンいっぱいに盛ってるじゃん。
「あー、無くなるー」
「なぁん」
「…………これでいいだろ」
りゅーくんはコトリと缶詰めを置く。
「何かな?」
「ホールコーンだ」
見たらわかるよ、もう一回作れって事でしょ。
「むう…………次のはりゅーくんにあげないからね」
「なぁん」
クーシャにも無いってば。
りゅーくんは全部持ってった…………いや、なにその諸行。そんなに気に入ったの?
…………私の分あげないんだからね。
「なぁん」
「はいはい、クーシャはりゅーくんにたかってね」
私は作り直しなんだから。
クーシャと激しい戦いを終えて私のバターコーンが完成した。
「…………なぁん」
「いやクーシャはおやつのササミあげたでしょ」
ま、負けて無いやい。
さて、霧島たんを準備してコタツへ。
「あー、りゅーくんもう食べちゃってる」
「なかなかだった」
「はいはい、…………あげないからね」
「…………」
しっかり食べたでしょ。
ん?りゅーくんなんか作るの?まあいいや。
霧島たんをお湯割りにして一口。
「んふぅ…………」
しみる…………。
んでしみたところにバターコーンを…………。
「ん…………甘くて美味しい」
霧島たんをそこに…………。
「うん、うん」
霧島たんにコーンの甘さとバターのコクが合うよ。
ハムがちょっと塩味してるのもいいね。
あ、りゅーくんがなんか持ってきた…………。
「りゅ、りゅーくん、それはまさか…………」
「味噌ラーメンだ」
カップ麺だね。
「わ、私の分は?」
「…………わかるだろ」
く、私のバターコーンが…………あ。
「まさかりゅーくんそのラーメンに」
「入れる」
「ぬぅ…………残りあげるから、あげるからぁ」
りゅーくんがコトリと小さいドンブリを置いた。
「りゅーくん」
「全部は食べ過ぎだらな」
やっほい、バターコーン味噌ラーメンだ。
「んー、美味しいに決まってんじゃん」
「そうだな」
私はラーメンでお腹が膨れてふと思った。
「あれ?私一杯しか飲んでないよ」
「そうだな」
あれ?
なんか今日はりゅーくんにいいようにやられた気がする。
レシピ
フライパンに水切りしたホールコーンとバター、お好みの具材を入れて加熱、完成。
ハムとかアスパラなんかが無難かな、黒胡椒なんかで味変えもオススメ。