少女怒られる
悪役令嬢サイドで、瘴気を光の魔法で浄化したとありますが、それ以外での解決方法考えてます。多分無理のない設定思いつくかも
眠ったのもほんの少しのようですぐに街についたと声を掛けられ目を覚ましこれからの事を話されます。
街についてアリアさん達はギルドに報告に行くようで、先じんじて偉い人だけに報告して整理してから私を交えて報告したほうがいいとのことで、翌日私も一緒に改めて報告に来るように言われました。
とりあえず今日のところは私はお母さんの元に帰って、明日までにアリアさんが製薬の準備をしてくれるようでそのことを彼女に任せ、みんなと別れた私は早くお母さんに会いたい一心で家路を急ぎます。
家が視界に移ると帰ってこれたという安堵と魔狼との戦闘での恐怖がよぎり涙が溢れそうになるも、それを拭いカギを開け玄関を開け。
「た、ただいま~」
急いで帰ってきたとはいえ時刻は既に10時を回っており今日はお母さんは仕事のない日の為居間に居るかともったが姿は見えず、そのことにひとまず安堵しもしかしたらまだベットに居るのかもと当たりをつけるも、ふと自分の格好を見下ろと。ローブで隠してるとはいえその下の服や装備がボロボロ、血だって滲んでる。うん、絶対怒られるし心配される。音を立てないように忍び足で自室へ向かい。息を殺しながら自室の扉を開け身体を滑り込ませて扉を閉めると…
「お帰りなさい」
眠ってると思われたお母さんが冷たい笑みを浮かべベットに腰かけていました。何故でしょう、浮かべているのは笑みにも関わらず背後には黒いオーラと纏った般若が見えます。
「た、ただいま、お母さん…」
引き攣る笑みで何とか返事をするも内心は滝のごとく冷や汗を流し心臓はけたましく脈打ち脚が生まれたての小鹿のように震えます。おかしいですね、魔狼と対峙したときの様なプレッシャーを感じます。
「ねぇ、セシリア?お母さんに何か言う事は無い?」
来ました世のお母さんのお話術その1『何か言う事は無い?』です。
「え、え~っと...ご、ごめんなさい?」
お母さんの笑顔に巧い言い訳も思い浮かばずとりあえず曖昧な笑みを浮かべながら謝罪する私に、おもむろに立ち上がったお母さんはそのまま何も言わずに近づき纏っていたローブを剥がし、私の悲惨な恰好を目に入れるや否やその表情をしかめ
「ケガは無い?気持ち悪かったりしない?大丈夫?」
動転を抑えながら傷の確認をする母、当然だろう。夜間に居なくなった娘が朝帰りしてきたと思ったら服は血まみれ装備はボロボロで左腕に至っては肩から先の服がなくなっている。傷はないし大丈夫だよと伝えると、本当なのが伝わったのか安堵すると一転キッと怒りの表情を表すと、大きく右手を振りかぶり。
バシンッ!
左頬をビンタされ、そのまま顔をそむけていると両頬に両手を添えられ無理やり目線を合わせ。その瞳は涙が溢れ、怒りからか悲しみからか瞳は揺れ形のいい唇はわなわなと開かれ。
「どうして叩かれたかはわかるわよね」
「うん」
「貴方が私の為に危険な冒険者をしていることはわかってるわ、親として不甲斐なく思う。けがをすることだってあるし死んじゃうことだってあるかもしれない。でもね、セシリア。私は貴女に何かあったら凄く悲しいの、それこそ生きていく気力がなくなっちゃう位。だからお願いセシリア?あんまり危ないことはしないで?ね?お願い...」
気づけばそこには怒りはなく、涙を溢れさせながら懇願するように語りかける一人の母親の姿が。
そんな母にそっと優しく抱き着き私はただ語り掛ける。
「勝手に危ないことしてごめんなさい。でもね、お母さん。私もお母さん居なくなったらすっごく悲しいよ?お母さんの為にって思ったらどれだけ怖くてもつらくても頑張れる。だから多分それは約束できない、これからも危険なことはするかもしれないしお母さんを心配させることになるかもしれない。でもね、私絶対に死なないから。絶対に死なない、それだけは約束するよ?」
毅然と覚悟を示す私に、お母さんは一瞬表情を曇らせるもすぐにその意志の強さを感じたか、諦めたような笑みを浮かべ抱きしめ返す。
「馬鹿な子…そんなんでお母さんが納得するとでも思ってるの?」
「ご、ごめんなさい」
「もう。しょうがない子なんだから...それで?昨日は何をしてきたの?」
「へ、へへ。今は秘密っ!」
「ふ~ん。親に心配ばっかりさせる悪い子は隠し事までするようになったのかしらぁ?」
「ちっ!違うよ!今は!今は秘密!すぐに教えるから、ね?」
重い空気から一転穏やかな空気が流れ二人は再び抱きしめあう、そこには冷たさも悲しさもなくただ暖かな感情だけが支配していた。
正直今すぐにでも病気が治る手段が手に入ったと伝えたいが、もし薬が効かなかった場合を考えると変にぬか喜びさせたく無いため今はお茶を濁すしかなく。訝しむ視線から苦々しく顔を逸らす私にため息をこぼしながら
「まあ、仕方ないわね...でも暫くはゆっくり休みなさい!貴女最近働きすぎよ、私だって働いてないわけじゃないんだから少しくらい休んだって困らないわよ。良い!これは危険なことした罰なんだからね。」
「はーい」
何とか許してもらった私は何があったかを後日説明すると約束し、その日一日眠るときまで片時もお母さんから離れず過ごした為。いつもより甘える私にお母さんは苦笑しながら頭を撫で、濃すぎる一日は幕を下ろしました。
~~~~~~~~~ギルドside~~~~~~~~~~~~~
「それは本当なのか?」
「間違いないね、森の奥にいるはずの魔獣なんかが浅いところまで出ているのも確認したし、何より深層の瘴気なんかもやたら濃かった」
「姐さんの言う通り魔獣だけじゃなくて魔物なんかも血気盛んな感じだったぜ」
「むぅ。瘴気の活性化による邪神復活の兆しに特殊な力を持つ少女...」
「ここまでそろえばもう確定だろうね、ただ。伝承の聖女とは全く違った力だからいまいち確証が持てないくてね、その子には明日来てもらう事にしたわ。それまでに聖女についてと邪神について調べてもらえるかしら?」
「そうだな、こちらで調べられることは調べておこう。その少女についてはそちらに任せても良いか?」
「構わないよ、どっちにしろ個人的な約束も取り付けてる訳だし。」
「助かる。それでは明日までに集められる情報を集めよう。」
「ええ、また明日。ギルドマスター」
誰もいなくなった部屋でギルドマスターは独り言ちる
「再生能力と膨大な魔力の少女...伝承とは全く異なるが、果たして我々の助けになるのか」
最後の一日の締め。なんて表現したらいいかわからなくてもやもやする