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少女は説明する

長くなりすぎず、短すぎずの塩梅がムジカしい

 「ん...うぅ~ん」

 身体が大きく揺れる感覚に意識が覚醒する

 何処だろうここは、揺れてる?馬車?自分は確か湖に花を取りに行って魔狼と戦って...そうだ花!!!

 「花っっ!!!花はどこ!!??」

 背嚢にいれたはずの花どころか背嚢すら無い、完全な丸腰。ここに来て自分が魔狼との戦闘の後気絶したことを思い出し、最悪の事態を想定し血の気が引いていきます。


 「おっ、姐さん!お嬢ちゃんおきたっぽいすよ!」

 「そうかい、ちょっと待ってな今御者変わるから!」


 話し声が聞こえて改めて周りを確認します。私は馬車の御者側に居て、その目の前には茶髪のさわやかな笑顔の青年、その隣にはスキンヘッドの顔に傷のある大柄で強面の男性、私の隣には青みがかかった肌色の中世的な少年?神官がいて、と確認していたらスキンヘッドさんが御者席へ行き入れ違いに真っ赤な赤髪を腰まで伸ばした暴力的な体型のグラマラスなお姉さんが入ってきて話しかけてきました。


 「おはよう、お嬢ちゃん。気分はどうだい?体調に問題はないかい?」

 「はっはい、特に不調はないです。寧ろいいくらいです。それより私の花...背嚢知りませんか!?」

 自分の体調よりあの花です、あの花がないとお母さんが...


 「ん~?そうかい不調はなしか、っで、あんたの背嚢というか月零花のことかい?それなら無事だよ。ほれっ」

 お姉さんはそう言いつつ背嚢渡してくれます、良かった...無事だった...苦労が無駄にならなくて安堵すると涙があふれてきます。


 「よっぽど大事なんだねぇそれ。でもとりあえず質問してもいいかい?」

 お姉さんが、微笑みながら聞いてくるので頷くことで肯定します。


 「まずどうしてお嬢ちゃんが夜にあんな場所にいたのかってのはその花を取りに行ったてことでいいかい?」

 頷いて肯定します


 「次にお嬢ちゃんと一緒に倒れてた魔狼が断頭されてたのはあんたがやったのかい?」

 あの時のことをしっかりと思い出し、はっきり頷きます。


 「はぁ~、嘘ついてる感じはしないけど信じられないねえ...」

 おねえさんがため息を吐きながら愚痴ると、横の少年が話しかけてきます

 「そういえば自己紹介がまだだったね、僕はエディ。治癒術士で神官だよ。それで、今質問してたお姉さんがマリア、魔術士ね。で、向こうの奴がブライアン、斥候兼弓術士。チャラチャラした奴だけどねはいいやつだよ。で、最後に御者やってるのがうちのリーダーのアルノルト。寡黙で強面だけどものすごくいい人だからよろしくね。」

 「セシリアです、Eランク冒険者です」


 全員の紹介をされたので挨拶しかえします。


 「セシリアちゃんね、それでセシリアちゃん。そのボロボロの服に対して傷が一つもないこととかあの魔狼をどうやって倒したか教えてもらえるかな?」

 当然聞かれますよね、普通Eランクのそれも子供が魔狼を倒したなんて信じられないでしょうしどうしたものか考えていると。


 「あ~、嬢ちゃん俺たちのこと疑ってるかもしれねーけど、俺たちその魔物...というか森の奥の異変を調査しに来たんだぜ。それぜ調査から帰ってる最中お嬢ちゃんが倒れてるのを見つけて、今帰りの馬車の中なんだぜ。それに俺らAランク冒険者の《黒鉄の獅子》なんだぜ」

 私の沈黙を疑いの物だとおもったチャラ男さんが説明してきます、なるほど。やっぱりあの魔狼がいたのは異常によるところだったんですね。それにAランクのPTなら大丈夫でしょうか。


 信じられるかどうかは置いておいて、包み隠さず1から説明します。


 「正直、私自身あの時の事をいまだ信じられないんですけど。夢じゃないってのだけはわかってます」

 私の説明を聞いた一同は、深く考え込んでしまいました。

 「突然の魔力と肉体の再生ねえ」

 「願いを聞き入れたといった女性の声ですか」

 「信じられねえけど、じじつなんだろうなあ」

 

 それぞれ何とか飲み込もうとしているとリーダーさんに声を掛けられました

 「その再生能力は自分でどういうものかわかっているのか」

 リーダーさんは私の再生能力がどういうものなのか自覚しているか気になるようです。

 「なんとなくですが、私の魔力がなくなったら再生しないような気がします。」

 そう、なんとなく自分の再生能力のちからは急にふえた魔力に依るものだと考えられるんです。

 「そうか、不老不死というわけではないんだな」

 「あの時思ったことをそのまま咀嚼したら普通そうなりますよね...はは...」

 確かにあの時私は死にたくないと心の底から願い、口に出したおかげでこの力を手に入れることが出来た。あのことばそのまま受け取るならただの不老不死の可能性だってあったのだ、いや十分強いけどそれは私の欲しい力じゃない。だってそんなの好きな人と一緒に死ねないじゃないか。


 「つまり、セシリアちゃんは死の間際に心の底から【死にたくない】と願ったら神様的な声が聞こえて膨大な魔力と、それに依存する再生能力を手に入れたと…」

 アリアさんが何とか落とし込みこちらを見据えてきます、なんでしょうとても真剣な表情です。

 「正直あたしも死の淵をさまよったこととか何度かあるけど、そんな声が聞こえたことはないわね。となるとセシリアちゃんが何か特別な存在って考えるのが妥当よねー」

 そう言われた瞬間、身体に冷たい感触が走りました。【転生】それは私がこことは違う世界の人間の魂を持つ事、関係が無いとは思えません。

 そんな私の表情を見て何かを察したのか、フッと柔らかく微笑むと空気を入れ替えるように明るい声で話してきます。

 「とりあえず、そこら辺の事は落ち着いて話そうかね?そこでだ。お母さんの病気を治すための薬だけど製薬の当てはあるのかい?」

薬の材料は有るけど製薬できるかと効かれて、宛が無いわけでは無いけど作れそうな人を探すと答えるとアリアさんは苦笑しながら提案を持ちかけてきます。

「困った子だね、月零花の薬はそこらの製薬士には難しいんだよ。なんせ希少な素材だからね、レシピが知られてないんだよ」

そんな言葉に頭を殴られたような感覚に陥り、吐き気が込み上げてきます。苦労が無駄になったと言われ絶望してると


「でも安心して、あたしなら作れる。貴方の苦労は無駄なんかじゃない」

項垂れる私を諭すように、優しく包み込むように肩を抱きながら言う言葉に沈んだ心が跳ね上がります。

「ほ!本当ですか!?お願いします!お礼ならなんでもしますから薬を!お母さんを助けてください!」

「任せて、貴方のお母さんをきちんと救ってあげるわ。」

差し伸べられた希望に縋るように必死でお願いするとアリアさんは自信たっぷりに笑みを浮かべながら答えてくれます。その言葉に安堵した私は、母が助かるという希望に礼を言いながら嗚咽を漏らしながら、気付いたら眠ってしまいました。

 

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