悪役令嬢は困惑する
悪役令嬢は悪役令嬢で頑張ります。
自分は悪役令嬢だ
そう彼女は気づいたら理解した、いや。理解させられたといったほうが正しいのかもしれない。
メアリー・ロンドベル 伯爵家第一令嬢 13歳
蒼天のような長い髪に真っ赤真紅の瞳、気の強そうな細められらた目と長く通った鼻筋に薄く伸びた唇、が常に人を威圧するような鋭い表情に多くの人々は姫ではなく女帝といったイメージがつくだろう。
そんな彼女が前世の記憶を宿したのは5歳の時、父親の腕に抱かれながら乗馬をしていたが、突然馬が嘶き体制を崩したメアリーは落馬してしまい、その時の衝撃で自分には18歳で死んだ日本人の記憶と自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したことを理解する。まるでそれが当たり前かのように
そして彼女は自分が辿るであろう結末を考え、始めは異世界に、自分の好きだったゲームの世界に興奮する
「異世界転生キターーーーーーー!!」
が、自分という存在を正しく認識すると絶望してしまう。
「オワタ...orz」
何故ならこの時自分はすでに第一王子ルディウス殿下の婚約者という席に収まっている為、主人公がこのまま現れると自分は破滅してしまうやもしれない。そんな未来におびえた彼女は必至で生き残る道を探した、性格を設定とは真逆に、お淑やかされど奔放(素面)に、そして自分の魔術の腕をひたすら極めた、特に彼女のゲームで知った設定を元に自分に適性のあった水と治癒魔術を幼いころからひたすらに学び続けた。
が、そんな彼女の努力は13歳になったとき裏切られる。何故なら主人公であるセシリア・オルトバーンが学院に来ないのである、設定通りなら彼女の母親は女中ながら侯爵家当主の寵愛を賜り子をなすも、それを快く思わない夫人に貶められ出奔し、その娘が13歳の時に患った病が悪化し死んでしまい、残された娘を侯爵家当主に引き取られ、貴族のことして入学し彼女の自由な優しい気質と、あるイベントで聖女として覚醒し光魔法を授かった力で魔獣や瘴気を浄化し、攻略対象たちとともに瘴気をまき散らす邪神を消滅させる。という設定のはずなのに肝心の主人公は現れず、脚本通りに進まない展開に混乱し、いずれ訪れる邪神復活に戦々恐々する。
「可笑しいですわ、設定通りなら彼女はもう入学しているはずですのに。どうして...まさか主人公も転生者?それとも...私のせい?」
そんな彼女が全く脚本と違う展開になり、主人公がまったく設定と違う力に目覚めたと知ったらどうなってしまうのか。