DADARAY『DADAISM』(2017年)
●ダダじゃない休日課長のユニット
DADARAYは、ゲスの極み乙女。の休日課長のユニットだ。ベーシストの休日課長が実力派の女性ボーカリスト二人を加えて川谷絵音の作った曲を演奏する。
バンド名にも作品名にも「ダダ」を冠しているが、これはダダじゃないと思う。
CDの帯を見ると、「バンド名のDADARAYは、既存の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想を大きな特徴とする“DADAISMのDADA”と“光を意味するRAY”を組み合わせた造語で、“既存の秩序や常識を破壊する光”という意味合いが込められている。」とのこと。
僕が思うダダとは、破格や破調を用いた定型を逸脱する表現様式。だが、この作品にあるのは格調高い構築美だ。既存の秩序や常識に挑戦しているのかといえば、答えは否だ。現代の大人のポップスとダダイズムを両立させた新しい表現を見ることができるのかと思っていた僕は、ここでまず肩すかしをくらう。
●全曲レビューとオススメ曲
#1「イキツクシ」。ジャジーなポップスで、他のバンドだとTetra+の演奏を連想させる。「大人な雰囲気を感じさせる上質なポップスを軸とする音楽を表現したい」というコンセプトに見合う曲。
#2「block off」。ロック色の強い曲。サビの盛り上がりはライブも意識していそう。
#3「ダダイズム」。生音ヒップホップ。このミニアルバム中では最もダダイズムのコンセプトに近い無秩序さを感じる曲。実験的であるので万人にはオススメできないが、新しい試みをしているという点でオススメ。
#4「美しい仕打ち」。シンセも入ったジャジーなポップス。川谷さんの思う女性像が歌詞に反映されているとしたら、随分と川谷さんに都合の良い女性像だと思う。
#5「灯火」。発売元である灯火レコーズの名前の一部を用いている曲。ドラムが鳴らない静かで穏やかな曲。
●やはりゲス極が好きだなあ
indigo la end、ゲスの極み乙女。、DADARAYの川谷絵音関連3バンドを比べてみて、やはり僕はゲスの極み乙女。が好きだと思うのだ。
バンド演奏のダイナミズムと軽快さによる気持ち良さ。胸襟を開いて弱みまでさらけ出すような川谷絵音のボーカル。この二つが最も特徴づけられて聴けるのは、ゲス極だと思うからだ。
と、そこへ飛び込んできたゲス極の5月10日ニューアルバム発売&発売日にZepp東京でライブのニュース。これは僕にとって朗報だ。今からニューアルバムを楽しみにしている。
本作品は良質なポップスだとは思うものの、僕にとってのフックに欠けていて、唸らされるような佳作ではなかったです。だけど、終始うねる休日課長のベースはやはりこの作品でも素晴らしかったと思います。
Score 5.8




