表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/127

笹口騒音ハーモニカ『うるう年に生まれて』 『おんがくのじかん』

●現代の吟遊詩人


2011年に発売された、うみのてのフロントマン笹口騒音ハーモニカのソロ作品のベストアルバム。7thアルバム『おんがくのじかん』も同梱されていてお買い得だ。


笹口さんの弾き語り音源を元にうみのての音源が作られている。神聖かまってちゃんにおいて、の子のデモを原作とするならば、うみのての原作は笹口さんの弾き語り音源だ。うみのてを聴いて笹口さんのソロも気になって買ってみたのだが、素晴らしく良かった。


自由に絵を描くように、アンプラグドな近い距離感で歌われる楽曲群は、ギターとハーモニカの弾き語りでこんなにたくさんのことを表現できるんだと教えてくれる。堰を切ってあふれだしたような才気の奔流。脳みその見知らぬどこかが開かれていくような感覚を味わえる。


歌詞も演奏も詩的。吟遊詩人という形容がぴったりだ。笹口さんは自分はからっぽで思想がないとインタビューで発言しているが、ただ吟遊詩人のまなざしだけがそこにある。時にこの世の何よりも残酷で乾いていて、時に涙が飛び出るほど優しいまなざしだけがそこにある。そして、そのまなざしは、物事の本質を透徹した面持ちで捉えている。


笹口さんの心はからっぽだということが本当なら、このアルバムの歌で笹口さんが言っていることは嘘か本当か分からない。ライブでもMCで嘘とも本当ともつかぬ言動をする。でも、嘘も本当も超えて、そのまなざしには切実な温度がある。


うみのてのギター・高野さんがうみのてよりも笹口さんのソロの方が良いと言っていたのも分かる気がする。うみのての演奏のダイナミズムも好きなのだが、笹口さんのソロには直接人の心に触れる詩性があるのだ。


アンダーグラウンドの最先端を行くようにエッジが利いていて、かつ、人の心を打つ歌と人を引き寄せる茶目っ気があって普遍性もある不思議な音楽だ。世界を違った目で見る笹口さんだからだろう、笹口さんにしか作れない世界を構築している。


うみのての音源になっていない曲でオススメは、「恋をするならば」「言葉狩りの詩」「数の娘」。心の塀をいとも簡単に飛び越えてくる表現の強度がある。うみのてで音源を作ってほしいなぁ。


うみのてが好きな方、良い弾き語りを探している方にオススメのアルバムです。


評価★★★★

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遊道よーよーの運営する音楽ブログ『とかげ日記』です。
音楽を通じて深く何かを考えてみませんか? さあ、一緒に音楽の旅へ…。上記の『とかげ日記』へのリンクをクリックしてくださいね!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ