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内田万里『何億光年のラブレター』(2018年)

●魔法のメロディは聴こえるか?


元ふくろうずの内田万里の二作目となるソロアルバムの感想&レビュー。前作から引き続き、バンドサウンドで魅せてくれる。


スルメアルバムという印象を持った。ふくろうず時代のメジャーバンドとしての熾烈な売り上げ目標から離れ、即効性を意識しなくても良くなったのかもしれない。


ふくろうず時代にあった魔法のメロディが聴こえてこない。一聴しただけで好きになってしまう、キラーメロディ。「魔法のメロディ」も「キラーメロディ」も造語だが、読者には分かってもらえるのではないだろうか。どんなリスナーにも、一発でハマってしまう理想的なメロディがある。


どんなアーティストも、作曲の全盛期は続かないのかもしれない。90年代や00年代にメガヒットを飛ばしたアーティストも、10年代になって、そのメロディの良さは失速したように思える。良いメロディを作り出せるかは、努力だけではなく、閃きの要素も大きいからだろう。


メロディに対する感受性は人それぞれだから、本作『何億光年のラブレター』を聴いて、キラーメロディだと思う方もいるだろう。だけど、僕はキラーメロディだとは感じなかった。ふくろうず時代にあった焦らすようなサビ前までのメロディや、一目惚れするようなサビのメロディが聴こえてこない。


一つ一つの音はとても良く、サウンド全体もすっきりと聴きやすいプロダクション。キャッチーというよりも、オルタナティブなポップスという印象のサウンド。ふくろうずのあの頃の魔法のメロディをこのプロダクションで聴きたかった。


だが、この記事の冒頭で「スルメアルバム」と述べたとおり、三度、四度と聴くと、本作を次第に好きになっていく自分がいた。


ピアノのクリアーな響きやシンセの白玉の上物が、「I wanna go into the darkness」という歌詞の決意を高らかに響かせる「リトル・テンポ」。

恋人と別れる前の傷心を歌う「何億光年のラブレター」。

「キラー」と「嫌い」の歌詞のリフレインが癖になる「キラーストリート」。

エフェクトをかけたギターの熱い響きのリフレインが、スピッツの同名の曲を思わせる「プール」。

明るいメロディとキラキラしたサウンド、そして「教えて」という歌詞が、ふくろうずの「テレフォンNo.1」を思い起こさせる「シンドローミィ」。

ピアノの深い響きの上でしっとりと歌い上げる「恋わずらいだった」。

サウンドの深遠な響きと穏やかな歌が、リスナーを遠いどこかへと連れて行く「トリケラトプス」。

「君」の死の悲しみを振りほどくように熱唱する「ファ・ラ・ウェイ」。この曲が最も強く心に刺さった。

どの曲も真心を込めて丁寧に作っていることが伝わってくる佳作だ。




そして、本作のクレジットに、同じく元ふくろうずの安西卓丸さんの名前が! テンションが上がる。


いつかまた、ふくろうずを再結成してほしい。ふくろうずほど、「うた」を聴かせるバンドは他にない。


内田万里 1st Full Album「何億光年のラブレター」販売URL

https://store.shopping.yahoo.co.jp/hkt-tsutayabooks/mujp20181201b.html

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