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ネクライトーキー『ONE!』(2018年)

●弾けるようなポップロック


コンテンポラリーの生活というバンドのギターボーカルをやっている朝日廉さん(石風呂名義でボーカロイド楽曲も発表している)がギターを務め、ほぼ全ての作詞作曲をしているバンドの1stフルアルバム。


ボーカルの女の子"もっさ"がキュートなロリ声で魅力的。朝日さんはミューズを得たと思う。コンテンポラリーな生活が華がない訳ではないけど、ネクライトーキーはより華がある。


シンセがあり、遊び心があるサウンドでポップ。そして、そのサウンドに乗る歌詞は、「今僕らにとって大切なもんって/皆殺しのメロディだけ」(「こんがらがった!」)や「どつきまわせ、鉄で殴れ」(「めっちゃかわいい歌」)など、ネガティブでインパクトのある言葉で構成されている。明るめのサウンドや声の印象とのギャップで魅せてくる。


チャットモンチーを感じたというコメントも見かけた。メンバー構成も音楽性も異なるチャットモンチーの再来とは思わないが、ボーカルのロリ声はチャットモンチーに近いものがあると思う。少女性がある声のバンドの最新版がネクライトーキーだ!


チャットモンチーよりも、神聖かまってちゃんと同じバイブスを感じるのだ。ネガティブな感情もある心の沸々としたマグマを、可愛らしくポップなサウンドに昇華するそのセンス! 神聖かまってちゃんも対バン相手にネクライトーキーを選んでいたし、何か共通するものがあるはずだ。


あいみょんについて語っていた“の子”の受け売りだが、人間は肯定的な感情だけでなく、否定的な感情も持っている。肯定的な感情を表現するだけでは、人間を表現したことにはならない。否定的な感情も表現できて初めて人間を表現できたことになる。肯定的な感情も否定的な感情もポップなサウンドで表現できるバンドが、神聖かまってちゃんとネクライトーキーだ。


そして、神聖かまってちゃんと同じく、歌詞がただインパクトがあるだけではなく、一つの詩になっているのも特徴的。「夏の雷鳴」のリリカルさに僕の胸は打たれる。ピアノやギターの一つ一つの響きが引き裂かれそうなその感情を伝えてくれる。情景を伝える言葉とサウンドがネクライトーキーの曲にはある。


曲に散りばめられたオマージュも面白い。「タイフー」はフジファブリックの「TAIFU」へのオマージュで、「Arctic Monkeysの『Brianstorm』をフジファブリックがカバーしたら」というコンセプトで演奏しているらしい。また、「許せ!服部」は、「Blurの『Girls And Boys』をユニコーンがカバーしたら」というコンセプトで演奏しているらしい。


また、東京事変が歌詞に登場したり、くるりの「今はただの平成12年だ」を連想させる「今はただの平成30年だ」という歌詞もある。前述した「今僕らにとって大切なもんって/皆殺しのメロディだけ」というラインは、ブルーハーツの「皆殺しのメロディ」をオマージュしている。


オマージュされているフジファブリック,Blur,ユニコーン,くるり…。ちょっとヒネたセンスを持った、サブカルロック街道まっしぐらなバンドたち。ネクライトーキーは彼らの遺伝子を引き継いでいる。僕の好きなバンドの系統だ。


収録された12曲の中では、「こんがらがった!」が一番好きです。チャットモンチーでいえば、「シャングリラ」くらいの華やポップネスがあると思う。サビの弾けるような爆発力やキャッチーさは随一。皆さんも是非聴いてみてくださいね!


Score 7.9./10.0

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