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ASIAN KUNG-FU GENERATION『ホームタウン』(2018年)

●アジカンの洋楽志向は僕に合わない


僕はちょっと前までJ-POP的な音楽ではなく、ロックミュージックが好きなのだと思っていた。しかし、ここ最近、J-POPも良いと思い始め、J-POP要素のないロックも好きだけど、J-POP要素があるロックも好きなのだと気づいた。そして、本作『ホームタウン』を聴いて、アジカンに関して言えば、J-POP要素があった方が好みなのだと思った。


本作『ホームタウン』にはJ-POP要素が少ない。メロディも低音を重視した音も、J-POP的ではない。かっこいいのだけど、J-POP的な中毒性がなくて、いまいちノれなかった。前作『Wonder Future』も洋楽志向だったが、アジカンが洋楽志向になればなるほど、僕の音楽の趣味からは離れていく。


くるりだって、音は洋楽志向だけど、くるりのメロディはフォークであり、J-POP的であり、親しみやすい。『ホームタウン』に足りないのは、親しみやすさだよ! メンバーは「パワーポップのアルバム」を録りたかったみたいだけど、ギターの力強いパワーはあっても、メロディのポップはないよ、このアルバムには。


アジカンといったら、やっぱり『ワールド ワールド ワールド』でしょう! ポップでキャッチー、一枚通してのストーリーもあるし、確かな理想を掲げたアルバムで大好きです。次点は『マジックディスク』かな。「新世紀のラブソング」のラップや「迷子犬と雨のビート」のホーンセクションなど、音楽的な創意工夫が随所に見られるし、何よりポップ! これら二作のポップネスが、『ホームタウン』には見られない。


本作『ホームタウン』の強みは、音の良さだろう。しかし、神聖かまってちゃんの初期のローファイな音作りも好きな僕は、音の良さをそれほど重視しない。Radioheadの『In Rainbows』はハイファイであるからこそ感動したけど、感動するハイファイとそうでないハイファイがあり、『ホームタウン』は後者。


また、『ホームタウン』は音がJ-POP的でないため、ボーカルの歌メロもあまり強調されて聴こえてこない。ゴッチの書く歌詞は良いのに、歌メロが音に埋没されているため、リリカルに聴こえない。ボーカルも鳴り響く楽器のワンオブゼムなのだ。歌メロが埋没していてもリリカルに聴こえるアーティストの作品も多いが、『ホームタウン』は歌詞が耳になかなか入ってこない。


僕の好きな神聖かまってちゃんやセカオワは、J-POP要素のあるロックの典型だろう。洋楽とはメロディも音も曲構成も違う。しかし、海外にファンもいる。J-POPを極めた結果、土着性と普遍性を獲得したのだ。セカオワには海外の先進的なアーティストとコラボするグローバルな視点もあるが、その音楽は極めてJ-POP的だ。だが、歌謡曲的ではない。ボーカルと同等に楽器隊に重きが置かれ、メロディが演歌的ではなく、垢抜けている。そこが僕が彼らを好きなところだ。アジカンの過去作もそうだった。


アジカンは洋楽志向になることによって、先進性を獲得しようとしているが、それだったら本場の洋楽を聴く。アジカンには、J-POP要素のあるロックに戻ってほしい。『ワールド ワールド ワールド』のポップネスとキャッチーさが今のアジカンに欲しい。過去作のファンからのお願いである。


Score 6.5/10.0

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