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笹口騒音オールタイムベスト『わたしのうたはどこいった』(2017年)

笹口騒音によるセルフカバーオールタイムベストアルバム。


Ba,溝渕匠良(TOURS)、Dr,高橋アフィ(TAMTAM)、Gt,小森清貴(壊れかけのテープレコーダーズ)、Org,遊佐春菜(壊れかけのテープレコーダーズ、ミチノヒ)、Cho,円庭鈴子(Temple Book)が参加している。といっても、笹口さんの弾き語り曲も約半数ある。


リメイクというと、最初に発表した音源の方が良く感じられることも多いが、このリメイクベストアルバムは最初の音源とのニュアンスの違いの一つ一つが効果的で、リメイクされた曲も最初の音源と同じくらいの輝きを放っていると思うのだ。どのように料理しても曲が輝いているのは、原曲の良さもあるのだろう。


#5「SAYONARA BABY BLUE」は、うれいを込めたボーカルながら、開けた音像には晴れた日の晴れやかささえある。このやり方で生きていくという曲の主人公の決意の晴れやかさなのかもしれない。


#10「プロポーズ」も鬼気迫る演奏が聴ける。空間を野蛮に切り裂くエレキギターの音。躍動するリズム隊。そして、表情豊かでファルセットも使いながらアグレッシブな笹口さんのボーカル。この気迫、プロポーズの相手は未来永劫幸せになれるな。


#11「NEW MUSIC,NEW LIFE」のナチュラルな演奏もいい。人生を平温で描写する様は、吟遊詩人の遠くまで見渡す眼の優しさと残酷さを感じさせる。


#12「たとえば僕が売れたら」の演奏はややもの寂しく、悟りにも似た境地がある。淡々と演奏する様は音の薄いサッドコアといった感触だ。


表題曲の#1,#13「わたしのうたはどこいった」はアコギの哀しげなリフが印象的な一曲。歌詞は現代詩にあってもおかしくなさそうな選び抜かれた言葉を用いている。


ボーナストラックでは前衛的にも思えるクリアーではない音響のバンドサウンドの上で笹口さんがシャウトしている。歌詞カードには、「きれいなだけの音がイイ音とは限りませんよ★」と書かれていて笹口さんの意図は冴えていると感じる。


大化けしたと思うのは、#7「おんがくのじかん」。こんな大名曲だったとは。ピアノが入るだけでだいぶ違う。とても音楽的に聴こえる。


そう、どの曲もバラエティに富みながらとても音楽的なのだ。一つ一つの音が生き生きとしていて、それらの織りなすハーモニーも美しい。笹口さんは音楽を音楽として活かす秘密を知っているのではないかと思えるくらい。


笹口騒音ソロ、笹口騒音&ニューオリンピックス、笹口騒音オーケストラ、どのユニット形態も三者三様の音だ。笹ソロを聴くと、笹オリの刺激や笹オケのバイオリンの入った美しい響きが聴きたくなるし、笹オリや笹オケを聴いていると自由なフリーフォームの笹ソロを聴きたくなる。三者の中毒トライアングルは止まらない。


あと、笹口さん、ご結婚おめでとう!! まさか、えにりんと結婚するとは思わなかったよ。同じバンドで共に青春を過ごした円庭鈴子(ex.うみのて)さんと結婚するなんて素敵だ。末長く幸あれ。


Score 7.8

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