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Tempalay『なんて素晴らしき世界』(2018年)

●知能犯であり、愉快犯


#3「どうしよう」の曲名が象徴するとおり、選択肢の中から選択して行動する前の曖昧なまどろみを表現したようなサイケデリックな曲が並ぶ。つまりは何が言いたいの?という曲しか収録されていないが、音がかっこいいからそれでいい。


「どうしよう」は名曲だ。ローファイなリズム隊の演奏から始まって、不協和音的で不穏なサイケデリックなギターが続き、コーラスの後、めちゃくちゃキャッチーなサビが来る。このサビが、何回でも聴きたくなるほど中毒性がある。


#2「素晴らしき世界」のギターも不協和音的で不安定だ。リズムセクションも音数少なめで、ボトムのキまった頼れるリズムではなく、不安になってしまう。だが、気持ちいいのだ。まるで、悪夢の甘美さのような。


#4「テレパシー」の低音が強調されたビートには、海外で流行しているトラップへの目配りを感じる。#7「LAST DANCE」では、リズムがスローになったり、速くなったりして、リズムの揺らぎがある。これらの曲のように、リズムセクションが凝りに凝っているのだ。


また、#5「SONIC WAVE」の厚いブルージーなギターのように、ギターの音による愉悦もある。シンセサイザーの音作りも、ニョロっとしていて、ハマると気持ちいい。ウワモノも凝っている。


そして、凝った演奏の上に乗るキャッチーな歌メロ。ひねくれた曲でなく、王道な曲を作れば、メロディも良いし、ライト層にもウケそう。だが、Tempalayはそれをしない。同じくひねくれ者である僕はその姿勢が好きだ。


確信犯的知能犯がメッセージ性を無視して、快楽主義的に音を貪っているという印象を受ける。歌詞にも意味らしい意味はない。それが逆に、過剰に共感を求める社会へのメッセージになったりもして。


次作も聴いてみたくなりました。次作は「どうしよう」のようなTempalay流キラーチューンを増やしてほしい。でないと、一枚通して聴くのはキツいです。また、一枚を通してストーリーを描く本作のような、まとまりの良い一枚を期待します。


Score 7.2

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