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きのこ帝国『タイム・ラプス』(2018年)

●スピッツのように


ソリッドなギターロックと思いきや、#1「WHY」では奔放な短いギターソロもあったり、#2「&」ではRADWIMPS的譜割りの大サビがあったりと趣向を凝らしているのが分かる。


また、ボーカルの佐藤千亜妃のシンガー的側面に魅入るアルバムでもある。#3「ラプス」での繊細に歌い上げるロングトーン、#4「Thanatos」のロックソングを自然体かつ堂々と歌う歌いぶりに、佐藤の卓抜とした歌心を見る。#5「傘」の湿気のある歌謡曲めいた曲でも佐藤の歌心は存分に活かされている。


収録されている曲はどれも普遍性がある。これまでよりも幅広いファン層に届くのではないか。#6「ヒーローにはなれないけど」のポジティブなフィーリングと全能感は、今までのきのこ帝国になかったものだと思う。そして、#7「金木犀の夜」はイントロからして名曲感満載のミッドチューンだ。ギターのリバーブとディレイの掛かり具合に陶酔できる。#8「中央線」のアレグロの高揚感のあと、#9「Humming」で小休止して、#10「LIKE OUR LIFE」のシューゲイザーでチルアウトする流れとか最高じゃないですか。


スピッツのように、音楽ファンのライト層にもコア層にもアプローチできる音楽だと思う。かと思いきや、#11「タイトロープ」で歪みきったギターでネガティブな感情を表現するあたり、一筋縄ではいかない。「タイトロープ」の後、#12「カノン」で歌詞とラララコーラスで、音楽によって佐藤自身とリスナーを祝福する感じがとても気持ち良い。


そして、最後の曲「夢みる頃を過ぎても」。これが大名曲。ストリングスも入って曲を盛り立て、エモーショナルに歌い上げる。佐藤が前髪で顔を隠していた時代からは一変したきのこ帝国がいる。前を見て歌を届けようとするきのこ帝国がいるのだ。


9月23日に開催された新木場STUDIO COASTクラスのキャパなら、ソールドアウトできるようになったようだ。それもそのはず、今のきのこ帝国には、スケール感も普遍性もある。個人的にあと足りないのは、即効性と中毒性だと思っています。きのこ帝国がそういうフィールドで勝負していないことは分かっているのだけれども。


Score 7.5

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