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『THE BLUE HEARTS re-mix re-spect』(2016年)

購入した時には、普通のブルーハーツトリビュート盤だと思って買ったのだけど、曲の中にヒロトの歌やマーシーのコーラスも取り入れられている。アルバムタイトルのre-mixとはそういうことかと膝を打つ。


アルバムの公式ページを見ると、ブルーハーツのオリジナル音源と10組のアーティストのコラボレーション作品と書かれている。


本作は、今の音でヒロトの歌声を聴くというifを叶えてくれる。アルバムタイトルの「re-spect」は、尊敬するという意味だけでなく、re(もう一度)-spect(見つめなおす)の意味も含まれていそうだ。僕も本作でブルーハーツの作った歌詞、メロディ、歌声の強度を再確認した。やはり、ブルーハーツは素晴らしいバンドだ。


以外、全曲レビュー。


01. WHITE ASH 「スクラップ」

WHITE ASHは、2008年本格始動し、00年代の洋楽ロックに影響を受けたサウンドやVo.のび太の色気のある歌声が評判のロックバンド。


原曲の演奏に込められている衝動をスタイリッシュかつクールで洋楽的な演奏で表現。あっけらかんとした感じで簡潔に曲が終わるのもスタイリッシュで原曲的。


02. 10-FEET 「TRAIN-TRAIN」

3ピースバンドで、様々なジャンルの音楽性を取り入れて、メロコアのジャンルでくくれない音楽性の演奏を聴かせてくれる10-FEET。


TAKUMAが「見えない自由がほしくて」や「見えない銃を撃ちまくる」と歌った後にマーシーの「オーオー」というコーラスが入ったり、TAKUMAとヒロトが交互に歌ったり、新旧のパンクロッカーの夢の競演といった感じ。10-FEET流の勢いのあるパンクロックだが、原曲のエッセンスを取り入れ、ピアノやストリングスを用いてパンクバンドに似合わぬエレガントさを表現。


03. 神聖かまってちゃん 「夕暮れ」

『とかげ日記』(このブログ)をお気に入りにしてくださっている方にはお馴染みのバンド。本作も彼らの音源目当てで購入した。


神聖かまってちゃんは、千葉県在住メンバー4人からなるロックバンド。赤裸々かつリリカルな歌詞と美しいメロディーによる楽曲と瞬発力のあるライブパフォーマンスが魅力。ネットでの動画配信も積極的に行い、インターネットポップロックバンドとして活動中。


他の曲にはあるヒロトやマーシーの歌声がない。コジャレていて味のある演奏も自分たちでやっている。自分で自分を表現するブルーハーツの精神をなぞっている。原曲を崩さずにヒロトの歌の強度に対しての子自身の歌の強度で勝負している。ファンの贔屓目からか、この勝負に全く負けていないように聴こえる。


04. YANAI BROTHERS 「キスしてほしい(トゥー・トゥー・トゥー)」(箭内道彦×箭内健一)

兄弟と間違えられることも多くあるという同姓同郷(福島県郡山市)の二人が、このアルバムのために組んだタッグ。

箭内道彦はタワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」、リクルート「ゼクシィ」など、話題の広告を手掛けるクリエイティブディレクター。本作のプロデューサーも務める。

箭内健一はコンピレーションアルバムや企画アルバムをプロデュースする一方、自らの音楽活動も並行して行っている。


本作のアイデア賞。高校生男子にこの曲をユニゾンで合唱させることは、原曲にある青春的なエモーションを浮き彫りにしている。アイデアだけだったら思い付く人もいるだろうけど、ここまで形にして仕上げるのがすごい。高校生男子が好きな女の子の名前を代わる代わる叫ぶ場面はまさに青春そのもの。


05. Silent Siren 「リンダリンダ」

読者モデルを中心に結成されたガールズバンドという経歴から、芸能の側面が強いバンドだろうとたかをくくっていたら、それがなかなかどうして……。


ドラムのリズムもタイトだし、ベースもクールだし、ギターとシンセの上モノもシンプルでスマート。原曲の持つ無敵感がパンキッシュで素敵に演奏されている。このキュートな歌声のボーカルも無敵でしょう。


06. 中島ノブユキ 「ラブレター」

中島ノブユキは、作曲家/ピアニスト。東京とパリで作曲を学び、ソロアルバムの発表や、CM、映画や大河ドラマの音楽を担当するなど、旺盛な活動ぶりを見せている。


音楽的に高度に構築されたリミックスなのだが、自分にはこのリミックスの価値が分からなかった。原曲のくつろいだ雰囲気を損なわず、原曲にはない打ち込みや序盤からのストリングス(原曲は中盤から)を用いてリミックスされているが、原曲を崩すにしても崩さないにしても中途半端なリミックスに思える。


07. 片平里菜 remixed by 亀田誠治 「情熱の薔薇」

片平里菜は、1992年生まれ、福島県出身のシンガーソングライター。「閃光ライオット2011」で1万組の中から審査員特別賞を受賞し、2013年8月にメジャーデビュー。

亀田誠治は、言わずと知れた音楽プロデューサー/アレンジャー/ベーシスト。売り出し中や売れっ子のバンドやミュージシャンを数多くプロデュース。2004年の結成から2012年の解散まで東京事変のベーシストとしても活躍。


これもよく分からなかったリミックス。始めだけ主役で後は脇に徹する片平里菜のボーカルとアコギをもっと前面に出しても良かったのではないか。リズム隊もグルーヴも原曲より磐石で鮮やかになっているところが、亀田さんの力が発揮されていると思う。


08. TOKYO No.1 SOUL SET「レストラン」

TOKYO No.1 SOUL SETは、BIKKE(Vo)、渡辺俊美(Vo&Gt)、川辺ヒロシ(DJ)の三人によるユニット。


バランスの取れた原曲の崩し具合。原曲はスカのリズムで一拍ずつの裏にギターのカッティングが入るのだが、このリミックスバージョンだと二拍目と四拍目のスネアを強打することで原曲のリズムの雰囲気を醸し出している。上モノも原曲のユーモラスな雰囲気を損なうことなく、大胆な変更を加えている難度の高いリミックス。


09. 藤原ヒロシ 「青空」

藤原ヒロシは、DJやユニットで日本のヒップホップ黎明期に活躍し、90年代からは音楽プロデュース、作曲家、アレンジャーとして活動。2011年より真心ブラザースの倉持陽一とともにAOEQを結成し、バンドスタイルでも活動している。


ミステリアスな空気をまとったダブリミックス。原曲を崩すならここまで崩すと面白い。音の快感もあふれている。歌詞も一部カットされたり、リピートされている箇所があるが、原曲の歌詞の意味性が歪んだり、強調されたり、ねじ曲げられたり、その揺らぎも魅力的。


10. 冨田ラボ 「1000のバイオリン」

冨田ラボは、1962年生まれの音楽家、プロデューサー、作曲家、編曲家、Mixエンジニア、マルチプレイヤー(ドラム、ベース、ギター、鍵盤)。


これも原曲を崩しているが、自分には原曲へのリスペクトが感じられない。原曲にはないフィーリングが持ち込まれすぎているように思える。インテリジェントな面白さはあるのだけど。


Score 6.6

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