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荒川ケンタウロス『情熱の船』(2019年)

●演奏がロックで熱い王道ポップス


他に仕事を持ちながら、10年選手でバンドを続ける5人組のニューアルバム。そのプロフィールにまず共感する。


鍵盤もあるウェルメイドな王道ポップスなのだけど、演奏に生っぽいロックな熱さがある。製品らしさと心根の表現のバランスが素晴らしい。


メロディや構成はベタな展開にも思えるのだが、先述した演奏の生っぽい熱さのおかげでそこまで気にならない。普通はこんなにベタだったら、商業製品の匂いがプンプンするものだ。ウェルダンのメロディとレアな演奏で、ミディアムの焼き加減のドラマチックな美味しい一曲になる。


歌ものとしてポップで、メロディが立っている。同じ歌ものバンドとしてはバックナンバーよりも歌ものとしてポップなメロディだと思う。それぞれの曲が個性的であり、演奏の引き出しも幅広い。優しい歌声もスイートに響く。スピッツのように死角がないバンドだ。


#2「手紙」は出色の曲だ。過不足のないアレンジに冴えがあるし、メロディも古くからある名曲のように美しい。歌詞も共感できるものであり、曲に感情移入しやすい条件がそろっている。


#3「Don't let me downの僕たちを」は、女性アイドルグループ"バンドじゃないもん!"のななせぐみをゲストボーカルに迎える。"バンドじゃないもん!"は僕の好きな神聖かまってちゃんのみさこさんもメンバーのグループだ。ななせぐみの歌声は、幼さを感じさせる個性があって、その個性が曲によく馴染んでいる。


#4「ハートビートからKnockしているBaby」は、アップテンポのダンスナンバー。四つ打ちのバスドラがスクエアなリズムを刻み、その上に乗る演奏が本当に心地よい。アメリカのインディーロックバンドであるClap Your Hands Say Yeahを思わせる歌詞が出てきて、ロック好きな僕は少し笑った。


#5「映画」の熱情的な演奏に感激する。様々なジャンルの映画の魅力をテーマに据えた歌詞の言葉遣いも意外性があって良い。アップテンポなビートが映画の刹那の感動を捉えている。


#6「レインマン」はしとやかに降る雨のように穏やかな曲で一息つける。こういう内省的な曲も書けるのが、このバンドの良いところの一つだろう。


その他の曲も聴かせる曲ばかりで、隙のないアルバムだ。"捨て曲"がなく、直球ストレートで王道ポップスを奏でている。変化球的な曲が増えれば面白い気もするけれども、この姿勢は彼らの誠実さの表れなのだろう。王道歌ものロックバンドをお探しの皆さん、ぜひ聴いてみてくださいね!


Score 7.2/10.0

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