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うみのては真のAOR

とあるロックバンドの新曲を聴いた。曲の主人公にイノセントな少年像を据えて、子供っぽく子供騙しなロックを演奏するのはもう止めにしませんか? 演奏するあなた達はもう大人でしょう? ビジネスのためのロックにしか聴こえない。それは、もはやロックではない。


僕はJ-POPや邦楽ロックの音楽は子供っぽい音楽であふれていると思っています。夢の具体的な内容は何も言わないで夢を追いかける自己啓発ソングや、クリシェ(お決まりの決まり文句)しか歌わない恋愛ソング…。歌詞も音楽性も分かりやすすぎて単一の解釈しか許さないものばかり。


一方、僕が応援するバンド"うみのて"の音楽は成熟している大人の音楽だ。巷で流通しているAORとは音楽性が異なるけれども、アダルト・オリエンテッド・ロックという語義どおりの大人のロックを奏でている。


ところで、音楽において、愛嬌はポップネスに繋がるから大事であり、物事に対する辛辣な批判的態度も尖り具合に繋がるから大事だと思う。


愛嬌とそれに相反する辛辣な批判的態度を合わせ持つバンドの先鋭的な存在がうみのてだと思っている。


今も昔もJ-POPの大多数は、子供が安心して子供でいられるための子守唄しか作っていない。いわば、愛嬌だけの音楽だ。一方、アンダーグラウンドな音楽には、愛嬌が全くないものも多い。そこへきて、うみのての曲には、愛嬌も辛辣さも両方あり、J-POPとアンダーグラウンド双方への重要な批評となっている。


それだけではなく、冷静と情熱、混沌と理性の並存した音楽を演奏するうみのて。自身の心の内や作品の中に相反する二つの要素を並存させることは、自身の成熟を必要とする。成熟していない単純な心では、どちらか一方に寄り過ぎてしまう。うみのてのアンビバレント(両義的)な性質の音楽は成熟しているからこそ奏でられる音楽なのだ。


うみのての新曲「砂漠です」はシティポップの名曲だ。シティでもポップでもない他のバンドのシティポップと比べると、「砂漠です」には都市的な洗練された感性とポップネスがあり、真のシティポップと呼ぶのにふさわしい。


また、エロもある。「おしゃぶりが上手だね」に続くアダルトな歌詞。うみのての笹口さんにはタブーがない。エロとシティとポップと辛辣さの全てがこの曲には並存している。まさに、AORだ。精神的に成熟していなければ奏でられない音楽だ。


うみのてには売れてほしい。子供じみた曲ばかり量産する邦楽ロックやJ-POPの世界へのカウンターになってほしい。

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