アマナイン ベスト16 VSオーガさん④
配置図ソフト「e-Layout」ですが、データを初期化したり、ストレージや設定を弄ったり、再起動、再インストールなど手を尽くしましたが、動くようになりません。アプリ内課金が100~300円と書いてあるので、一定以上使い続けるのに課金が必要なのかとも思ったのですが、どうやって課金するかも解らずお手上げ、今回も配置図無しになってしまいました。
解りにくくなってしまいますが、よろしくお願いします。
「ふう」
9番がポケットされた事を確認すると、ゆっくりと上体を起こして軽く息を着く。
「ナイスシュート」
聞き覚えのある声に目を向けると、沙樹ちゃんの隣の古賀さんだった。
ブレイクボールにする予定の5番、もっと長クッション寄りに行くと思ってたんだけど、思ったよりフット寄りに移動してしまって焦った。だけど何とか修正出来て良かった。
まあ取り切れたんだからいいよね?
とりあえず「計算通り」って顔をしておこう(笑)
6-4
リーチを掛けてさらにこちらの勝者ブレイク、こういう時気を付けなきゃいけないのがブレイクスクラッチなどのファール、たった1球のファールから一気に流れが変わってしまう事も有る。
右からのサイドブレイク、厚み撞点重視でブレが無いように体重移動は抑え目・・サイドポケットへの直接スクラッチを警戒して厚みはやや右を意識する。
手球がラックにヒットすると、まずはウイングにセットした8番がコーナーへ、手球はやや押しが掛かってしまい前進して他のボールに蹴られヘッド側に戻って来る。
何とかスクラッチは回避できそう、他のボールも徐々に動きを止めて取り出しの配置が確定する。
オーガさんもやや腰を浮かし配置を一瞥するが、その後は再び座って目を閉じ物言わぬ彫像と化す。
特にトラブルは無く1番は見えている。注意するべきところは・・・・・しいて言うなら2から3への出しかな?あまり2番に対して厚く出し過ぎると3番への出しがキツくなるし、途中の4番や5番に当たってしまうと出ないからそれにも気を付けなくちゃいけない。
ヘッド側短クッション沿いの1番を撞点真上で転がして入れる、ヘッドスポット近くの2番はかなり薄目のカットになってしまったけど、これで良い。
「ココだけだ、これを入れて3番に出ればいける」
慎重に厚みを合わせる。こういうカットは厚めに飛びやすい、出しのライン的に順捻りを入れる訳にもいかないのでやや薄目を意識して、ゆっくりとテイクバック、フット側短クッション沿いの3番までは距離が在るけどこれだけ薄ければ強く撞く必要は無い。
2番をカットしてポケットした手球は、短長2クッションで5番と6番の間を抜けると、フット側の短クッションに当たり少し跳ね返って停止する。
「よし!」
思わす小さくガッツポーズ、3番の入れは問題なく、入れれば4番を逆のコーナーに取れる理想的な位置に出てきた。
残りは6球、配置に問題は無く、3番を入れたら4番ををコーナーへ、引いて5番をサイド。6番7番はそれぞれコーナーへ取ってラスト9番への出しはほぼストップで良い・・・
特に変な振りに成らない限り、ミスさえしなければ取り切れる。
1番を入れた時のように、軽く転がすように3番をポケットすると手球は7番の下辺りで止まった。
残り5球。
4番は引きで弾くようにポケット、引きが足りないと5番を入れた後手球が6番に向かってしまうので強めを意識、ベストなポジションよりちょっと引きすぎたけど、これならまだ大丈夫。
残り4球。
理想通りなら5番はストップで良かったけれどかなり薄くなってしまったので、少し強めで走らせて短クッションから返して来る、7番へ厚めに出すためには6番に対してある程度振りを付けたかったけど、ほとんど振りが無くなってしまった。
残り3球。
入れに関してはミスなく繋いでいるけど、出しでの細かいミスが徐々に積み重なっていく。
嫌な予感がぬぐえない、口の中がからからに乾き上手く唾が飲み込めない。
6番はほぼ真っ直ぐ、しかし7番は逆の長クッション側、穴振りで弾き気味のショットで強引に出しに行くか・・それとも引いて我慢するか・・
構えに入る、撞点は下。
恐らくぶっ叩くようなショットをしたら入らない、ただでさえ元々ハードショットは苦手だ、無理はするべきじゃない。
6番をコーナーへ、少し距離が在ったためかやや引きが弱く7番がかなり薄くなってしまう。
残り2球。
ここにきてかなりの難球、救いは変な撞点や力加減が必要無い事。得意な撞点上のショットで入れさえすればバタバタで9番に出る・・と思う。
あと2球取れば勝てる、そう言えばマスワリ・・いや連マスか!?前のラックもマスワリで取った事を思い出す、最近はマスワリもそれほど珍しくは無くなって来たけど、連マスはまだ出した事が無い。
落ち着こうと長目の深呼吸をするが、気道が震えているのが解る。
とにかく集中、立った状態で7番がコーナーポケットに向かうイメージを強く持つ。余計な邪念が入らない様に手球のラインはこの際イメージしない、ただひたすら7番の入れをイメージ、十分なイメージが固まった所で構えに入る。
撞点は真上、、
撞点が左右にズレないように真っ直ぐ引いて、的球のみを見て切るように撞き出す。
レール際に沿うように7番がポケットに吸い込まれる、手球は長クッションの間を一往復と少しして停止、9番に対して少し振りは有るけど問題ない位置に留まった。
やった、ここまで来れば大丈夫、連マスなんて初めてだ!
6番7番と苦しい所をクリアーして、よく見る形になった。後はこれをスクラッチ回避の順引きで入れればOK、はやる心を抑えきれずにそのまま流れで構えに入り、素早く狙いを合わせる。
右振りなので構え辛い事も無く、振りだって見やすい範囲、9番は大抵フット付近にある事が多いので、完全に見慣れた風景、これを外すなんて事は欠片も考えなかった。
人はそれを慢心と言う。
無情にもポケットのツノに嫌われた9番が短クッション際に静かに止まる。
「マジか・・・」
呟くと同時に後悔する、何でちゃんとメソッド通りに構えなかった・・ゲームボールだぞ!?
試合の勝利も連マス無かったことになり、オーガさんに手番が回る。
すごすごと席に戻るが、良かった事が一つだけある、9番を入れる時の撞点とそのラインだ。
こういった9番を入れに行く時、撞点順下で3クッションのラインを取るのは、スクラッチ回避と言うのが1番の大きな理由だけど、もし9番を外してしまった際に、「遠い土手撞きと言う難球が残るようにする」と言う保険の意味合いも有るのだ。
今まで何千回と繰り返しやってきた事なので今回も自然に、同じような撞点・力加減で9番を入れに行っていた、それが結果として土手撞き・ロングカットと言う難球残しに繋がっていた。
オーガさんは無表情のまま、9番を睨みつける、そしてゆったりとした動作で構えに入った。
その動作にブレは無い。
「こんだけ難球がなんだから少しぐらい嫌そうな顔してくれてもいいのに・・」
その冷静な様子に「コレは決められるな」と半ば諦めが入る。
オーガさんはレールに引っかける様に組んだレールブリッジに、レボの真っ黒なシャフトを乗せると、ゴンッっとやや強めに撞き出す。
その手球は9番を薄くカットする1ポイント直前で微妙なカーブが出て、9番に当たらず短クッションに入って戻って来る。土手撞きで撞き下ろす格好になった事によるカーブ、、ハイテクシャフトも万能ではない。
オーガさんは戻って来た手球を、無言でキューのシャフトで受け止めた。
手球のプラスチックと、キューのカーボン繊維が「カチン」と乾いた音を立てる。
「OKです、有難うございました」
やはり無表情のまま低い声で、申し出るオーガさん。自分もあわてて立ち上がる。
「有難うございました」
一応勝負が付いたので観客席からパラパラと拍手が聞こえる、一応沙樹ちゃんも拍手してくれているが、その表情が物語っている、きっとこう思っているだろう。
「詰めが甘い、なぁ~にやってんですか」
いや、それについては申し開きできないけど。
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締まらない勝負の付き方とは言え勝ちは勝ち。
W-4と書き込んだ対戦表を持って行くと、今までと違う反応が返って来た。運営サイドの人から「おめでとうございます」と声を掛けられると同時に、7枚の封筒が目の前に提示される。
「好きなのを1枚選んでください」
ババ抜きのカードの様に広げられた封筒の中から1枚を引きつつ聞いてみる。
「コレは?」
「トーナメントの公平性を保つためにベスト8で再抽選が有るんです、開けてみてください、何番ですか?」
へー、そうなんだ。
割と厳重に糊付けされた封筒を破って、中のカードを取り出すとそこには「6」と書いてあった。
「〇〇県代表:日吉選手、6番です」
運営席近くのトーナメント表、その空欄に自分の名前が書かれる。空欄は自分を合わせて2つ埋まっていて、残り6つはまだ空欄、自分の対戦相手もまだ決まっていない様だった。
運営のお姉さんに「まだ30~40分位は掛かりそうなんで、ご飯とか食べるなら今の内ですよ」と言われたので有難くそうさせてもらおう。
「あー、、でもさっきの9番飛ばしは散々言われそうだなぁ」
まあ仕方ない、甘んじて受ける覚悟を決めると、沙樹ちゃん達が待つベースキャンプに向けて歩き出した。
どなたか「e-Layout」の復旧方法に心当たりがある方、情報をお寄せください。




