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三十路から始める撞球道  作者: 想々
第二章、B級アマナイン編
42/52

初日終了、反省会と言う名の飲み会。


「お疲れさまでした!」


 ベースキャンプに戻ると沙樹ちゃんが出迎えてくれた、試合の方はテーブルの関係上遠くからになってしまったけど、それでもテーブルから一番近い客席から応援してくれていたらしい。


 特にラストゲームのマスワリを絶賛してくれた。

「そう言えばマスワリだったか、目の前の配置に集中しすぎてて気づかなかったよ」

 まあ、あれこれ意識しながらやるより、そういう時の方が結果も付いてくる、そんなもんだ。


「今日はもう試合は無いんですよね?」


 念のため古賀さんに確認してみる。

 初日の終わりには特に閉会式の様なものは無く、それぞれ試合が終わった人から流れ解散で良いらしい。

 何にせよ腹が減った、全ての試合が終わるまで待たなくていいというのは有難い。


「それじゃあホテルに帰りがてら、何処かに寄って飯にしませんか?腹減っちゃいましたよ」

 

 県勢の人達に別れの挨拶をした後、3人で駅に向かって歩き出す。


「駅前の商店街で何処かよさげな所を探してみようか」

「昨日みたいな居酒屋がいいですー」


「じゃあ居酒屋っぽい所を中心に見てこう」


 駅前の通りは透明な天井が有るアーケード街、夕飯には少し遅い時間帯だけど行きかう人も多く、居酒屋にとってはこれからがピークかもしれない。


 駅に近い店は満員っぽかったので通りの左右を眺めながら、少しぶらぶらと歩いてみる。


 窯焼きピザとパスタの店・・喫茶店・・ここは、、ベトナム料理?

 結構いろんな店が有るけど、肝心のジャパニーズスタイルの居酒屋がなかなか見つからない。


「こういう所は通りごとにカラーが有ったりするから、通りを一本ズラして見ようか」


 古賀さんの提案で1本駅から離れた、さっきの通りよりも細い通りに出る。


「おっ、正解っぽい」


 先程の通りよりやや薄暗いその通りには、居酒屋やスナック、飲んだ後に寄る人が多いのかラーメン屋、後はピンクのネオンがそれっぽい、女の子とイチャイチャする系のお店などが軒を連ねていた。


 お酒を出すお店は色々有るみたいだけど、どこにしようか・・中が見えない様な怪しげな店は却下として、沙樹ちゃん的に居酒屋がいいらしいから、ショット・バーみたいな店じゃなく、赤ちょうちん系かな?


 そう思って居る所に、正に赤ちょうちんとしか言いようのない佇まいのお店を発見、立て看板に書いてあるメニューを見ると中々お手頃価格、店内も程よく混んでいて良さげだったので、満場一致で入ってみる事にした。


「らっしゃいませぇ!」


 煩いくらい元気な声に迎えられ、座敷席に腰を下ろす。


 メニューとおしぼりを貰い、飲み物を注文。


 自分は「とりあえず生」で、古賀さんはハイボールにするみたいだ。沙樹ちゃんも生ビールを頼んで「とりあえず生が定番とかよく聞きますよね」と言って笑っていた。


 お通しは鶏肉と大根の煮物、味が染み染みで美味しい、これなら料理も期待できそうだ。(沙樹ちゃんは1杯目を頼むと自動的に出てくる「お通し」のシステムがお得だと喜んでいた)まあ嫌いなものが出てくることも有るんでそこは運なんだけどね。


 料理は焼き鳥系がメイン、盛り合わせを頼んで後は個々に注文していく事にする、自分は個別に「月見つくね」と「トリ皮」を注文、皮は単純に好きだから。月見つくねを頼んだのは、余った卵黄を他の焼き鳥にも使いまわす作戦である。


「それじゃあ沙樹は残念だったけど、日吉君初日突破お疲れ様」


 古賀さんの音頭でグラスを合わせると、自分と古賀さんはグッと飲み物を煽る。5月も半ばを過ぎて大分暖かくなってきた、夕方になって涼しくなってきたとはいえ昼間汗をかいたので、そこにビールが染みていくようだ。

 と、沙樹ちゃんは恐る恐ると言った感じでビールに口を付け「美味しくないです」と眉を顰めていた。

 まあ一気飲みを推奨出来る訳も無いけどビールは喉で味わうモノだからねぇ、ちびちび飲んだら単に苦いだけだし。(個人的な意見です)


「まあ、無理だったら日吉君に飲んでもらって他のを頼んでみな、カクテルとか」

「日吉君も大丈夫だろう?」


「ええ、いいですよ。って言うか1杯目もう無くなりそうですし(笑)」


「じゃあ」と言って再びメニューを見る沙樹ちゃんだったが、「甘いジュースの様なカクテルはご飯に合わない気がする」という事で悩んでいる様だった。

 まあリキュールを使ったカクテルは大体甘いからねぇ、あと炭酸で割ったチューハイ系も炭酸自体が甘いし・・と言う訳で、比較的甘くない「ジン・トニック」を注文、一口飲んでみてコレは気に入ったようで、「美味しい美味しい」言いながら飲んでいた、、って言うか沙樹ちゃん結構強いな。



_____________________________________


 って思ったんだけど、そんな事は無かったぜ。


 あの後飲みながら話題は自然と試合の話に、最初は上機嫌で良かったショットや、反省すべき点など普段の反省会と何ら変わりのない感じで盛り上がった。

 しかし杯を重ねるうちに沙樹ちゃんの目が座ってきて愚痴が混じり始めた、、あ、これダメな酔い方。

 気が付いた時には沙樹ちゃんは完全に出来上がっていた、といってもそこまで酒乱だったり、ひどい泣き上戸とかいうわけでは無いので、周りに迷惑をかけるようなことは無かったけど、大学の飲み会なんかでこんな酔っぱらい方をしたら簡単にお持ち帰りされてしまう。

 古賀さんもその事に思い当たった様で、アイコンタクト。これは明日酔いが覚めてから、一言くぎを刺しておかねばなるまい。


 今も座敷に横になってふにゃふにゃと良く解らない事を呟いている。

「まあ初めてだから自分の適量が解らないのは当たり前なんですけど、結構平気そうにカパカパ飲んでたんで強いのかと思ったけど、そうでもないみたいですね」


「まあね、うちの家系でお酒が強い人はあんまりいないし、これは明日二日酔いだろうな、それで大分懲りるんじゃないか?」古賀さんは何杯目かのハイボールをチビチビ飲みながら、優しい目で沙樹ちゃんを見る。

 まあ小っちゃい頃から面倒を見ていた姪っ子が、「一緒に酒を飲めるくらい大きくなった」のを実感してほっこりしてるのかもしれない。


 一応沙樹ちゃんは、手を貸せば歩ける程度だったのでそのままホテルまで帰る事にした、まあ酔っぱらいはタクシーにも嫌がられるしね。いざと言う時は古賀さんか自分が背負えばいいし。


「日吉君の方はどうだい?まだ明日試合が有る訳だし、ちゃんと加減したよね?」

「ええ、先に酔っぱらった人が居ると、残りの人は世話係になりますからね、丁度良いくらいですよ」


 ホテルまでの道すがら、古賀さんと話す。


 正直沙樹ちゃんが酔っぱらってしまって、自分達まで酔ってしまったら収集がつかなくなるので、飲む量をセーブした為あまり回ってはいない。ちょっと物足りない気がするけど、明日の事を考えたらこれで良いのかもしれない。


 古賀さんと一緒に沙樹ちゃんを部屋まで運搬して、自分の部屋に帰ってシャワーを浴びると、昼間疲れがどっと出てきた、何やかんやいってもずっと気を張っていたのだ。


 今日3つ勝ってベスト16、指折り数えてみる、「あと4つ勝てば優勝出来る訳か」128人と言う人数がたったの3試合で16人にまで絞られる、シングルイルミネーションの厳しさ。

 優勝するには1度も負けずに7連勝しなければならないとか、、


 実力だけじゃなく運も必要なんだろう、敗退が決まった際の対戦相手の表情が脳裏を過ぎった、そりゃ悔しいよなぁ・・


 とりあえず自分に出来る事は「人事を尽くして天命を待つ」以外無い!という事で・・


 ちょっと物足りなかったので、こっそりコンビニでチューハイを2,3本買ってこようかと思っていたけど、その考えを封印した。





ホームのビリヤード場の閉店が決まってしまいました、まあ客少なかったしねぇ・・

次に自宅から近いビリヤード場までは35~40km位。ネットカフェで練習位は出来るけど対人戦が・・考えてみると市内どころか隣接する2つ隣の市までビリヤード場が無い・・まともなビリヤード場まで市を3つ跨がなければならないとか、続けていけるかしら?

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