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三十路から始める撞球道  作者: 想々
第二章、B級アマナイン編
25/52

アマナインに向けて、まずは・・デート?

二章の始まり、自分にしては糖度多めのつもりでしたが、他の作品を見るとまだまだですね。ハーレムとか書ける人は凄いと思います。


 全国アマチュアナインボール選手権、通称アマナイン。


 男子A級128名、男子B級128名、女子級64名、総勢320名と言う、普段の大会とは文字通り桁違いの大きさの全国大会。


 それ故に普段の大会とは違う部分が幾つか有る。


 例えばショットクロックルール、選手はボールが停止した後、45秒以内に次のショットをしないとファールになるというルール、(エクステンション(延長)は1試合に1回45秒認められる)

普段撞くのが遅いプレイヤーはやりにくいだろうな・・・でもまあ流石にこの人数だと、試合時間を短くする工夫は必要だよね。


 例えば、負け審。ゲームに負けたプレイヤーは、次のそのテーブルで行われるゲームのレフリーをやる事になる。自分レフリーなんかやった事無いんだけどな。(ストップウォッチを持ってショットクロックを計らなくちゃいけないので結構忙しそうだ)


 そして普段より厳しいドレスコード(服装規定)、普段の大会だと、全国大会の予選の様なドレスコードのある大会でも、「短パン・サンダル・Tシャツ不可」程度で、襟の付いたシャツと長いズボンならOK、靴も別にスニーカーで良いんだけど・・

全国大会は結構厳しい。スニーカーも不可でネクタイ着用、これも普通のネクタイでもダメではないだろうけど、衣服がボールに触れるとファールなので、前かがみになる競技の特性上蝶ネクタイかリボンタイになる。


 ネットで大会要項を確認しながら思わず呟いた。


「まあ、普通は蝶ネクタイなんか持ってないよな」


 自分はブルーカラー寄りの人間である、ガテン系と言うまででは無いが、仕事の時は作業服だ。

ネクタイなんて仕事でしなければ普段からファッションで締める人はあまり居ないように思う。

 自分のワードローブを思い出しても、滅多に着ないスーツ用と冠婚葬祭用の黒いやつ、ネクタイの在庫は2本しかない。


 と言うか日本ではタキシード着て参加するパーティーとかほぼ無いし。日本人が蝶ネクタイをする時なんて結婚式位じゃないだろうか、普段から蝶ネクタイをするのは芸人や結婚式場関係者、あとはバーテンダーぐらいな気がする。


 白ワイシャツとスラックス、革靴は有るもので間に合わせるとして、蝶ネクタイは買わないと。とあとシンプルなベストとかも有った方がそれっぽいかな。


 紳士服の青〇とかに行けば有るんだろうか・・・・まあクロスに行って聞いてみよう。夕方近くなり、そろそろ常連さん達も来る頃だ、PCの電源を落として車のキーを掴むと、薄暗くなりつつある駐車場に向かった。


____________________________



「そういう事なら一緒に買いに行きましょう!」


 そう言ってくれたのは、見事地元の大学に合格して、素敵な女子大生(身長142cm)になった沙樹ちゃんだった。


「最近買い物とか行ってないし、サークル入ってない大学生って基本暇なんで、イベントに飢えてたんですよー。」と言って二パッと笑う。


 大学生になって、最近はうっすらと化粧なんかもしていているんだけど・・・何というか相変わらずイメージは「小っちゃくて元気」、これで20歳なんだよな・・頭の中を一瞬「合法ロり」と言うワードが掠めるが慌てて消す。


「あと、私も蝶ネクタイとか持ってないんで、買わなきゃなーと思ってたんで丁度いいです!」


 そう、今度のアマナイン、自分はB級県代表の座を掴んだのだが、何と女子級の代表は沙樹ちゃんなのだ。


___________________________________



 あれから沙樹ちゃんも腕を上げたとは言え、女子級はクラス分けが無く「女性プレイヤー」で括られてしまうため大抵A級の人が代表になるのだが、「B級で優勝なんて凄いね」と言ったら返ってきたのは・・


「だって今回女子級の予選、参加人数3人ですよ?」


 という、ややあきれ気味な答えだった。

地方だと特に顕著だけど、そもそも女子でスポーツとしてちゃんと球を撞いている人自体が少ない上に、全国予選とかなるとC級の子たちなんかは尻込みしてしまう、(エントリーフィーも高いし、本戦への交通費は自腹だし)

なので自然に出場するメンツが固定されてしまい、その中で頭一つ抜けてる人が女王っぽく君臨してしまう、そうすると「どうせ〇〇さんには勝てない」みたいな雰囲気になって更に参加人数が減る・・と言う悪循環。


 今回は参加人数3人、出場するだけで表彰台と言う異常事態だったため、トーナメントが出来ず、総当たりで代表を決めたらしい。


「それでもA級二人に勝って優勝したんでしょ?やっぱ凄いよ」と言ったら、やっと沙樹ちゃんは笑顔を取り戻してくれた。


______________________



 そんなこんなで、最初は「実力的に劣っている自分が()()()として全国大会に出てしまっていいのかな?」と悩んでいた沙樹ちゃんも、前向きに「頑張って1つでも多く勝つ!」と気合が入っている。

 沙樹ちゃんのこう言うポジティブな所はとてもいいと思う。


「では、次の日曜日で!」


 そんな言葉で沙樹ちゃんと一緒に買い物に行く事が決定した。


_____________________________________



 現在、町中に向かう車の中・・・自分だけなら青〇とかの郊外型の紳士服の店でも見て回ればいいかと思っていたが、沙樹ちゃんが一緒となると勝手が違ってくる。

 やっぱり自分も、女性向けの店に付き合わなくてはならないのだろうか・・・すごく浮きそうだけど・・

 正直私服はユニ〇ロや通販とかで適当に買っているので。、店の情報なんかはサッパリ解らない。その辺は沙樹ちゃんにお任せしてしまおう。

覚悟を決めて普段より多めに財布に入れて来た、、ううむ、町中の洒落た店っていうのは、どうも店員が馴れ馴れしくて落ち着かない(値段も高いし)

完全にオッサンな意見だけど、ファッションにそこまでこだわらない世の男性の総意である気もする。


「免許が取れたのは良いんですけど、車はまだ先ですかねー・・今の所通学だけなら困らないし、ただこの先絶対必要になるので、早めに運転に慣れた方がいいですよねぇ?」


 免許取りたての沙樹ちゃんが独り言ちる。


「まあ田舎だと車が無いと何も出来ないからねぇ・・」


 そんな事を言いながら辿り着いたのは、デパートの4階、男性向けのブランドの入ってる階層だ。

 流石にアルマーニだのグッチだのと言うような、1着数十万とかいうようなブランドは入っていないが、タケオ・キクチとかポール・スミスとか自分でも聞いた事あるな。

 

 ジャケットの値段を見ると3万円~5万円、コレは無理だと思ったが、薄手のベストあたりなら15000円くらいであるみたいだ、ひえ~、服にこんなにお金かけた事なんてないよ。


 沙樹ちゃんはバイト代プラス、叔父さんから「ユニフォーム代ならば」という事で臨時ボーナスが出たとホクホクしていた、(古賀さん・・・甘い)そして買い物の前に「今日は奮発します」と宣言していただけ有り、この値段設定にも動じていない。


 蝶ネクタイは、こう言うカジュアルな店舗には置いていないみたいなので、ベストを中心に見て回る。

そのうちの一店舗(え~とミシェル・クラン、で良いのかな?)で、淡いブルーのシンプルなベストを見つけた。一目見て良いんじゃないかと思えたので、試着してみる。沙樹ちゃんのOKも出たし、値段も手頃なのでベストはこれに決める。所要時間30分、男の買い物なんてこんなもんよ。


 さて問題は沙樹ちゃんの方だ、何しろ女性物は品数が多い、男性向けの店は4階の1フロアだけだが女性向けは、1階の化粧品売り場も含めると4フロアも有る。とりあえず沙樹ちゃんに先行してもらい、「荷物持ちとして付いて行けばいいや」と思ったんだけど。


「いたたまれない!」


 冴えないオッサンが女性ばかりのショップに入って来るのである、更に沙樹ちゃんの見た目。周りの目が気になってしょうがない、沙樹ちゃんが更衣室に行っている間なんかは「不審者じゃありません、通報しないで!」と、心の中で祈った。


 沙樹ちゃんのベストは中々決まらなかった。


 サイズが無いのである。


 女性向けの服のサイズは男性の様に、S、M、Lとか単純じゃないらしい。

 〇号と言うように号数表記で、それより小さいものになると140とか数字表記になるとか、(詳しくは解らないが)

一応合うサイズのモノも有ったらしいのだが、サイズの表記的に「子供服」に分類されるらしく、「それはプライドが許さない」とか、なんかいろいろ思う所が有るみたいだ


 最終的に、ちょっとフォーマルなお店で、後ろの紐でウエストを締める事で、サイズ調整できるベストに決まった。



 感想を求められたので、「ストロークしやすそうで良いんじゃないかな。」と言ったら、「邪魔になる(モノ)が無いですから、ストロークはしやすいですよ?」とウイットに富んだ冗談で返された、沙樹ちゃんも大人になったものだ・・・冗談だよね?、地雷踏んでないよね?


 結局オシャレ系の店には蝶ネクタイが無かったので、紳士服の店に行ってみた。


 店の人に聞いて売り場に行ってみたが、普通のネクタイが何百本も有るのに対して、蝶ネクタイは数本だけ、まあ需要が無いんだろう。


 その中の一つを、沙樹ちゃんが見せてくる、「コレ良くないですか?」それは黒にシンプルな銀の模様が入った蝶ネクタイだった。

「うん、あんまり派手な奴は嫌だから、こういう奴ならいいかな」

 着け方が良く解らなかったけど、ホックに引っかけるだけなので簡単だった、沙樹ちゃん曰く「学校の制服のリボンと一緒ですよ~」との事だが、生憎女子の制服を脱がしたり着せたりした経験は無い。


 ちなみに試着してみた所、沙樹ちゃんは・・タートルネックのシャツに蝶ネクタイをした自分を見て爆笑していた。


 喜んで頂けて何よりです。



「じゃあ私もこれにします」


 沙樹ちゃんが笑いすぎて出た涙を拭いながら言う、男性の正装はタキシードに蝶ネクタイ、その場合女性はドレスなので女性用の蝶ネクタイなんて日本に有るかどうかも判らない、まあ女性の場合ドレスっぽい服ならネクタイは必須ではないみたいだけど。


「私ドレスとか似合わないんで、ギャルソンっぽい感じにしようと思ってるんですよ。」


 こちらの考えを先読みしたように沙樹ちゃんが言う。


県のビリヤード連盟に所属している人達は、連盟のロゴ入りのポロシャツやベストを着ていて強そうに見える、それを一寸うらやましいと思った事も有るけど・・


「せっかく同じ店から代表で出るんだから『チーム・クロスロード』で行きましょー!」


 思わず笑みが漏れる、「チーム・クロスロード」の印?であるらしい蝶ネクタイをレジへ持っていきながら思う。


「それじゃあ、頑張りますか!」


 1か月後に迫った大会、2日間に及ぶ日程、全国から集まる強豪、そういった緊張に凝り固まっていた肩の筋肉が少しほぐれた様な気がした。



 ちなみに蝶ネクタイは4800円だった・・・結構高いのね、コレ。



8,10.16.21部に挿絵(配置図)追加しました、文章のみで読んだ方は、その時頭に浮かんだ配置と合っているかどうか答え合わせも楽しいかと思います。またアプリに不慣れなため、挿絵挿入した後「6番はもうちょっと下の方が・・とかこの8番弾かせずに押せばスクラッチ回避して短クッションに入るんじゃね?、又はこの9番微妙に振り逆じゃ?」とか色々有りますがご容赦を。

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