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三十路から始める撞球道  作者: 想々
第一章 ビリヤードを始めよう~C級編
24/52

閑話、それから。

短いです、閑話はこれで終了、次回よりB級編に入ります。

 

 C級戦で3位入賞を果たした自分は、それから間もなくして古賀さんの許可を得て、B級に昇格した。


 昇格直後は全くと言っていいほど勝てず、涙で枕を濡らす日々が続いた。それでも常連さん達に励まされ、何とか辞めずにビリヤードを続けて2年半ほど・・・・


 最近はB級戦でも決勝トーナメントに残れるようになってきて、「B級の中~上位かな」と言っても文句を言われないと思う・・・それでも壁は有る。


「やはり貴様か、関口・アントニー。」


 決勝戦の相手・・・白髪頭のお爺ちゃんを見て、心の中でつぶやく。


 年齢は60歳は余裕で超えているだろうか?日系二世だか三世、小柄で眼鏡をかけた好々爺であるが、自分がB級の決勝トーナメントに残っても、ほぼ毎回の様に初戦のベスト8止まりなのは、半分くらいはこのお爺ちゃんのせいで有る。


 プロの選手や、上位Aクラスの選手の様な迫力は無いが、とにかく「老獪」と言う言葉がピッタリな試合巧者で、今までの試合では、まんまとその術中にハマってしまっていた。


 とにかくしょっちゅう当たるのだが、未だに一回も勝てていない。向こうは気にしていないだろうが、自分の中では「越えなければならない壁」として、一方的にライバル視している、今回初めて決勝戦まで進んだと思ったら、決勝の相手はやはりと言うべきか、この爺さんだった。


 この壁を、越えなければ。


________________________________________________




「ヨロシク、オネガイシマス。」


 流暢では有るが、イントネーションがどことなくネイティブな日本人とは違う、日本語。


 もはや聞きなれた声に返事を返す「よろしくお願いします!」


 バンキングはアントニーの爺さんに取られた、だがそこまで気にしない、この爺さんと戦う時に気を付けなければならないのは、相手の術中に嵌らないことだ、何度も自分に言い聞かせ、出番を待つ。


 


 ほどなくして手番が回って来る。手球と次に狙う3番は短ー短に離れており、見えてはいるがシュートはほぼ無理な配置だった。


「相変わらず嫌らしい・・・・」


 今のショットもそうだ、3番をコーナーにシュートして、順引きで持ってくれば4番に出そうなボールだった、ただ出しのラインに6番が有り、6番に当たると4番に出ないリスクは有る。それでも躱せさえすれば攻められるのだから、普通なら攻めるだろう。


 しかしアントニーの爺さんはこういう「攻める事は出来るがリスクが有る」ボールではたとえ入れが有ってもリスクを冒さずセーフに来る。しかもセーフティーに慣れてない人がやるような「隠れればセーフティーになるけど、隠れなかったらイージーになってしまう」ようなセーフティーはしない、どちらかと言うと「見えていてもほぼ入らない、入れたとしても次に出ない」ようなボールを回して来る。


 まるで「ほら、入れてみてよ?」と挑発されているようだ。


 ここで、「確率は低いけど、何とか入れを狙おう」とか「強引にスピンをかけて出しに行こう」とかやると、ミスが出てイージーな配置が残ってしまう。

 そうなるとアントニーの爺さんの思う壺、イージーな配置なら確実に取り切って来る。逆にそこまでシュート力は高くないので難しいボールや配置であれば、取り切られる事も少ないのだが・・・


 そういう時はこうやってセーフティーが回って来る、、


 この爺さんに勝つのに必要なのは「忍耐」、そして「無茶では無く、ある程度の核心を持って攻める事が出来る難球の見極め」だろう。


 慎重に、長ー長の逆振りバンクが残るようにセーフティーを返す。


 爺さんは、また短ー短に返して来る、今度は8番に隠してきた、、クッションから厚めに当ててロングの厚い球が残るようにする、爺さんは薄くカットして1クッションでバンキングの様に手球を戻し、再び短ー短のボールが回って来る____


 あぁぁぁぁぁめんどくせぇぇぇぇ!


 いかん、つい我慢できなくなって、博打気味のバンクに行きそうになってしまった、冷静に、冷静に、一旦落ち着こう、素数でも数えればいいのだろうか、とにかくクールになる必要がある。


 それから数回のセーフティー合戦を経て回ってきたボール、ロングで薄いカットでは有るが、十分に入れに行ける配置が回ってきた、そのまま入れただけでは出ないが、少し左を入れて強めにショットしてテーブルを大きく使えば3クッションで出す事が出来そうだった。


「ここで勝負!」


 微妙に左を捻った押し球で3番をポケット、ベストポジションより少し走りすぎたが十分だ。


 残りの5球を取り切り、スコアリードする。これで多少のプレッシャーをかけられたと思い、爺さんを見るが、「ホッ、ホッ、ホッ」っと笑っているだけで全く読めない。


「ぐぬぬ」


 それからも、何というか「4セット先取り耐久セーフティー合戦」の様なゲームが続く、こういう時に限ってブレイクも振るわず、形になっても出しミスから縺れた展開になったりする。


 1ゲームとしては異常に長いゲームの幕切れは、アントニーの爺さんのスクラッチ、残り2球穴前。

 ここで爺さんからOKが出て勝負あり。


 この難物じーちゃんを下しB級戦で初優勝を果たした。


 だけどこの大会はここで終わらない。この大会の名称は「全国アマチュア9ボール選手権、県予選」つまり全国大会の予選だ、本戦は5月、兵庫県尼崎市で開催される。


 30過ぎて何となく始めたビリヤード、遂に全国大会・・・・こんな事が本当にあるとは。


 B級戦優勝は勿論嬉しいが、全国大会出場のインパクトはそれを上回った、全国から強豪が集まる試合、1試合でも多く勝ち上がりたい、心はすでに尼崎を向いていた。





何とか配置図を挿絵挿入しようと色々調べていました。配置図作成アプリ「Pool Layout Memo」はアイフォン専用で、しかもOSを最新版にすると使えなくなるらしい。なので「ビリヤード配置練習帳」と言うアプリを購入し、配置図を作成したのですが、何度やっても配置図の写真保存で「保存に失敗しました」と言われ悶絶、知り合いに相談して設定等をいじって、無事に挿絵が挿入できるようになりました。まずは初心者の方用にテーブルの各名称をトップに挿入。これからは配置図とかも使えるので少しは解りやすくなるかもです。

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