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三十路から始める撞球道  作者: 想々
第一章 ビリヤードを始めよう~C級編
2/52

プロローグ

ビリヤードと言う競技は、「きっかけが少ない、始めてから面白さが解るまでが長い」と言う初心者殺しのスポーツですが、面白さが解ると「本当おぉぉぉぉぉぉぉぉに面白いスポーツです。

本作も、最初の方はどうしても地味にならざるを得ませんが、そう言う所もリアルに描いて行こうと思っています。



異世界召喚なんて無かった。


もちろん特別な能力チカラやら魔術的な何かに目覚めて国家的トラブルに巻き込まれたり、いきなり押しかけて来た美少女となし崩し的に同居することになったりもしていない。


「まあ、当たり前だわなw」


 BGM替わりにテレビを点ける、キャスターが聞き覚えの有るニュースを語り始めるが特に見たいと言う訳ではない、それを適当に聞き流しながら冷凍庫でキンキンに冷やしたジョッキにビールを注ぐ。


 ゴールデンウィークの連休前、S県にある町工場勤務、日吉健吾は何事も無くと言えば聞こえはいいが、要は何のイベントも無いまま普通に30歳の誕生日を迎えていた。


 もちろん明日からの連休も予定は決まっていない、自慢出来る事でもないけど。


社会人にとって長期連休は貴重だが皆考えることは同じだ。わざわざ混む上に料金も跳ね上がるそんな時期に遠出する気にもなれなかった。


「30歳か・・・」


 三十路である。


 社会人としてソレなりに食って行けるだけの給料は貰っているが、特に大人になったという自覚は全くない。

 学生時代と変わった事といえば、プレイするゲームが家庭用のゲーム機からスマホのソーシャルゲームになった位だ。


恐らく今年のGWも近場のゲーセンや本屋に出かけ、家で酒を飲みながらゲームやらネットをしている間にいつの間にか終わっている可能性が高い。


 ビールを飲み干し、チューハイに移行しながらぼんやりと考える。

酒は旨い、ゲームもそれなりに面白いが昔のように徹夜する程のめり込む事も無くなった。

 たとえ時間や金を掛けたとしても、所詮コンテンツが終わったら何も残らない、要は暇つぶしだ。


「かと言って、30歳を機に何か新しい趣味を・・と言ってもなぁ・・」

やりたいことを何でもやれる訳ではない、条件を出すならば・・・


①それほどお金がかからない事。

お金が無い訳ではないけど、1回やるごとに何万とかかったり、道具を揃えるだけで何十万とかは遠慮したい。


②近場で出来る事。

カーリングだとかスキューバーとか出来る場所が限られる上に遠い様な趣味は無理。


③体力・反射神経がなくても出来る事。

正直体力には自信がない、体育会系なノリも嫌いだし格ゲーなんかも苦手だ。


④一人でも出来る事。

ぼっちという訳でもないが友達は多くない、そもそも休みに友人集めてフットサルとかやるような人種じゃないし、社会人ともなると友達と休みを合わせるだけで大変だ


 こんなところか、そしてせっかくやるなら、上手いと人から見てちょっと格好良く見えるようなのがいい。


 と、ここまで考えて「条件ばっか並べて結局何もできないパターンだコレ」と思い苦笑する。


 二本目のチューハイを開け一口飲む。「コンビニのつまみにもいい加減飽きたし、いっそ料理でも始めてみるか?」テレビはいつの間にかニュース番組が終わり、かなり昔のハリウット映画が始まっていた。


 今画面に映っているのは、随分若いトム・クルーズがポール・ニューマンとビリヤードをしているシーン。


 ビリヤードか・・・


 学生時代にゲームセンターの脇に台があった、人気ゲームが順番待ちだった時に時間つぶしにプレイしたぐらいで、詳しいルールもよく知らなかったけど結構楽しかった記憶がある。


 料金は当時で一時間550円だったかな? 台は今だとネットカフェや複合型レジャー施設にもある、必要なのは体力瞬発力じゃなくて頭や器用さだし、何より個人競技だ。


 ビリヤード部なんてものが有る学校も無いだろうし、ネカフェでプレイしてる人を見ても明らかに素人臭い、ちょっと真面目に練習すれば今から始めたとしても「周りの人の中で一番上手い」ぐらいにはなれるんじゃないか?


 そこまで上手くいかなくても、ゲーセン仲間と一緒にプレイした時にドヤ顔出来るぐらいにはなるだろう。


 「どうせ連休中の予定なんかないんだし、試しにやってみようかな」



___そんな、ちょっとした思いつきから始まる三十路からの撞球ライフ___



最後までお読みくださり、ありがとうございます。

次話も読んで頂ければ嬉しいです。

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