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千里07


 いつも以上の眠気とだるさに中々目が開けられなかった。


 寝ぼけながらも目を開けると心配そうに見つめている母がいた。??


 まだ目覚めない頭で周りを見た。


 よく見ると、ここは自分の部屋じゃなかった。あれ?


 少しずつ覚醒していく頭で昨日の事を考えた。私どうしたんだっけ!?


 「ちーおはよう。調子は、どう? 今日、(アオイ)ちゃんの所に行くんでしょ? 行けそう?」あ〜そうだった!!


 もうじき葵ちゃんの誕生日で今日は(ヒナ)ちゃんとプレゼント持って行く約束をしていた。


 ちなみに葵ちゃんは(シノブ)お姉ちゃんの娘で、もうじき2歳になる。


 人見知りするみたいだけど私達には懐いていて、とても可愛い女の子だ。


 「おはよう……大丈夫……まだ眠いだけだから……」だけど何で私ここで寝てるんだっけ??


 「だったら(ヒナ)ちゃんにも連絡するのよ!? 昨日いろいろと迷惑かけたんだから」あ〜思い出したよ!!


 「ん……分かった……」


 「ついでにパパにもね!? 心配してたんだからね〜」


 「はーい……」


 返事をしてから伸びをし起きた。


 ◇◇◇


 あの後、忍さんと雛ちゃんに連絡を取り了解をもらった。


 午後から行くことになったので午前中は暇になってしまった。


 そこで昨日、雛ちゃん達に迷惑をかけてしまったので、お菓子を作った。


 それらを持って、いざ雛ちゃん家へ。


 インターホンを押してからすぐに返事とともにドアが開いた。誰? もしかして家、間違えた!?


 表札を確認するも【麻生(アソウ)】の文字。


 『雛ちゃん家で間違ってないよね!?』と思っていると雛ちゃんが出てきた。


 「も〜だから勝手に出るなって言ったでしょ!? バカ兄!!」良かったぁ〜。やっぱり間違ってなかったよ〜。


 「あ〜悪い悪い」


 「全然、悪いと思ってないでしょ!?」


 「おうよ」


 「結衣(ユイ)さんにバカ兄の事いろいろ吹き込んでやる!!」


 「ほんと、そういう事は止めて!」


 怒ってはいるが楽しそうな雛ちゃんと男の人のやり取りを暫く見ていた。


 するとケンがやって来て一吠えすると終了した。


 ケンからは『何してるの貴方達バカなの?』っと聞こえてきそうだった。


 ちなみに今はスイッチオフ状態なので普通に吠えている声しか聞こえていない。


 そして『そんなバカ二人はほっといて、ちーちゃん上がんなさい』とも。


 ケンに注意されている雛ちゃんにビックリしてしまった。


 いつもは雛ちゃんがケンを注意していたからなのだが今日は逆である。


 それから雛ちゃん母が笑いながら出てきて二人をたしなめていた。


 「ちさちゃん上がって」


 「ほら〜バカ兄のせいで怒られたじゃん」


 「えっ!? 俺だけが悪いの!?」


 まだ何やら言い合っている二人をおいといてお邪魔する事にした。


 中には雛ちゃん父以外に知らない女の人がソファーに座っていた。


 『誰だろう?? お客さん?? そう言えば、さっき出てきた男の人も誰だったんだろう??』などと思っていると顔に出ていたのか雛ちゃんが紹介してくれた。


 「こちら有栖川(アリスガワ)結衣さん。もうじき私のお義姉(ネエ)さんになる予定の人なの〜。スッゴい楽しみでスッゴい嬉しいのです! そんな結衣さんには、もったいなくて何かの間違いであってほしい(ウチ)のバカ兄の勝吾(ショウゴ)。これは、すぐに忘れてくれて良いからってか覚えなくて良いからね!? ちー」


 「お前なぁ〜。そもそも、もし俺がいなかったら結衣は、お前の義姉にならないんだぞ!?」


 「だから、そこんとこだけは兄スゴいって認めてる。しょうがなく本当に、しょうがなくだけど」


 そんな二人を笑いながら見ている結衣さん。


 「結衣さん。そして、こちらが私の心友でもある一ノ(イチノセ)千里(チサト)。ちーちゃんでーす」


 『そういえば先程の男の人は?』と思い周囲を見ると壁際で体育座りをして、いじけていた。あれ、ほっといて良いのかな?


 「有栖川結衣です。ヨロシクね。千里ちゃんって呼んでも良いかな?」うん。ほっといても良いみたいだね。


 「はい。こちらこそ、ヨロシクです」


 挨拶が終わる頃を見計らかったかのように雛ちゃん母が飲み物を出してくれた。


 そこで午前中に作った、お菓子を思い出して雛ちゃん母に渡そうとしたら横にいた雛ちゃんに奪われた。


 「わーい! ちーちゃん今日は何? 何??」


 「こら雛! 行儀悪いわよ!」


 「だって、ちーちゃんの作るお菓子、美味しくて大好きなんだもん! 結衣さんと後で食べるから置いといてね〜」


 始めは雛ちゃん母に最後の方は、いじけていたが復活した……『あれ? 誰だっけ??』……男の人に言っていた。


 「誰も、そんなに意地汚くないわ! それに、そんなん要らん!」


 「バカ兄に言ってないし! ってかバカ兄の分なんて、はなからないよ!?」


 「俺は結衣が作ったのしか食べないから良いんだよ!」


 「言ったね!? 言質は、とったからね!?」


 「二人共いい加減にしなさい!! 勝吾は雛に対抗しない!! お兄ちゃんでしょ!? それから雛は勝吾で遊ばないの!? 忍さんの所に行くんでしょ? あまり遅くなったりしたら迷惑だから早く行きなさい!! ゴメンね千里ちゃん」


 「バカ兄のせいで、また怒られたよ!! もうバカ兄なんか、ほっといて、ちーちゃん行こっ!!」


 言い終わると同時に雛ちゃんに腕を引っ張られ挨拶も、そこそこに雛ちゃん家を出た。



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