千里06
今からしようとしている事は写真を撮りながら出来ないので携帯を雛ちゃんに渡した。
雛ちゃんも心得たと何も言わずに携帯を受け取ってくれる。
雛ちゃんに携帯を預けてから意識を集中した。
ある一点に集中する。
例えるなら万華鏡を見るような感じなんだけど、あまりうまく例えられていないような気がするのは気のせいだという事にしておこう。
今回は日付が分かっているから見るのは楽だし相手には何の負担も違和感もない。
◇◇◇
やっぱり思っていた通りだった。
アリスちゃんの発疹と雛ちゃん父とは、なんの関係もなかった。
だけど今度は、それをどうやって伝えるか考える。
----が考えても何も思い付かないので、いつものように行動する事にした。いつも思った事をただ伝えるだけなんだけど、雛ちゃん達が凄いから理解してくれるんだよね!?
それでも、いつものように行動しようと思っていたら私を阻むものが現れた。そう、この肌触り抜群のモフッモフが……。
今回は、それをもっと堪能してたいという気持ちに軍配が上がった。完敗である。
だけど結果としては良かったのか嬉しそうに渡瀬さんから話しかけてくれた。
「うちのアリスちゃん内気ですのに珍しく初対面の人に懐いていますわ! それに貴女も幸せそうですわね!」
「あっ、はい。毛並みが
「あら〜、やはり分かる人には分かってしまうものなのね! うちのアリスちゃんは週に一回は必ずサロンに行っていますのよ!」」
「だから、こんなにも毛並みが
「駅前のマロンって店なんだけと知ってるかしら?」」私さっきから毛並みしか言ってないよ……。
「マロンって確か半年先まで予約がいっぱいっていう有名な店ですよね!?」
「そうなのよ〜! やはりマロンを知らない人はいないみたいね! ------------」嬉しそうに話しているところ悪いんですが私、実は知らないんですよね……。さっきアリスちゃんの記憶を見た時に(・・・・)チラッと見えたから覚えてただけなんですが……。まぁ機嫌が良いみたいだから黙っとこっと。
「そしてマロンの支配人が私の姪っ子なの! ------------」まだ何か話してたんだなぁ……。まだまだ続きそうだし何か話がそれてるから、なかなか辿り着きそうにない気がするので。
「だからアリスちゃん、お日様みたいな匂いがするんですね〜」
「そうなの! いい香りでしょう! 実は、これ特注品で私が選んだ物なの! うちのアリスちゃんにはアレルギーがあるから市販されているのは駄目なのよ……。だからマロンの帰りは、いつもお日様の香りな……あれ? そう言えば、あの時はフルーツの香りがしていたような……。------------」
今度は何やらブツブツと言い始めたようだ。
『大丈夫なのかな? だけど気付いてくれたのかな?』と思っていると「クーンクーンクーンクーンクーンクーンクーンクーン(考えをまとめている時のママは、いつもあの様な感じだから大丈夫だよ)」とアリスちゃんが教えてくれた。
そして、まだ暫く続くそうなので座ってアリスちゃんをモフモフし始めたらケンが羨ましそうに見ていた。
『良いだろうぅ〜。アリスちゃん可愛いからね〜』などと思っていると頭上が、ざわざわしだした。
『ん?』と思いながら頭を上げると雛ちゃんが、ある一点を見て驚いていた。
『ん? どうしたんだろう?』と思いながら今度は他の人達を見た。
鷲尾さんに母や他の人達も同じく、ある一点を見て驚いていた。??
私は皆の視線の先を見た。
するとブツブツ独り言を言っていた渡瀬さんが今まさに車に乗ろうとしている所だった。えっ!?
私も一緒にビックリしてしまった。あんなに宝物だと言っていたアリスちゃんを忘れてる事を忘れてますよ?
だけどアリスちゃんは平然としていた。あれ??
するとアリスちゃんが再び教えてくれた。
ママが一旦ああなると最後まで突き進み、自分の中で納得した後に必ず迎えに来てくれると教えてくれた。
『だから落ち着いていてたんだね〜って、そんな事が何回も有ったんだぁ……』と少し遠い目になってしまった。
だけどさっき驚いてしまった時に、そのままの状態で停止していたのをうっかり解除してしまったらしくて、その反動が起きてしまったようで眠い。うーこの能力を使うと反動で寝てしまうんだよね……。
だが今回は日付が分かったうえ最近だった事もあり、すぐではなかったので肝心な事だけアリスちゃんに聞いて雛ちゃんに伝える事にした。
反動は必ず起こるが程度が決まってなくて数時間後に起きる時もあれば数日目覚めない時もあるので肝心な事は先に伝えといた方が良いのである。
だけど、そうこうしているうちに伝えていると徐々に瞼が閉じてきた。
最後の方は伝わったのか分からなかったけれど睡魔には逆らえなかった。
伝わったと信じ……..zzZZ----------