千里03
次の日から授業が始まった。
だけど今週は昼までだから、いつものように昼食を食べた後は雛ちゃん家に行く予定だ。
ちなみに、うちの高校は食堂もパンも売っているが私達は弁当持参組だ。
私が人混みが苦手であるからだったりする。
雪ちゃん月ちゃんは今日は塾でいない。
二人とも頭が良くて将来は「ヒ・ミ・ツ(ハートマーク付)」と言って教えてくれないけれど前に「雪ちゃんは医学部、月ちゃんは法学部に行くんだよ」と雛ちゃんが教えてくれた。
そんな雛ちゃんは「獣医さん!!」と出逢った頃からずっと言っていて変わっていない。
だけど私は将来、何がしたいのか漠然としていて決められないでいた。それは私のある秘密のせいもあるんだけど……。
その秘密のせいで、引っ越ししたり家族以外に心を開けなかったりと大変だったんだけど、今では自分で制御できるようになった。
それは雛ちゃん達と特訓したからである。それに近所の忍お姉ちゃんに貰った御守りもあるからね。
家族以外で私を怖がらずに奇異の目で見なかった数少ない人達だった。
特に雛ちゃんは私の力を逆に「羨ましい!! 私も欲しい!!」と言ってくれた。
そして何回も泣き言を言ったり自棄になったりした私を諦めずに励ましてくれたのも雛ちゃん達だった。
だから今は、この力が役に立つと良いなぁ〜とも思えるようになった。あっ、これが私の今の夢だ。
それも雛ちゃん達のおかげである。ありがとう。
◇◇◇
家の中に入ると途中まで昼食の準備がしてあった。
母は朝あらかた支度をしてから仕事に行き、昼前に休憩もかねて一度家に帰り父に昼食を食べさせてから再び仕事に戻る。
だけど今日みたいに、まだ帰ってない時もある。救急とかで時間がずれたりするみたい。そんな時は私が作るんだけど、まだまだ母の足元にも及ばない……。精進あるのみ。頑張るぞー、エイエイオー!!
◇◇◇
父が食べ終わって後片付けをしても忙しいのか母は帰ってこなかった。
だからラップをしてメモを残してから雛ちゃん家に行った。
「ピンポーン」
インターホンを押しても、いつものようにケンの鳴き声が聞こえなかった。
珍しいなぁ〜と思いながら、もう一度押す。あれ?
少し待っても雛ちゃんが出てこなかったので動物病院の方に回った。
裏口は職員専用になっていて私は、そこから入れないので前に「返事がない時は病院側に来てね!? 誰なといるから」と雛ちゃん母から言われていたからである。
それに何回か、そっちから入った事もあったので今日も、なんの疑問もなく向かったのだった。