②
{もう!お兄ちゃんなんて嫌い!}
「ぎゃあああ嘘だと言ってよバービー!!」
―――なんだ隣の部屋がさわがしいな。
昨日はいろんなことがあった。
学園に来てそうそうツンツンした委員長、ボケボケした天然、中二病の不思議ちゃんにどっと絡まれるんだもんな。
現実離れしているというか、個性豊かすぎる。
あのあと美代子さんに女装姿を見せたらめちゃくちゃ喜んでたな。
『ばっちり女の子に見えるわああああ!!』
暴走した美代子さんに抱きつかれた。
そしたら幼馴染みの千代ちゃんに見られて誤解されたし。
千代ちゃんは美代子さんの7つ下の妹で昔はよく三人で遊んだもんだ。
{お兄様のことが…好きなんです}
「{俺も好きだよ…愛してる}ふぉアアアアアア」
「また隣の人か」
夜中だってのにうるさいな。
「すいませーん少し静かにしてもらえま…」
ガチャリとドアが開かれて、出てきたのはめちゃくちゃ美人。
麻糸色の髪をしたほんわかしていそうな人だ。
まさかあの人があんな奇声を発したわけじゃないて信じたい。
「デュフフ…サーセン…自分自宅警備員なもんでぇ…はっ!?素が出ちゃった…」
目と耳が逆だったらいいのに?
「あの…お姉さんは一体なにをしてたんですかね?」
「ぎゃ…ギャルゲーです…気持ち悪い笑い方してごめんなさい!」
ドアを閉められたので部屋に戻った。
あれは幻聴だったと思いたい。