同窓会
読んでくださり、ありがとうございます。
この小説は、最初の方恋愛物要素はあまりありませんが、恋愛物です。
長編を書くのも初なので、暖かい目で見守っていただけるといいです。
彼女は、昔から不思議な子だった。
中学2年生の時のメンバーが集まる、いわゆる同窓会を、24歳になった今、開催していた。懐かしいメンバーが集まる中、彼女はいなかった。
「吉岡って今日来ないの?」
彼女の名前は、吉岡柚菜だった。
俺は当時、吉岡と仲の良かった佐屋に聞きに行った。
「多分来ると思うよ」
佐屋はそう言って、仲の良い子と笑いながら飲んでいた。今はそこまで仲良くないのかもしれない。
俺が席に戻ろうとすると、ガラガラ、と大きな音を立てて引き戸が開いた。
「遅れてごめん」
その姿は、すっかり大人っぽくなった吉岡柚菜だった。
背はそこまで変わっていなかったけど、全然違う容姿に、俺は驚いた。
彼女は大人しくて、口数が少なく、あまり人と関わらない子だった。
だけど今は赤い髪に、ピアスを左に2個、右に1個開けて派手なアクセサリーをつけていた。
「柚菜ー。遅かったじゃーん!」
クラスの中心人物の友香が話しかけて、2人で盛り上がっていた。
俺は期待を裏切られた気がして、元端っこの席に戻った。
しばらく1人で飲んでいると、目の前の空いた席に誰かが座る。
ふと顔を上げると、吉岡がそこにいた。
「久しぶり」
そう言って笑った吉岡は、昔と変わらない気もした。
「久しぶり」
俺も同じ言葉を返すと、吉岡はまた白い歯を見せて笑っていた。素直に、可愛いと思った。
「花奈、来てないんだね」
花奈とは、吉田花奈のことだった。クラス替えの日、吉岡と大喧嘩をした人物で、彼女もまた、来ていなかった。
「今日用事あるみたい」
俺もクラスの子に聞いた話だった。吉田花奈は来ないらしい、と。
それを聞いて、吉岡はふーん、と言って携帯をいじっていた。