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夏休み終わり

 貴重な夏休みを1週間悶え苦しんだ俺の所に、次は中山から花火大会に行こうと連絡が来た。

中山の実家の直ぐ側の海が水中花火で有名な所だから、泊まりも兼ねておいでと誘われた。


 着替えとかと突っ込んだ荷物の鞄を置くのに中山の部屋に入ったら


「あれ?堀川も誘われたんだ」


 何故か石田も居た。

いや同じ部屋に、横山と西村さんのラブラブカップルも居るし、中山お目当ての掛水さんも居た。

これはあれか、夏休み最初のグループデート再来か……。

 しかも女子も泊まり込みなのかよ、レベルアップしすぎだろ!


「それじゃ今からココからすぐ近くにあるプールに行こうか、今日は海は花火大会の準備で泳げないしね」


 どうやら俺が一番最後だったみだいだ。

直ぐにプールに行くなら最初から下に水着を着とけば良かったとか思いながら

プールに行く用の荷物をだそうと鞄を置いた


「え?……どうしよう私泳ぎに行くって聞いてないから、準備してないよ」


 石田が慌ててる。


「あ、どうしよう、私連絡ミスしちゃったみたい」


 横山の隣で西村さんも慌てる。


「あー私はいいや、一旦家に戻って夜の花火に間に合うようにまた来るよ」

「え?でもそれじゃココに来るまでにまた時間掛かっちゃうしお金も……」


 じゃあ泳ぎに行くのを辞めようかーって流れになり始めた。

それはいい、俺の心の安泰の為にもその案は賛成だ!

前回の水着お着替えチラ見で苦しんだ俺は心の中で迷わずガッツポーズをとった。


「んーちょっと待ってて」


 中山が何か思いついたように部屋を出て行く


 階段の降りる音に合わせて「かあさーん、姉ちゃんの水着ってあったっけ?」とか小母さんに声を掛ける音が聞こえる。


「えっっちょっっっ」


 石田が凄く慌てて中山の部屋を出て下へ降りていく。

声が良く聞こえないが階下で小母さんと中山と石田の何かやり取りをしてる声がチラチラとする

そしてまたトントンと上がってくる音がして中山が現れた。


「石田は姉ちゃんの水着を着ることになったから、それじゃ西村さんと掛水さんは下の部屋で着替えてから、母さんの車でプールに行こうか」


 すっごく良い笑顔で言い放った。

俺の平穏どっかいった…………。


 とりあえず、一旦水着に着替えその上に簡単な服を着て小母さんの車でプールに移動し、更衣室で脱いで、プールサイドで待ち合わせする事になった。

 女子は服を脱ぐだけでも時間が掛かるんだなー

なんてぼんやりしながら、男3人プールサイドで女性陣が出てくるのを待つ

室外プールなのでプールサイドも太陽の光で熱されて暑いのでビーチサンダルはまじ大事。

 持ってきてなくて、あちっあちっって言いながら移動してる親子連れとか、カップルとかを見送りながら中山と横山と3人仲良くジャンケンしながらあっちむいてホイをする。

俺ら何歳だよピチピチの15歳だよ!


「お、出てきた出てきた」


 横山が嬉しそうに手を振る


 白に茶色のドットが入ったキャミソールワンピースみたいなのに茶色のパンツの水着を着てる西村さん

赤色の花柄のワンピースを着てる掛水さん

青色のボーダーに白いパンツの水着を着てる石田


 以上が中山の解説


 おい石田のあの水着胸元開いてるから結構胸が強調されてるんですが!


 中山にどういうつもりだという意味を込めて足をグリグリと踏む


「いやあれほら姉ちゃんのだから!

でも姉ちゃんのあの水着着れるって事は石田って結構胸が……いてぇっっ!」


 ガツンと思いっきり踏んでやった。

そんなやりとりを石田達が側に来るまでボソボソとしてた。


「お待たせ!思ったより更衣室混んでたから時間掛かったよー」

「いや大丈夫だよ、海が使えない分プールが混んでるかと思ってたけど、予想以上に混んでるね」


 中山がとりあえず荷物を置く場所を確保するのに移動しようと提案し、皆でどこか空いてる場所がないかと辺りを見回す。


「まあでも夜花火見るし、これくらい混んでるほうがガッツリ遊ばなくて済むからいいんじゃない?」


 そんな事を掛水さんと話しながら、ちらっと石田の様子を見る。

 荷物を体の前で抱きかかえ、水着姿を隠そうとしてる石田と目があい、思わず自分が着てたパーカーのラッシュガードを脱いで石田に渡す。


「それ着とけよ、そしたら少しは隠せてましだろ?」


 と言うと、石田はありがとうと受け取り、その場で俺のラッシュガードを身に纏う。


「堀川ありがとう助かった」


 石田は自分の水着姿が隠せたのかほっとしたように、俺にお礼を言う。

俺も最初は水着姿隠せるから良かったとか思ってたけど、実際着てる姿を見ると違う意味でやばいと思った。

 あれだ、自分の服を着てる好きな子の姿を見て萌える現象だ。

よくたとえ話で、男性用のシャツを着て、だぼっとした服から見える、女の子の体のラインたまらんとか聞くけど、今ならなんだかその訳が判る。

 石田の水着姿を見て目のやり場に困るのか、俺のラッシュガード着てる姿を見て悶えるか二者択一!!!

 なんだよこの煩悩戦争ー!!!!!

 うおおおー俺のHP既に0だよーと頭を抱えて悩んでる俺を余所に、いつの間にか荷物置き場を確保して、横山に早くお前荷物置けよって突っ込まれた。


 プールの中に入ってからはなんとか石田の姿が見れた。

上半身だけならまだ我慢できる。

 でも浮き輪の上に体を乗せて浮くのは辞めてくれ、ラッシュガードの裾から見える太腿とお尻のラインがエロイやばい、俺のHPマイナスに突入しても可笑しくない。

 どこでそんなにコンボを食らったんだ俺。


 煩悩と格闘しながら話をしてたので、どんな会話をしたのか全然思い出せないままプールは終わった。


「スライダー面白かった!私今回が初めてだから、TVでしか見たことのなかったから体験できて嬉しい」


 普通の私服姿の石田を見て俺は安心して、良かったなと返事をする。


「あ、そうだ借りてたラッシュガード洗って返すね」

「あ、いやいいよ、家で洗うから返せ」

「え?でも水洗いしかしてないし、やっぱり洗って……」

「いやいいから!」


 少し強めの声が出てしまい、石田はちょっと吃驚しながら俺にラッシュガードを返してくれた。


「いや怒ってるんじゃなくて、無かったら家族に詮索されて面倒なんだ」


 いやこれは結構本当、母さんとかに何故ないか聞かれて、応えたら何処までも追求が入ってボロがでそうだ。


「あー、そうだよね、うん、ありがとう!」


 そんなやり取りをしてたら、丁度中山の小母さんが迎えに来たので、皆で車に乗り込んで中山の家に一旦プールの荷物を置きに戻り、夕方の花火を見る場所の場所取りに歩いて海岸へ移動した。


 海岸へ皆で話しながら移動すると、砂浜に俺らと同じように場所を取りに来てた人達のシートで埋まってて、何処か開いてる場所がないかと、奥へ奥へと移動していく。


「砂浜にこれだけシートがあると、違う意味で圧巻だね」

「そうだね、ああの辺から開いてる」


 先頭を歩いてる横山西村さんが開いてる場所を見つけて指を挿す。

その前にお前らその恋人つなぎにチョップしてやりたい。

 後ろはカップルでもなんでもないんだ、バカップルしたいなら余所でやれ!


「私、山育ちだから夕方の海とかも初めてだ」


 石田は一緒にシートを広げながらも、たまに海へと目をやる。

まあ確かに夕方に海は滅多に来ないから俺も茜色に染まりつつある海を見る。


「あ!重石になるやつ持って来るの忘れてた!」


 掛水さんがシートの端を押さえたままどうしようと困り


「こうすればいいよ」


 と中山が周りの砂をシートの上に乗せて重石代わりにする。

それを見て皆でシートの端に砂を乗せていく。

 一段落着いた頃にまた海を見て、花火の準備をしてる船を見ながら、ゆっくりと沈んでいく夕日を見る。

 そういえばこんなにゆっくりと、夕日を見るのはどれくらいぶりなんだろう

ふとそんな感傷じみた思いが心を過ぎった。


 段々と茜色が夕闇に変わり始めたので、明るいうちに中山の家に戻ろうと皆でまた移動し

小母さんが用意してくれた晩御飯を食べながら、花火の開始時間間際まで中山の家で時間を潰して花火を見に移動した。


 水上の上を噴水のような花火が横一列ばばばばっと上がったと思ったら、直ぐにヒュルルルルと上に打ち上げられる音とともにドンっと大きな打ち上げ花火が上がった。

 夏祭りの時も、近くで花火が上がってたから、結構音が凄いと思ってたけど、そんなのが比じゃない位の衝撃と音で体に振動が来る。


ドンドドンパッ


 音と花火の光りがずれる事なく、目の前で上がり重い音となって体に届く。

あまりにも味わった事の無い衝撃に思わず体が苦しく感じて心臓に手を当ててしまう。

 そしてふと石田をちらっと見てみる。

楽しそうに花火を見ながら隣に座ってる掛水と何か話しながらも、その手は俺と同じように胸に当ててあって

 思わず、俺と同じように音で苦しく感じるのかな?

 とか思ってしまって口元が綻んでしまう。


 水中から半分だけ姿を現す放射線状の花火、水中だからか音の響きが少し変わるけれど、やはり目の前で見る迫力と届く音の衝撃は変わらず、見てて感動をあたえる。

 目玉の二尺玉が上がった時は、流石の大きさとその音の迫力に

打ち終わった後、皆で思わず顔を見合わせて凄い凄いと興奮した。


「こんな凄い花火初めてみた!」


 皆ですごかった凄かったと興奮して話しながら中山の家に帰り、中山の部屋で男3人、客室で女3人に別れて寝ることになり

 中山の部屋の入り口の廊下で、何時までも横山と西村さんが話してるのを、中山とイライラしながら聞く羽目になり、思わず中山に


「花火はまた来たいけど、カップル誘うの辞めてくれ」


 と言ってしまい中山も


「これは罰ゲーム過ぎる」


 と一緒に嘆いてくれた。

とりあえずイチャイチャするなら、場所を考えろお前らバカップル!!!!

本当もげてしまえ!!!!


 それでも寝る時目を閉じたときに浮かんだのは、花火を見てるときに俺と同じように胸を押さえてた石田の姿で、初めて自覚した時に比べると大分落ち着いたなーとか思いながら眠りについた。


 次の日は朝から皆で終わってない夏休みの課題をして帰り





 こうして俺の高校1年の夏休みは終わった。

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