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夏休み中

 横山から川へ泳ぎに行こうと誘われた。


 街中を流れてる川は流石に泳げれるほど綺麗じゃないので、もっと上流の方へ行こうといわれ自転車で1時間ほど掛けて山道をヒィヒィ言いながら漕いだ

 そのかいあって、澄んだ綺麗な上流に辿り着けた。


「この辺は、監視員も居るから泳いでいい区域なんだよ」


 田村に聞いてて前々から来たかったんだーと横山は嬉しそうに話してる。

だったら彼女を誘え2人でイチャイチャしながら泳いでろ!

 西山さんに声を掛けて用事があるから無理だと振られたから俺を誘ったんだってさ。

だったら諦めればいいだろ、俺をお前の暇つぶしに巻き込むな!

何が楽しくて野郎2人で泳ぐんだ、いやまあココまでついてきた俺が言える事じゃないけどさ!

 川は所々に増水対策で小さなダムとか放流所とかを作ってあるので、そういう場所は禁止区域になっている。

 そういう場所は予期せぬ川の流れになってるので、浅いし大丈夫ーとか過信して入ると大体流されておぼれたりする。浅瀬でも要注意の場所が多いのが川だ。


 遊泳区域は川の流れが安定してて、近くにそういう場所がない所が大体指定される。

近くの川原で着ていた服を脱ぎ、川の水の冷え具合にビビリながら足を入れていると


「あれ?横山と堀川?」


 遠くから予期せぬ人物の声が聞こえた


「あれ?石田さんこんにちはー」


 横山が手を振りながらそっちに大声を出す

川原の反対側の川沿いの岩の上から石田が手を振ってる。

どうしてお前がココに居るんだ!


 恥ずかしくてそっちが見れない、何なんだこれは罰ゲームかっっ

丁度その岩の直ぐ後ろの崖から生えてる木の枝が川の上に差し掛かってて、その枝にロープをぶらさげてあり、そのロープでターザンの用に岩から川の上に行き川の中へ落ちれるようになっている。

 そのロープは水面ギリギリに当たるか当たらないかの長さで、丁度川へ落ちた人が岩に居る人へ水面から体を出してそのロープを投げ渡してた。

 なるほどそうやって順番に回って遊ぶのか


 石田にそのロープが渡り、そのロープに足を引っ掛けて岩から足を離す

川の上で体を後ろに倒しくるっと回転しながら水中へと綺麗に水しぶきを立てながら落ちていった。


「おおー、何あれ!俺もやりたい!」


 横山が隣で興奮しながらそれを見る。

水中から顔を出した石田がロープを投げ渡しながら、こっちに手を振ってる

川で見る水着姿が凄く俺には眩しいです!


 横山と水が冷たいとかギャーギャー言いながらも何とか対岸の岩場につく


「あれ?石田さんそれ学校の水着?」


 横山直球でとんでもない事を聞くな!

 俺も気にしてたんだけどな!!


「あーうん、プールに泳ぎに行くわけでもないし、小さいときからココでこうやって泳いでたから水着買う機会なくって」


 スクール水着に日焼け対策で着てるTシャツ、中学校までの授業中とか普通に女子の水着姿とか見れたのに、これが気になる女の子だと破壊力が凄すぎる。

 普通の水着じゃなくて良かったのか学校の水着で残念なのかわからねぇー!!!

 でも夏休みの間にこの気持ちをもう少し落ち着かそうと思ってたのにそんな暇与えてくれないのかよって嘆きそうにもなる。

 平常心平常心。

俺は心頭滅却すれば火もまた涼しいを心の中で無駄に唱える。


「さっき石田がやってたやつってどうやってやるの?」


 横山はそんな俺の気持ちをスルーしながら石田に声を掛ける。


「横山はこれするの初めて?」

「ああ、こっちに来たのも村田のお勧めでさ」

「だったら最初は普通にロープに掴まって落ちる事から始めた方がいいよ」

「やっぱいきなり回転は無理?」

「うーん、出来るならしても良いけど、慣れてないと最初は足の指を外すタイミングを間違えて、顔から落ちる人が居るから、どの辺から落ちればいいかとかの指から外しなれるまでとかのタイミングを掴むまでは普通に足から落ちた方がいいよ」


 説明をしながら次に来たロープを石田が受け取る


「はい横山、私はいつでも出来るしお先にどうぞ」

「ありがとう石田」


 普通に会話のやり取りが羨ましくて2人を見る。

横山がうぉぉーって興奮してる声を上げながら水の中に飛び込む

ドボーンって音と同時に立ち上がる水しぶき


水面から顔を出してロープを掴む


「それ普通に投げるより、円をかくように回しながら投げたほうが投げやすいよ」


 石田のアドバイスになるほどと頷きながら横山がロープを振る


「あっ!」


 でもロープを投げるときに手元が滑ったのか違う方向へ飛ぶ


「よっ」


 それを石田がなんでもないように手を伸ばし掴む


 でも目の前でその石田の体がガクっとずれた

あ、落ちるっと思った瞬間石田を掴もうと手が伸びて咄嗟に石田の服を掴んでしまった


「ダメ堀川!岩を蹴って!」


 足元が不安定な岩場なのを忘れて石田の服を掴んでしまい、俺もバランスを崩してしまい、そのまま下に落ちそうになる

 でも俺の場所からそのまま下に落ちると岩な訳で、石田のアドバイスに従って足元の岩を蹴り川の中へと落ちた。

少し緑掛かった水色の視界に覆われる

 離れた場所でドボンとくぐもった音が聞こえる、同じように水の中に落ちた石田の姿がぼんやりと見える。

 同じくらいに水面に顔を出すと石田がこっちに泳いでくる


「ありがとう、助けようとしてくれたんだよね。ごめんね巻き込んじゃって」

「いや、こっちこそ危なかったよありがとう」


 ひやっとしたアクシデントのお陰か石田へのドキドキが少し収まって普通に返事が出来た。


「っとロープロープ」


 石田は少し戻りロープを次の人へと投げる


 その後、ロープを掴んでたら真下に落ちる事もないしから、ああいう時は掴んだ人の方が逆に危ないから気をつけろと注意された。


 うん、本当だね。でも咄嗟に動いたんだ悪かったよ!!!


 其処からはなんとか普通に話せるようになり、普通に飛び込んでた俺とか横山にそろそろ回転でもいけると思うよといわれ、どうやって回転するのかコツを聞きく


「ぶっちゃけ勢い良く後ろに倒れるだけ」


 そんなに簡単なのか?!って思いながら勢いをつけて後ろに倒れると確かにくるっと回転した。

ぐるっと周る周りの風景と突然の水の中の景色変わりようが面白くて夢中になった。


 どこからともなく「ウウゥゥゥゥー」という音が響く


「あ、時報だ私そろそろ帰るわ」


 なんでも5時の時報だそうだ。

この辺だと12時17時で時報がなるそうだ。

 帰りは山道を自転車で下るだけだとはいえ、俺らは家が遠いのでそろそろ帰らないとと思い石田に合わせて一緒に川原に戻る。

 荷物からバスタオルを出し体を拭く

近くで石田も荷物からバスタオルを出して上に着てたTシャツを脱ぎ、体を拭き両肩にバスタオルを乗せたと思ったら、水着を肩から外し始めた

思わずギョッとして石田の元に走りよってしまう


「お前ここで着替えるのか?!」


石田がきょとんとしてこっちを見る


「え?うん」


 その答え方が、まるで何か問題でも?って返事で危機感なんてない

持ってたバスタオルを広げて石田の姿を隠す


「これで多少目隠ししてるから、早く着替えろ」


 こいつは恥じらいがないのかー!!!と心の中で突っ込んでしまう


「っぶ……ふふっっ」


 タオルの向こうで石田がなにやら笑ってる

何が可笑しいのやら俺にはわからん

それから4~5分位して石田が終わったよと声が掛かる

お前着替え終わるの早いな!男子並だよ!!!


「ありがと」


 はいこれお礼ってうまい棒を渡され


「じゃあ私はあっちだから」


 と石田は自転車に乗って颯爽と去っていった。


「横山見たか?」

「いや見てない」


 横山にはちらっと石田の事を話してあったせいか、いちいち俺の行動にニヤニヤしてくる。


「むしろお前の慌てっぷりの方が見てて楽しい」

「横山なんか西村さんともげろ!もげてしまえ!」


うおぉぉおぉぉーっと勢いに任せて自転車で坂を下り家路に着く

折角普通に話せるようになったのに、最後の最後で水着からの生着替えを見そうになるというハプニングで1週間ほど俺は悶え苦しんだ。

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