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風と枯葉

人のまばらな路地裏

誰も履かない道を

冬風が掃除する


落ちた枯葉は

風に吹かれて空へと上がる

やがて

再び落ちてくる

それはまた風に吹かれ

幾度目かの空の道を辿る



きっと僕が生まれる以前から

気の遠くなる程の時間

繰り返される冬景色


人が変わり

街が変わって

木は減り

車が増えて

世界が大きく変わっても



冬という世界の中で

永遠不変に続くのだろう

それは小さく

それでいて雄大にね



「凄いなぁ」


続く景色に

しみじみと呟いてみた

道に独り立ちながらね


そんな僕を

冬風が包み込む

肌に突き刺さる寒さは

晒した肌をほの赤く染めた


かじかむ手をほぐしながら

「これも続いているのかなぁ」

そう呟いてみた


開けた口から漏れるのは

白く染まった命の証



「寒いなぁ」

当たり前の事を口にして

辺りに目を配らす



この道を歩くのは僕一人

道に響き渡るのは

風と枯葉の交響曲

道を染め上げるのは

風と枯葉の合同演技

観客も僕ただ一人



冬だけに訪れる舞台

邪魔するモノは無かった



しかし、それでも

素晴らしき舞台にも

区切りはあるのだ



箒で掃く音が響く



「相変わらず寒いねぇ」

微笑みかけるおじさんに

「そうですね」

微笑み返した


「掃除頑張ってください」

そう声をかけると

「そうするよ」

弾んだ声が返ってきた




これもずっと続いてるんだろうね




そう苦笑いをしてみた


そんな僕の横を風が通る

「これでいいのさ」

そう呟いているように聞こえたんだ

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