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僕に温もりをおくれよ

今日も一人の帰り道

何時もの様に

道の端っこを静かに歩く僕の横を

何時もの様に

道の真ん中を賑やかに歩く集団


一瞬彼らの目が僕に向いて

「独りなんて可哀想だな」

憐みの視線がそう語った様な気がして

賑やかな笑い声までも

「アイツ独りなんだな」

可哀想だと、僕を嗤ってるように聞こえるんだ


急に惨めになって

見える世界がぼやけて

前を向くのが辛くなった

「一人は楽しいさ」

唇噛みしめて呟いた

心にもありゃしない言葉をね


どれだけ強がっても

この心を満たす

苦しさと冷たさは

どうしようもないんだ


声が過ぎ去り

下向けた顔上げて

空を見上げてみた

雲の上の神様よ

僕の願いを聞いてはくれないか


叶うならば

僕に温もりをおくれよ


例えそれが偽りであっても構わない

誰か僕の冷え切った心に

温もりをおくれよ


例えその温もりのせいで

心が溶け消えようとも砕けようとも

そんなことは構わないからさ


例え与えられた温もりが

未来に僕を壊すことに成ろうとも

僕が生きるのは今で

未来が来るかどうかなんて不確定さ


今を考えて

未来も心配出来るのは

きっと石の土台に立つ勝者だけなんだ

僕は薄氷の上に立つ敗者だから

今だけを考えるしかないのさ

今だけしか考えられないのさ


だから偽りの温もりでもいいんだ

偽りでも温もりは温もりさ

僕は今、心に温もりが欲しいんだ

僕は馬鹿だから未来なんか知らないのさ


敗者の僕には

独りの僕には

「おはよう」

「ばいばい」

こんな言葉でも

温もりに思えるんだ

ねぇ、これ位の事が言えないかい?


冷たい心には

苦しむ心には

偽りの温もりだって

仮初の温もりだって

十分な温もりなんだ

ねぇ、こん位与えてくれたっていいだろう?




本当に少しだけでいいんだ

何も贅沢な事は望まないからさ




例えそれが

仮初でも構わない

偽りでも構わない

お願いだから僕に温もりをおくれよ




いずれそれが

心を砕くことになっても構わない

僕は今、温もりが欲しいんだ

お願いだから心に温もりをおくれよ




それとも神様

こんな僕には

それさえ与えてくれないのかい?




他に何も望みやしないから

お願いだから温もりをおくれよ



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