知らずに暗躍
焦れったくてたまらないとウィンウッドは未だにルシオンの恋心に気付かないティナに愚痴を言っていた。
愚痴を言う相手には些か不満だが長年の付き合いがあり言いやすいから仕方ないのだろう。
ウィンウッドとティナとルシオンは強いて言うなら幼なじみみたいな存在だ。
ティナがウィンウッドのよくわからない愚痴を聞くのは今日が初めてではないので聞きつつ放置している。
「じゃあウィンウッドはルシオンとフェルディナンドにどうして欲しいんだ?」
「この流れでその発言のティナに奇跡を感じるよ。」
ティナの発言で呆れつつも落ち着いたようでウィンウッドは仕事に戻っていった。
ティナは考えていた。
よく理解はしていないがルシオンはフェルディナンドの事で悩んでいるみたいだ。
自分がどうにか出来るとは思っていないが気を紛らす事くらいはしてあげたい。
「ルシオン!」
「ティナ?何のご・・・え?」
呼ばれ書類から目を離し見るとティナは剣舞の時の正装をしていた。
ターバンを巻いて踊り子のようなゆったりとした鮮やかな服。
「今日はお祀りだったかしら?」
「いや、ルシオンが悩んでるようだから解決しますようにと思って。気分転換に行かないか?」
演舞場に行く途中でフェルディナンドとルイーズに会い、いつか舞うかもしれないからティナは一緒に来させた。
ルシオンが妙にそわそわしているがティナは理由を知るよしもない。
演舞場に着いてティナは円形舞台の中央へ行く。
「今から見せる剣舞は青天の舞だ。フェルディナンド、ルイーズはいつか舞うかもしれん。よく観ておけ。」
ティナの言葉にフェルディナンドは「まじっすか?!」とか言いながらも目を輝かせている。
ティナが刀を抜いて舞出す。
力強いが雄々しい感じではなく華やかで美しい動き、観る者を魅力させる。
「凄いですね、ルシオン様!」
興奮したように言うフェルディナンド、ルイーズが晴れ歌を口ずさむ。
フェルディナンドも一緒に口ずさむ。
ルシオンはティナの舞を観つつ二人を見ていた。
カチャンと刀を鞘に戻しティナの舞が終わる。
フェルディナンドは夢中で拍手をしていた。
「晴れの祀りみたい!あー、アマノハレ食べたいなー。」
「アマノハレ?」
フェルディナンドの言った食べ物の名をルシオンは知らなかった。
「最近流行り出した、ふわふわしてて甘くて美味しいんすよ!ルシオン様も今度のお祀りの時に食べに行きましょう。」
あまりにもキラキラした笑顔で言われ思わず頷いてしまったルシオン。
それってデートのお誘いしてないか?と蒼白なルイーズと元気になって良かったと本人は気付いていないが大手柄のティナが見守っていた。