前途多難 2
赤から橙のグラデーションの髪。
猫目がちな橙色の瞳。
少し男性にしては小柄なのを気にしているのか、からかわれると
「まだまだ育ち盛りっすよー!」
と笑ながら仲間に言っている。
そんな姿が愛らしいと窓辺からフェルディナンドを観察中のルシオン。
エンヴィーに写し鏡は禁止と言われ城内から訓練所が見える場所にこっそりと行くルシオン。
本人はバレてないと思って、せっせと通うのがいじらしい。
「恋って盲目。」
そんな事を呟きながらルシオンを見守るウィンウッドとエンヴィー。
ティナも一緒にいるが全く理解していない様子。
影で見てるだけで早くも1ヶ月が経とうとしていた。
「声でもかけりゃ良いのに。」
「恥ずかしいでしょう。」
ウィンウッドの言葉にルシオンは即答する。
「今は見てるだけで十分なんで。」
なんて片思い万歳みたいな事を言う。
片思いと言うか恋に恋しているみたいな状況だ。
そんな不条理な状況はなんとか打破したいとウィンウッドは思案中。
「俺はね、やっと恋をしたルシオンには幸せになって欲しい。片想いも楽しいが両想いの楽しさも知って欲しいわけ。」
「考えておきます。」
素っ気ない返事をされ苦笑するしかないウィンウッド。
ただ何かを思い付いたようにその場を去っていく。
ルシオンはまたこっそりとフェルディナンドを見に行くのだった。