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誰かがいる朝

「――。」

 目覚める。

 見慣れない天井。目を開いたまま小さく息を吐く。呼吸のたびに少しずつ意識が覚醒していくのを感じた。首を回して、ゆっくりと周りを見渡して、そうしてここは学生寮の一室だということを思い出す。壁の掛け時計は4時50分付近を指している。

 そのまま静止。何を考えるわけでもなく、横になって天井を見上げる。時間の流れを感じない。眠気があるわけではないが、なんとなく目を閉じた。

 時計を見る。5分が経過していた。ほんの数秒のように思えた。

(起きなければな)

 一気に体を起こして、布団を剥ぎ取った。ベッドから足を下ろして、へり(・・)に腰掛けたような体勢。

「あああああああああぁぁぁ」

 腹から声を出すと、自分の身体にスイッチが入るのを感じた。立ち上がって洗面所に向かう。

「っと、忘れ物……」

 バッグの中から無造作に詰め込まれた歯ブラシを取り出して、その他もろもろ、洗面所で使用するものを袋に詰めた。

 洗面所には先客がいた。昨日、風呂で生徒の使用時間外に使え、と言われていたのを思い出して、すこしドキッとするが、顔を洗っている人を見て安心した。

「なんだ……アヤネかぁ。驚かすなよ」

 呼ばれた彼女は顔を拭いて、鏡越しに俺を見つめる。

「おはよう、ダズ。すぐに終わるから待ってくれ」

「ゆっくりでいいよ」

 彼女の後に顔を洗い、歯磨きをしてダイニングへ向かった。キッチンから美味しそうな匂いがしてくる。

「すぐできるから、少し待ってくれ」

 亜矢音の声。キッチンで朝食を作ってくれているようだ。

「食事を作ってくれているのか? 悪いな、ほうっておいてよかったのに」

 そう言いながら、彼女の隣に立つ。魚を焼いている。朝は和食のようだ。

「朝はいつもトーストなんだ」

 日本に住みだしてもう短くないが、やはり日常生活でも洋食を食べることが多かった。

「そっちが良かったか?明日はトーストにしようか」

 明日も作ってくれるつもりなのか……。

「いや、良いと思う。和食も大好きだしね。特に納豆とかは気に入った」

 健康的だな、と彼女は言いながら笑った。

 朝食はすぐに出来上がった。白ご飯とお味噌汁に焼き魚。そして気を利かせてくれたのか納豆も。

「いただきます」

 毎日、こんな風に朝を迎えられるのは悪くないかもしれない。さて、今日は面倒がなければいいが……。

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