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二人の居るいつもの家

「ふーん。生徒会長を敵にまわしちゃったんだ」

「ああ、ひどい話だろ。そんなに悪人面だったか?」

 久しぶりの自宅の食卓。ミキの作ってくれた食事を囲んで、ダズは学園での出来事を話していた。

「ミキはどうだ?学園生活」

「楽しいよ。今まで病院生活だったから最初は人付き合いに困ったけど、みんな優しくてすぐに馴染めたわ。部活とかにも誘われてるの」

「へぇ。何の部活に?」

「運動部なの」

 ミキは少し残念そうに笑って言った。

「良いじゃないか。見に行ったりしてみたのか?」

 ダズの言葉にミキは少し驚いた顔をする。

「私、体弱いのよ。さすがに過度な運動は駄目でしょ」

 ダズは思ったより弱気なミキの様子に、ついつい頬が緩んでしまった。

「ふふ、もう病気は治ったんだって。弱気すぎるよミキ。病室に蜂が入ってきたときを思い出すなぁ」

 ミキを置いて、一人楽しそうにしているダズ。そんな様子の彼を見て、ミキは軽く口を曲げてつまらなそうな顔をした。

「だって怖いじゃない。昔は走っただけで息があがって、すぐに倒れたりもしてたんだよ」

「あーあー、わかったわかった。なら俺が部長さんに話を通しておくから。うちの子は怖がりだから優~しく指導してあげてくださいって……いでっ」

 ミキに頭をはたかれた。

「ちなみに部長さんは何て娘なんだ?」

「えーっと、秋月さんって言う人。秋月理恵さん」

「秋月理恵……?あっ、理恵。何だ彼女か」

 最近会ったばかりの少女の顔がダズの脳裏にちらつく。彼女の部活動ということは格闘技系であろう。

「あれ?知り合いだったの?」

「おお、超人の子だろ。さっきの話を教えてくれたのが理恵だよ」

 ミキが驚いた顔をする。

「何だよ、その顔は?」

「いや、お兄さんが女子高校生と仲良くなるなんて思ってなくて……」

 ダズはミキのその言葉に微妙な顔をして、箸を置き食事をおえた。椅子を立ち上がったは良いが、ダズは特にすることもなく、手持ち無沙汰である。

「お風呂に入ってくれば?そのあとは、久しぶりの家なんだし一緒に映画でも見ない?」

「お、良いね。なら、風呂に入る前に買い物行こうか。映画見るなら酒が欲しい。お菓子も買ってあげるから」

「む、私がお菓子で釣られてるみたいな言い方!ちょっと失礼じゃない?」

「え?いらないの」

「……行くけどさ。もうちょっと言い方があると思うわ」

 恥ずかしがる女の子らしいしぐさに、ミキはやっぱり可愛い妹だな、とダズは思った。

「ついて来てくれないと寂しいな~。一緒に行ってくれよ、ミキ」

 ふざけた様子のダズ。昔からこんなやり取りをよく二人はする。誰が見ても、とても仲の良い兄妹である。こんな時は決まってミキが嬉しそうな顔で、

「うん!」

 と言うのである。

次話からはストーリーが動き出します。そろそろ本格的にダズの『試合』が始まる予感!?

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