婚約破棄をした元婚約者が女を連れて新居に入れろと来るのだが・・・
「やあ、リサ、新居に入れないのだが?」
「そうよ。鍵を寄越しなさい!」
「えっ、ダグラス様とキャサリン様・・・・はあ?」
ダグラスとの新居として我が家門が用意した屋敷に、女を連れて来た。
しかし・・・
「ダグラス様、私との婚約を破棄されたのではないですか?」
「だからどうした!」
「そうよ」
「この屋敷は我が家門の所有ですわ・・」
「家門?新興商人なのに家門、笑わせるな」
「ですから、貴方の屋敷ではございませんわ」
「お前が至らないから婚約破棄をしたのだ。いつも慰問ばかりして俺を放っておいた。これは虐待だ」
「そうよ。あなたがダグラス様を虐待したのだから慰謝料を欲しいわ」
「慰問は貴族の義務ですわ・・・ダグラス様はサボってばかり・・・」
「お前の父も俺の贈り物そっちのけで橋を作ったり道を工事したり。貴族である俺をないがしろにした。親娘そろって謝罪をしろ!」
こんなの通ることはない。
と思ったが。
「ゲオハルト殿下の免状だ!さっさと鍵を寄越せ!」
「そうよ。私達は伯爵家よ。男爵家は言う事を聞きなさい!」
「そ、そんな」
わが王国では陛下と殿下は我が儘に振る舞う。王妃殿下、王女殿下も贅沢三昧・・・
無茶が通る国情だったわ。財産は簡単に没収される。
それが嫌だから伯爵家のダグラス様と縁を結ぼうとしたのに・・・
「それと、何かビジネスを寄越せ!」
「そうよ。貴方を雇ってあげますわ」
すぐにお父様とお母様に報告をした。
「リサを雇う?リサが優秀なのが仇になったか・・・」
「リサ、逃げなさい。一生しゃぶられるわよ」
「・・・お父様、考えがあります・・・」
私はダグラスの元で働く事にした。
屋敷内の庭の粗末な小屋が私の住処だ。
庭園にゲオハルト殿下を招いてパーティーをするわ。
「ダグラスよ。貴族は血だ!貴族もどきの娘の血が入らなくて良かったな」
「全くです。殿下、リサと婚約破棄をして良かった」
このパーティーの準備したのも私だ・・・私はメイド服を来て給仕をしているのに、聞こえるように言い放つ。
そして、1年後、ダグラスとキャサリンは民衆達に連行されている。
民衆達の堪忍袋が切れたのだ。
「おい!私は無実だ!」
「そうよ!平民ごときが触らないで!」
「黙れ!貴族、お前達遊んで暮らしていただろう。調べはついている!」
「そうだ!もう、うんざりなのだよ!」
平民達が暴動を起し手がつけられなくなった。
この予兆は数年前からあったわ。
私は・・・
「マン男爵家のリサでございます」
「うむ。粗末な小屋に住んでいるな・・・」
「知っている。慰問をしていた姉ちゃんだ」
無罪放免になった。
そして、屋敷に戻ると・・・・民衆についた兵が屋敷を囲んでいた。
「誰か!」
「マン男爵家のリサでございます」
「通れ!」
「ご苦労様です」
この家は民衆派の重鎮とみなされた。
自発的に兵や民衆が警備に当たるようになったわ。
「お父様、お母様、お兄様、ただいま戻りました」
「「「「お帰り!リサ」」」」
ここで今後の事を話す。
「実はリサに縁談が来ている」
「まあ、そうですか・・・」
「隣国のシャルド王子殿下だ。まだ、若いリサの三つ年下の16歳だが聡明と評判だ」
「隣国はリサの実務能力を買っていますわ」
「まあ、そうですの・・確かに王政にしないとまとまらないですわね。でも、無理ですわ。私は男爵家ですの」
お兄様が仰るわ。
「リサ、仕事が人を作る。やってみるしかないだろう。顔合わせをしてみては?」
「はい」
シャルド殿下は皆の話を良く聞くタイプの殿方だわ。
私は資料を集めて、殿下の判断の補助をすることにしたわ。
「リサ、ダグラスとキャサリンの2人の刑はどうしたら良いと思うか?」
「殿下、この2人は・・・私との私情がございますから判断は出来ません」
「なら、死刑だな」
「まあ・・・・」
キャサリンとダグラスは他にも平民の財産を強引に取っていたようだ。
「リサ!助けてくれ!」
「そうよ。屋敷は返すわ!ダグラスも返すわ!」
私は2人の前に立ち。刑を宣言する。
「・・・等々、数々の財産をゲオハルト殿下の名の下に奪いましたわ。下級貴族、平民、中には自殺された方もおります。刑は死刑ですわ」
「懺悔する!」
「助けてよ!反省するわ」
「是非、死んで懺悔をして下さいませ」
刑が執行されたとの報告はあがる。
「リサ」
殿下が肩に手を置いてくれた。
これでやっとあの2人は私の中から消えたわ・・・
最後までお読み頂き有難うございました。




