目覚まし時計が爆発するらしいので起きようと思ったけど布団が強すぎて無理だった件
ねむい=͟͟͞͞ (¦3[▓▓]
ピピッ、ピピッ、ピピッ
枕もとで俺の目覚まし時計がなっている。
『もう7時です、起きてください』
目覚まし時計はハイテクだ。人間のような流暢な発音で喋っている。
AI搭載の俺の目覚まし時計は、体温や睡眠時間をしっかり管理してくれるんだ。
技術の進歩を感じるね。
『爆発まで5秒だぞ、起きろよゴルァ!』
――そう、これが俺の目覚まし時計の最終形態だ。
この音声は、俺の母親の声を録音し、不協和音を追加してより不快感をあげているのだ。
決して母親の声が元から不快だとか、そんなことではない。
ないったらない。
この目覚まし時計は〈超早起床装置〉という名前の新商品だ。
ありえないくらいに名前がダサい。せめて英語表記にしたほうがいいと思う。
ちなみにキャッチコピーは、「あなたの起床を狙い撃ち!不協和音で起床率アップ!」だった。
なお、実際の起床率は平均42%だそうだ。低いな!
当たり前のように、俺は起きない。
俺のベッドの性能は、
ふかふか度:129%(MAX)
吸着性:SSS
抗起床:神話級
なのだ!
これに、抵抗するなど、俺にはできない……!
そして、俺は知っている!
『爆発します』
この目覚まし時計、本当に爆発することなどないと!
そりゃそうだ!あったら記者会見コースに直行便だからな!
一度、「爆発するんじゃないか疑惑」で訴えられたことすらある!
そうだ!この目覚まし時計は無力なんだ!俺のような人には、なにもできないんだ!
俺は完全に理解した!
この目覚まし時計は、所詮は脅し。
音と光と、爆風の“効果音”。
せいぜいベッドがぶるぶる震える程度のハリボテにすぎ――
「ピギャアアアアアアアア!!!!!」
……ッッッッ!?!?!?
天井スピーカーから、サイレンと共に赤いランプが発光した。
ふとんの下からは謎の震動、視界がぐにゃりとゆがんで――
えっ、ちょ、今日バージョンアップ入ってる!?!?
誰だよ!勝手に新機能追加したやつ!!!
――そう、俺は見逃していた。説明書にあった、『※新機能「幻覚モード」:ペットがボス化したり、部屋に水が迫ってきたりなど、自由自在な恐怖演出が可能です(使用は自己責任で)。なお本機能は、使用開始から1か月後に自動適用されます』の文章を。
まぶたが閉じかけていた俺の脳が、一瞬で覚醒した。
「くそっ、これは本当に……起きなければ……!」
……と思ったが、起きなかった。
だって、あらがうにしてはベッドが強すぎる。
俺はそのまま、ふかふかに沈んで――意識がスゥ…………
目が覚めたのは、二時間後。
窓を開けると太陽は既に南のほうへ、目覚まし時計は自動で電源オフになっていた。
俺は悟った。何をしてもアイツ(布団)に勝てることはない――人類は未だ進化が足りないのだと。
深夜テンションって、すごいね……(恐)