責務を果たす感じへと
――廻る廻るよ、糸車
変わる季節を乗せたまま
消えゆくものがあるのなら
ときをのばしてつなげます
春の季節は太陽が
照らす時間と影法師
日が経つごとにのびるから
ママが教えてくれたことを中心に言葉を組み立てて、魔法を唱え終える。
(どう……かな?)
私は固唾を呑んで静かに様子を見守る。
木の葉のささやく音が聞こえる。
お兄ちゃんが来たのかと思い、入り口に光を当てる。
扉は閉じたままなのに、低木の葉が揺れていた。
風が吹く。
ハーブから、プランターから、地面から。花桃の低木に向かって集まっていく。
「これって……」
虫眼鏡ごしにぼんやりと見ていると、木の根本もぼんやりと光る。
温室のあちこちからもうっすらと光りだす。
光の粒子が一筋の糸になり、花桃の低木と結ばれる。
春の精霊さんへつながっていく。
「ありがとうございます」
冬の精霊さんの声が聞こえる。
「もう大丈夫?」
「はい。なんとか」
「よかった。私でも役に立てたのかな」
「ええ。助かりました。これはほんのお礼です」
私がかざしていたカード型の虫眼鏡が、うっすらと光った気がした。
「?」
「目印をかけておきました」
ふしぎに思っている私に、冬の精霊さんが教えてくれた。
「次お会いした時のために」
「どうして虫めがねに?」
「いろんなものに興味を持って、目で見て耳で聞いてください」
「わかった。約束する」
冬の精霊さんは私のお礼を聞くと、春の精霊さんを抱いたまま立ち上がる。
そしてそのまま宙に浮き、徐々に高さを上げていく。
鉢植えと同じ高さから私の目線を超え、花桃の低木よりも高くなる。
「行っちゃうの?」
はいと冬の精霊さんは返事して、月に照らされた雪だるまがうっすらとし始める。
「しばらくは寒い日が続きますので、暖かくしておいてください」
「また会えるかな?」
「はい。また冬の季節にお会いしましょう」
私はなんだかさみしくなり、視線を地面に落とす。
「次お会いするときは」
冬の精霊さんの声だけが、私の耳に届き、顔を上げる。
「私は大きくなっています。リシアさんはわかってくれますか?」
「わかるもん!私も大きくなるもん!雪だるまさんより大きくなるからね!」
「成長を楽しみにしていますよ、見習いさん」




