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特急だった。窓にあおじろいほのおのかげ。がたり、ごとり、揺れてしかたなく、へどろのようにじっとりした蒸し暑さ、さすようにするどいつきのひかり、窓辺にあおじろいほのお……。
秀逸で象徴的なもようを、きっと、わたしたち星座っていうの。特急だった……止まることがない。駅を通り過ぎ、駅を通り過ぎる。十月一日は火曜日。座席にとりのこされた新聞紙とナイフ。だいたいここが終着点みたいな空想。
ようやく層状になって、愛憎の区別がいやおうなくできるようになり、三指ついており。ううう、ううう、と、携帯電話がなれば、ここは、特急です、だれの携帯電話かもわからないので、わたしのじゃない。
――だれがどうとか、じつをいうとよくわからないのです。
あのひとがどう。ううん、べつによくない。生きるだけならよくわからんでいいのです。
いやなはなしをするんですけど、わたし。神様のことを信じていて、でも、ううん、やっぱりいい。やっぱりいい。いじわるなことをいってしまいそう……あ、トンネルだ、あおじろいほのおがきえて……。
わかいわけで、まだあたらしい、くらがりのなかで、うしろめたいことなんてひとつもなく、かるいきもちで生きられたらいいのに。こんな、特急らしく、つめたいおもいレールのうえ、なにかの理由でそのままはしったりできて、うしろむかなくてよくて、まえもみなくてよくて、よそみするくらいがちょうどいい、それならいいけど、そうもいかないよなあ。
これは特急で、だれも追いつけない特急で、どこにもとまりそうにない。ちょっとテンポが狂っても、ごあいきょう、うつくしさはなくても、かなしさはあるでしょ。トンネルをぬけた。また窓にあおじろい、あおじろいほのお――。




