表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/42

少年少女の正体は

 「それで? なんでお姫様が憲兵に追われていたの?」


雲海の中を突っ切っていく竜はのびのびと楽しそうに飛んでいる。

少年はどっかと柱に寄りかかり、言った。


「まず、だ」


カナルは自分の前で堂々と座り込む少年に怪訝な顔を向けた。

この国(ベル・スフィアス)の皇族は表に出ることがない。だからエナルとカナルを皇女だと知るものは本当に少しだ。


「どうして私らが皇女だと分かった? それにそなたの名をまだ聞いておらん、名乗れ」


エナルはカナルの口調に呆れてため息をついた。

そして小声でそっと告げた。


「今は皇女カナルじゃなくて、ただのカナルなんだから。口調はくずそうよ」


カナルは、ハッとしたように目を見開いて、照れたように顔を伏せる。


「僕はイヴ。二人のことはベル・スフィアスの姫の噂をちょっと小耳に挟んだことがあって、それで分かった。それと……」


イヴはおどけた様子でかしずいて続けた。


「敬語で話した方がよろしいでしょうか、お姫様?」


今更のように問うイヴに、エナルはクスッと笑った。


「イヴ、助けてくれてありがとう! 私たち、今はただの少女だから、気を使わないでね。それと私はエナル」


「私はカナル」


息ぴったりな二人にイヴも微笑んだ。


「分かった。それより……」


ぐうう……とイヴの腹が鳴った。


「腹、減らない?」


「空いた!」


とカナル。


「少しだけ」


とエナル。


「よっしゃ、どこかで(こいつ)休ませて、昼飯にしよう!」


「それなら、このまま十時の方向に飛ばせて。少し先の森の中に、いい水辺があるわ」


間髪入れずに答えるエナルに、イヴは驚いた。


「この辺知ってるの?」


「いいえ。でもほら能力でちょちょいと」


「能力?」


不思議そうに首を傾げるイヴは、エナルとカナルを交互に見た。

カナルは答えた。


「ウチの皇族は能力を持ってるの」


「それ都市伝説じゃないの!?」


「本当の話だよ」


イタズラが成功した子供のようにカナルが笑ってみせる。エナルも困ったような顔で笑った。

ぐんぐんと進んでいく竜の下に、深い緑が見え始めた。


「その辺かな」


「降りて」


竜はカナルの合図で、一点に吸い込まれるように下降を始めた。


「俺の言うことなんて全然聞かないのに」


迷う様子もなくカナルに従う竜に、イヴが寂しそうに呟く。


「イヴの言うことを聞かないんじゃなくて、カナルの言うことだから聞くの」


カナルは特別、とエナルは言った。

竜はくるくると円を描きながら、目的の場所まで降りていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ