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フォルセティアル・デバイス  作者: 雨宮ゲンドウ
4/9

クルトの過去~序章~

次回辺りに著者名変えます。(使命感)


クルトは不思議がっていた。


未だかつてミュルスがこんなに目を輝かせたことは一度たりとも無い。何かがおかしい。


何か進展でもあったのか。

…いや、だとしてもあの()()()()()()ような目の輝かせ方は私から見ても異常だ。


今日の探索は初心者といえど、あのいつも抜かりないミュルスだと考えればどう考えたって遅すぎる。


私から確信じみた危機感が離れない。でも何故だろうか、このミュルスの姿をどこか懐かしく感じる自分がいる。


私とミュルスは旧知の仲、所謂幼なじみというものだ。つまり、今のミュルスにはどこかに昔を彷彿とさせる要素があるということなのだろうか。

では一体どこが?


あの抜かりなさ?

あの冷徹さ?

あの人を憂う優しさ?

あの野心溢れた目?

それとも希望を見続ける楽天さ?

でもきっと、ホントは私も気付いてる。


()()()()()()()()()


~~~~~~~~~~~~


「……あれ、あいつじゃね?()()()ってww」

「…うわ、本物だ。背でっけぇ~ww」


私は(れん)・クルト・バーンステイ、十四歳。バーンステイ家の長女()()()


「…え?あれが()()()ってホント?」

「うわ、マジででけぇwしかもなんか傷まみれだしw」


時は二十年以上前の第3.5次世界大戦まで遡る。

私の母、(れん) 美奈(みな)は当時の《旧人類》国家、自由連邦合衆国にその剣術、体術の実力を見込まれ、軍直属の特別軍事指導士官という異例の抜擢をされていた。

だが、これは事実は大きく異なる。


私の父、ドルトン・バーンステイ()()()()は第67番極東駐屯地の管理と指揮を本部から一任されていた。


本来はもっと位の高い者がやるのだが、大戦中、指揮監督を任されていた高位の隊員のみをターゲットとした名称不明の特殊部隊が敵国に存在することが判明し、実際に幾つかの指揮系統が乱されていた。そのため指揮監督を大佐などに移し、万が一殺されても遠方から直接指揮をとり、次の指揮監督が選出されるまでの時間稼ぎをするといった手段がテンプレとなっていた。


要は使い勝手の良いトカゲの尻尾である。

だが、ドルトンは違った。彼は父にエルンスト・バーンステイ()()()()を持っていた。その上、軍部における名門バーンステイ家の御曹司である。無下に扱うなど出来るわけがない。


故に父は戦場となった記録が一度も無い極東基地へと配属されていた。


そこで出会ったのが母だった。


父はまず、その剣筋に惚れたという。

それもそのはず、私の母は極東では第29代目剣聖として人々の注目を集めていた。


その直後、父はその美しさに惚れたという。

凛々しく強かなのに優しい包容力を感じるその容姿は道を通るたびに男達の目を引かせていたようだ。父も例外なく。


この時ドルトン・バーンステイ28歳。廉美奈22歳、実に6歳差。母が恋愛に興味が無かったのもあり、父の熱烈なアプローチをいなしつづけていた。


事が起きたのは1年明けてドルトンが29のときのこと。

アプローチを断り続ける母に父が嫌気がさしてゆき、ある日のこと父は母の家へと忍び込む。


気配を察知した母は直ぐに飛び起き、真剣を取り出すと周りの警戒を始めた。

やはりというか、腐ってもというか、軍人である父は母以外誰にも気付かれることはなかった。


そして、父は母の部屋へと押し入った。母は真剣で切ろうと考えていたが、その姿がドルトンのものであることが分かると一気に剣筋が鈍った。母は人を斬ったことがなかった。

父はそれを見逃さず、瞬歩により懐へと潜り込むと、母の華奢な体をベッドへと貼り付け衣服を破いた。母は必死に抵抗するも、刀は既にはたき落とされていた。

剣聖は剣聖でも刀が無ければただの女だった。


母は犯されたのだった。


結局、それが原因で私を孕んだ母は家の掟もあり、バーンステイ家へと嫁ぐことになったのだった。


その翌年、私が生まれた。



……………。


「よう。可愛い姉ちゃん。俺らと遊ばねぇ?……あれ?それとも嬢ちゃんだった?まぁ、どの道その傷じゃっ、もう遊ぶことすら出来ねぇか!ギャハハハハハ!!」

「ぷっ、おま…言い過ギャハハハハハ!」

「やめろよwお前ら俺の腹筋壊す気かwww」


卑下た笑い声が聞こえる。同時に周りが小声で騒ぎ出す。私には興味の無いことだ。関わるだけ無駄だ。


「おいまて、何処行くんだよ。」


男が私の肩を掴もうとする。

掴む前に払うと今度は何か男が言い放った。


「はっ、味気なw。流石は犯された女の子供だなww」


……殺す。



「アガアぁぁぁぁぁ!!!」


男の手首からゴキュッと音がする。とどめに持っていた長めのコンバットナイフを男のすねに突き刺しておく。


「ん”あ”ア”ア”あ”あ””ァ”ァ”!!」


何故だろう、興奮はない。むしろどんどん冷たくなっていく気分だ。あの時と同じ…。

ギャラリーが何事かと集まってきて騒ぎ出している。…ここらで帰ろう。


「て…めぇ…!舐めやがって…!誇り高い極東人じゃねぇのかこのクソアマァ!!」


……はぁ、こういつやつが一番面倒くさい。


―――――キンッ…!


男の横にナイフを突き刺す。頬を掠めるように。

…血が出てきた。


だが濁り切った男の目は曇らない。


「生憎と、私は父親を斬り殺した女だ。」


仕方ないので立ち上がり、男共を見下しながら威圧をかける。


「今更、貴様らを殺してその数が増えても何とも思わない。…次は…首を斬るぞ。」


私はその場を後にした。




…私には母しか家族が居なかった。


父は私が女だと知ると後継ぎにも出来んと早急に育児放棄した。食事で会うたびに虐待を受けた。刃物で傷つけられた事もあった。


親戚からは疎まれ、従兄弟には蔑まれ、祖父には見向きすらされなかった。私は母と共に人間の黒い部分を見ながら生活してきた。


だが、私にとって私が傷つけられることは、罵倒されることはどうでも良かった。

一番嫌だったのは他でもない母が傷つけられることだった。


母は強い。他の誰にも負けないくらい。それは母から直接武術の指導を受けた私が保障できる。

でも母は父にやり返そうとはしなかった。いつも私と一緒に虐待を受けていた。いつも庇ってくれた。


それが嫌で、どうしても納得出来なくて、悔しかった。


なら母よりもっと強くなろうと必死で頑張った。色んな人と対戦したりもした。周りの人とだったら、いくらでも勝てた。殺人人形とかいうよく分からない称号も貰った。

でも、母に勝てたことは一度たりともなかった。


そして、負けるたびに微笑むのだ

『強くなったね』と、アザと湿布だらけの顔で。

なのに…それでも母は美しかった。


だから、私は憎んだ。憎んで憎んで憎んだ。


――――何を?

世界を。


――――何を?

社会を。


――――何を?

人を。


――――何を?

男を。


――――何を?

…父を。


母の恨みを、私の憎しみを晴らすために。

あの屑共を、この手で切り落として屠るために。

…私は、強くなろうと…そう誓った。

はい、回想でした。

予想だと3パート辺りこんな感じの予定です。


本当はもっと後の方が良いって分かってたけど回想って憧れだったんだもんっ!!(うわ。


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